第40話 大統領と会談 歓待
約束の日から7日後、今日はアメリカ連合と会談をする日。
今、成層圏を日本からアメリカ連合に向って飛んでいる。
大統領と会うことを思うと緊張する、だから色々考えてしまう。
会談はリリスが主に行なうと思う。しかし、私は人類大使として話さねばならない。
リリスに聞いても、アリスはアリスの好きなようにすればいい。といつものように言っていた。
最近少し分かってきた。リリスは基本相手に何かを求めない。状況を説明し、聞けばアドバイスはするけど。こうしろとか、この方がいいとかほとんど言わない。
そして、必要な時に必要なことをする。
行動にブレがない。私の選択は常に私に委ねられる。
教師や教育者になれる素晴らしい資質が有ると思う。
私に事実を伝え、私の疑問に答え、後は私の答えを待つだけ。
これもまた、ライ連の基本理念の一つなんだろうと思う。
文化の尊重、そこに集約される。貴方を尊重しているから、必要な情報は渡します。それを持って、総ての判断は貴方がしなさい。私達はそれを聞いて判断する。その結果絶滅戦争になろうとも受け止めます。そして絶滅させます。
私達も貴方の事実を総て調べます。そしてアドバイスもすれば判断もします。
もし、私達の基本理念に共感しルールに合わせるなら、共に生存競争に勝ち、生きて繁栄しましょう。
成層圏を飛びながら色々考えていた。
午前10時前、ホワイトハウス上空に着いた。今から会談が始まる。
「前回と同様、敵対的な状況は観測されない。降下する」
相変わらずリリスは慎重だ、リリスらしい。
これもきっと私への情報伝達。
下には大勢の人がいた。いつもの位置にふわりと着地する。
バサ と音がしてリリスの翼と牙が収納される。
一見美少女が二人立ってるだけに見えるだろう。
6メータほど前には、大統領とシュミットが並んで立っている。そのすぐ後ろにはSPが立っていた。少し離れて20人ぐらいが並んでいた。周りにはカメラを構えた職員が何人もいた。そのまた外には多くの警備関係と職員と思われる人がいた。
これはまさに、歴史的瞬間だろう。
私は、歴史の中心に居るのを実感する。
すぐに公表されないけど、公表可能になったら、歴史の一歩だろう。緊張してきた。
大統領とシュミットがゆっくり歩いてきて、3メートルほど手前で止まる。私は最初の言葉を話す。
「バリアは無いので、どうぞ近寄って握手をしましょう」
そう言って手を差し出す。リリスも隣で差し出す。
二人は歩いてきて握手する。
私とシュミット、リリスと大統領。
握手した瞬間、周りからカメラの音が響き渡る。
シャッター音の嵐が数秒続く。
流石に緊張して体が固くなる。
大統領が挨拶する。
「アメリカ連合の大統領ラリーです。はじめまして」
「ライトリング銀河連合 安全保障局 リリス」
「また会ったね、シュミットです」
「お久しぶりです、アリスです」
そして、交代して握手して挨拶する。
握手するたびにシャッター音の嵐が響く。
そして、ラリー大統領から。
「ホワイトハウスをバックに記念撮影いいかな? 何と言っても地球外知的生命体と国の正式なファーストコンタクトだからね」
と言ってニコニコしてた。
私は頷いて。
ホワイトハウスをバックに4人並んで前を向くと。
またシャッター音が前から響く。
顔が引きつりつつも笑顔で対応。
リリスは何時も変わらず無表情だった。
順番はアリス、大統領、リリス、シュミットだった。
少し話した後、ホワイトハウスに促される。見ると入り口まで左右に人の壁が出来ていた。その中を歩いていく。
中に入り、狭い廊下になると安心して緊張が少し抜ける。
ラリー大統領に向かい。
「すいません、会議前に少し休んでいいですか? 緊張しすぎて」
「もちろん構いません、シュミット休める部屋に案内してくれ」
「了解」 そして私達に向いて、「お嬢さん達、此方に」
「大統領また後で」 とお辞儀をする。
「また後で」と言って見送っていた。
少し歩いて、応接室の有る8畳ぐらいの部屋に入り、ソファーに座る。そして一言。
「なんか、気疲れしたーー、あんな歓待が有ると思ってなかった」
「ごめんごめん、ラリーが張り切ちゃって。国との正式なファーストコンタクトだから。今は公表できないけど歴史の転換点になるからね」
たしかに、これは歴史の転換点、サラリと流していい場合じゃない。ただ、この後の話を考えると気が重い。リリスの話がとんでもない爆弾だと私は知っている。しかし今は休もう。
ファーストコンタクト? リリスに向いて聞いてみる。
「最初のファーストコンタクトは、私かな?」
「そう、アリスがライ連と最初のコンタクト」
そうかーー、私なのか、何も覚えてないけど。
ふとラリーが聞く。
「最初に会ったのはいつ?」
「うーーん、秘密だーー、今は無理」
これはちょっと今は答えられない。
リリスが何時来たか分かるし、私の過去に繋がるし、私の黑歴史にも触れる、だから今は語れない。
しばらく雑談しながら、ゆっくりした。
気分が落ち着いたのでシュミットに話して会談を始めることにした。
シュミットに案内され会談を行なう会議室に入る。
その部屋は横10メートル縦20メートルの中央に大きな長くて四角いテーブルと両側に革張りの椅子が10脚有る。窓はなく大きなスクリーンが3方向の壁に有る。
片側に10人座り、その後ろに3人いた。私たちはその向かいに二人中央に座る。
開始前にシュミットがリリスに向けて聞く。
「まず最初に確認ですが。この部屋には各種電子機器が有り、記録や通信をしている、いいかな?」
「いまは仕事場、記録を取るのは普通、問題ない」
シュミットは安心した顔になり、大統領に向く。
「ありがとう。では、大統領お願いします」
大統領は会談の開始を宣言する。
「今から、アメリカ連合とライトリング銀河連合の最初の会談を始める」
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