第23話 公園にいく
翌日の午前4時にリリスに揺り動かされて起こされた。
「うん、あ、おはよぅーー、リリスーー」
「おはよう、時間」
うーーん、時間か、まだ眠いが起きなければ。
照明が点いてて眩しい、眠い目を擦りながら、起き上がる。
ふと疑問になった、データー人間なのになぜ眠い?
ベットを降りながら聞いてみた。
「ねえリリス、私はデーター人間なのになぜ眠るの?」
「人間の生理現象は脳の機能の一部、止めるとリリスの思考が壊れる。ある程度寝なくてもいいけど、寝ないと機能障害になる」
なんと、機能障害になるとな、それは怖い。
少し動揺してしまう。
データー人間でも生理現象は必要なのか。
「な、なるほど、睡眠は大事ですね。そうすると食事も排泄も?」
「そう、運動も」
運動? 何か違和感がした、目が冷めてきた。
そうだリリスの中で80年もいた! 動いてない。
「ちょっとまって、私リリスの中で80年寝てた、大丈夫?」
「脳の生理的には、長い睡眠状態だから問題ない。それに中でも睡眠はしてた」
「なるほど、そうでしたか」
深く考えてはいけない気がしてきた。なむーー
などと考えながら昨日買ってきた白いワンピースを着る。
ふとリリスを見ると、頭の上に鷹が居た。
相変わらず真面目なリリスの頭に鷹、シュールだ。
「あれ、ユニちゃんなんでそこに?」
「このユニは速く飛べないから、私が神奈川まで連れて行く。今度性能を上げる」
なんと、ユニちゃんがバージョンUPする。楽しみだ。
「なる、ユニちゃんおはよーー」
ピィー とユニが挨拶した。
ユニちゃんが可愛い。
二人と一羽はリビングに行って朝食を取る。
出口の部屋に行って、手を繋いで飛び出口へいく。
外に出て周りを見ると、森の中は暗く月明かりが僅かに照らす。
木の枝が揺れるざわめきと虫の鳴き声が聞こえる。
空を見上げると星が綺麗に瞬いていた。
朝になる前の冷たい空気が私を撫でる。
リリスがこちらを見た、手を差し伸べてくる。
「アリス、手を繋いで飛ぶ?」
「するする、そうする」
リリスと手を繋いで横に並んでだ。
バサリ とリリスの翼が全開になる。
リリスはまるで夜の支配者、真祖バンパイアのように慄然と立って空を見ていた。
そして、ゆっくりと上昇して森の上に出る。
森は真っ黒でよく見えない。
そうだ、リリスの便利機能で見えるかも。
「リリス、この暗さでも見える様に出来る?」
「問題ない」
急に、森全体が見え始めた。昼のように明るくはないけど、細かいものまでよく見える。さすが、リリスの仮想認識(アリス命名)だ。
夜の世界がとても綺麗だ、澄み切った空の向こうには街が見える。
街灯が見える、でも眩しくない。光学調整が神! と感心する。
夜の世界をリリスと一緒に手を繋いで、ゆっくりと登る。
「では、急速上昇する」
言葉と共に、森がぐんぐん小さくなる、街が小さくなる。空が真黒になったてきた、日本列島の一部の形が見える。
地球の丸さが見える、星がとても綺麗。
地球の東の空が太陽光で輝いている、朝が近い。
どれほど高いのだろう?
「リリスここ何処?」
「上空30キロ」
「高!」
「この高度が、飛行機もなく、人工衛星もなく、レーダーの感知範囲外だから、飛行には一番良い」
たしかに成層圏は飛行機が居ない。
そしてリリスは神奈川の方向に二人の体を向けてる。
「神奈川の上空に移動する」
下に見える日本列島がとてもゆっくりと動き始めた。
日本列島の動きが見えるとは、物凄いスピードで横に移動している。でも、動いた気がしない、体全部が同時に引っ張られるから加速を感じない。周りに比較するものがないから分からない。見えるのは日本列島がとてもゆっくり動いているだけ。
これがリリスの飛行なのかと感心する。
身一つで地球を数時間で回れる飛行、それも動いた感じがない飛行。改めてライ連の科学技術の凄さが分かる。
人類は戦ってはいけない、友達になるんだ、親友になって人類も宇宙の世界に旅立つんだ。
あらためてアリスは強く強く思った。
上から日本列島を見ていた、雲を見ていた。静かな世界にリリスと二人だけの世界で宇宙と地球の間を飛んでいた。
幻想的で愛着を感じる地球、そして日本列島。
この世界が愛おしい、守りたと感じていた。
しばらくして、日本列島の動きが止まる。そして。
「目的地上空に着いた、降下する」
最初はゆっくりと地球が近づいてきた。
でも街が見え始めると急激に近づいて来るように見える。
しかし何も音は聞こえない、バリアー内の真空空間が音を遮断する。断熱圧縮で炎が出るほどのスピードは無い様だ。
下に森が見える。減速していると思うけど、急速に近づいてくる。危ないと思う前に、ゆっくりと浮いていた。
そして、ゆっくりと森の中に降りる。
神奈川に到着した。
リリスの飛行に感動しすぎて、飛行機って何処の世界の乗り物?
と、自虐ネタに走ってしまった。
私は地球人で、飛行機しか乗ったこと無いよーー、と心が思う。
「アリス着いたよ?」
感動でぼーーっとしてたら、リリスのツッコミがきた。
そして、ユニちゃんは ピィー と鳴いて飛び立っていた。
「うん、分かってる、リリスの飛行に感動してた」
そして、空が明るくなり日の出になった。
ああーー太陽が綺麗だ。
よし、まずは出来ることを頑張ろう、と決意する。
「町に行って公園を探そう。そして8時までそこで休憩だ」
そう言って二人で森を歩き始める。
30分ほど歩いて町に出た、ちょっと遠かった。
町はごちゃごちゃと家やビルが立ってる。
公園を探して町中を歩いた、中々良い公園がなかった。
小さい公園ばかりだった。
ようやく横100メートル縦200メートルぐらいの公園を見つけて、その中のアニメ調の猫の頭を型どった遊具が有る。
その中に入って二人並んで休む。今は午前7時頃。
外を見ると通勤の人達がたまに見える。
休んでいると考えてしまう。
本当にこの作戦で良いのだろうかと、不安に思う。
しかし、やらないと分からない。
だめなら又考えればいい。
力ずくも有りだ、覚悟は既に終わっている。
最後は総理大臣を脅して、いや日本国を脅して……
ちょ、暇になると考えすぎる。過激な発想が。
パンパン と頬を両手で叩いて気持ちを切り替える。
「アリス、何をしてる?」
最近のリリスのツッコミが冴えている。
「気持ちのリフレッシュです!」
気持ちよく言って、不安をごまかした気になる。
そうするとリリスは言った。
「アリスはアリスのやりたいようにすればいい」
なんだが、気持ちが暖かくなる。
「ありがとう」
そして、外を見ていたら8時になった。
さあ、始めよう。
「リリスいくよ!」
「了解」
二人で公園の外に出た。
そして私は気がつく。
派出所って何処?
又さがすのかーーーー! と心で叫ぶ。
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