第44話 大統領と会談 アリスのターン その2
アメリカ連合のターゲットが私になりました!
「まず初めにアリスの道についてお聞かせください」
とうとうこの時がやって来ました、私がターゲットです。勝負どころです。もうね、なんでも来い。無理難題は総てリリスに投げる。
まて、いいのか? いいんですよ私は17歳、花の女子校生、政治力など有りません。ミスったらリリスに投げて力で解決。もうそれしかありません。当たって粉々に砕けまょう。微粒子まで。
あ、現実逃避始めた。
さあ私のターン開始。
少しだけリリスを見て仮想会話をする。
『リリス、ライ連には恒星破壊兵器があると言っていい?』
『問題ない、聞かれたら教えるつもりは無いと突っぱねるから』
『ライ連の基本理念の一文、出していい?』
『もともと公開するもの、問題ない』
リリスが半端ない、頼れるリリス。
会議室の皆に向って、一つ一つゆっくりと話す。
「まず、人類はライ連に勝てません。リリス一人でもアメリカ連合全軍に勝てます。数万年間、宇宙の生存競争に勝ってきたライ連は、私達の知る遙か上の武力を持っています。恒星破壊兵器もあります。
ハッキリと言います。あなた方が武力による対応をした場合、アメリカ連合の終了が早まるだけ、メンツやルールなどどうでも良いです。重要なのは生き抜くこと」
会議室を一通り見渡し続ける。
「人類の生きる道は唯一、ライ連に所属する、共に歩める人類になるのです。ライ連の基本理念をここに出します。それは
『文化集合体の内に優しく外に厳しい方針を持ち、各種族各民族の文化を尊重する』
ライ連には、百数十の種族と数千の民族がいます。ライ連から見れば、ほんの僅かな違いで争っている地球社会は低俗で原始的に見え、とても一緒に歩める種族には見えません。話をするより消えたほうがいいと判断されても仕方が無い」
「この会談がなかったら、私達は戦ったことも知らず。ある日突然多くの小惑星が落ちてきて絶滅。又は恒星破壊兵器により太陽に異変が発生し理由も分からず絶滅します。運良く人類の私がリリスと友情以上の関係が出来ました。これを利用して生き残るのです」
「ライ連は内には優しい社会システムがあり、ライ連ルールに従う限り、ライ連と共に宇宙の生存競争に勝ち。人類は恒星間に旅立ち。星間国家を作る未来の希望が有ります。以上です」
会議室は静まり返っている。そして、何とも言えない顔が多い。
仕方が無い、こんな話を信じられる理由がない。
夢物語だと思うだろうか。
兎に角、私の道の説明は終わった。後は彼らの問題だ。
しばらくして、シュミットがリリスに質問する。
「リリス、人類はライ連に所属は可能ですか?」
「不可能ではない、しかし道は険しい」
会議室にいるアメリカ連合のメンバーの顔が少しだけホッとする。
しかし、シュミットは厳し顔のままだった。
「道が険しい内容を聞けますか?」
「今は言えない。アリスが目指す道をサポートするのが道を進むことになる」
そう、言えない、地球を征服して1星系1国家にするとか、国対国の交渉や条約が無くライ連ルールに従う、これは地球常識では無条件降伏になる。そして、いろいろな社会システムを変えなければならない。
地球の社会システムは歪だ。小さな世界の小さな覇者が決めた、同族と啀み合うような社会システムが破壊される。常識が変わる。
アメリカ連合の土台が消える。
土台の上に立っている人に、土台を壊しますと言えるわけがない。
シュミットは私に向いて同じく聞く。
「アリス、道の内容は聞けますか?」
「今やっていることは言える、先の話は言えない」
「何故言えないのですか?」
「何も言えない」
シュミットはしばらく考え、再度質問する。
「今やっていることは聞けますか?」
私は口を開けようとした瞬間、リリスの手が私の前に出て止める。そして話し始めた。
「ここで一つ、あなた方に忠告しなければならない」
そう言ってアメリカ連合の全員の目を一人一人強い目線で睨み。最後にラリー大統領を睨む。
「あなた方は、すでに私とアリスが普段生活している場所を知っている。私達及び関係者及び周辺にあなた達が害を与えた場合。安全保障の対象となる。そしてアメリカ連合に武力行使をする。あなた方が今最も注意するのは、私の安全保障が起動することだ。これだけは十分に理解していただきたい、よろしいですかラリー大統領」
リリスは瞬きもせずにラリー大統領を睨み続ける。
ラリー大統領は冷や汗を掻きながらも、返事をしない。
10秒ほど過ぎた頃。リリスは席を立つ。
「アメリカ連合の意思を理解した。嘘偽り無く出せる情報を出したにも関わらず。この結果ですか。今よりアメリカ連合を敵国とし、あなた方を滅ぼす戦争に入る」
そして、リリスは私の手を握り立ち上げる。
「まて!」
ラリー大統領の声が掛かる。
「何を待つのですか? 大統領」
「アメリカ連合以外、又は誤解等により害が有った場合、それを防止できない。アメリカ連合は害の保証は出来ない」
「あなた方は、私達の対策本部を持っていますね。私達の周辺に人員を配置し監視もするでしょう。その中で監視を強化し、24時間対応できる緊急連絡先を作り私達に渡せば。アメリカ連合以外や誤解等による害を確認できる。この大きなアメリカ連合が自身を守るために、組織を作り運用する事ができるはずだ。作るだけはないか? 窓口の1つや100作っても安全を守るために必要では?」
「たしかにその通りだ、しかし今すぐ返事は出来ない」
「よろしい、1週間後に再度会談し返事を聞きたい、それでいいか?」
ラリー大統領は周りと相談を始める。
そして回答する。
「1週間後に返事をしよう」
そして、私達は元の席に座る。リリスが会議メンバーを見渡し話す。
「信じがたいかもしれないが、私達は嘘偽り無く情報を提供している。その私達を失望させないでいただきたい」
リリスは続ける。
「アリスの弱点は、私達に好意を持って接してくれる関係者とその環境だ。それが害された時に安全保障の引き金を引く。あなた方は政治ゲームを行っている。しかしそれは何の解決にもならない。一番良い方法は私達と信頼を作ることだ、そうすればあなた方に力が出ることはない。最も安全を確保する方法だ。
アリスはアメリカ連合に友人を作りに来た、ぜひ友人になってほしい」
会議室が静かになる。
シュミットがアリスに聞く。
「アリスは今何がほしい?」
突然の質問に悩む、そして。
「私達は今、日本で無国籍孤児になっています。ようやく保護者を見つけることが出来ました。二人が正当に活動するための国籍がほしいです」
「何故、無国籍孤児になっているんですか?」
「リリスは安全保障に関わらない事には武力を使いません。私は私の力で道を進まなければならない。一番最初の問題は、恥ずかしながら食糧難でした、お金が無く人間の食料が買えず。無国籍ではアルバイトも出来ない。0から始めたのは孤児院に入ること。そして保護者を見つけること。現在保護者が出来たので食糧難は解決しました。
とても低レベルではありますが一歩一歩進めています。
これが現在の状況です」
「分かりました、他に何か有りますか?」
その言葉にリリスが答える。
「現状を話し、アリスの状況を話し、あなた方の判断と行動に対する未来の可能性を示した。次はあなた方が判断し行動する番だ。1週間後を楽しみにしている」
リリスが会議室を見渡し誰も発言しないことを確認した後、アリスに向いて手を差し出す。
「アリス帰ろう」
「はい」
リリスの手を握り席を立った。
シュミットが慌てて言う。
「送っていくから、まって」
そして、最初の歓待と違い、裏庭からひっそりと二人は飛び立っていった。
アメリカ連合と1回目の会談が終わる。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます