第14話 調査ユニットの回収
国家間のトラブルや敵味方そして戦いがあるので、実際の国名では支障が有ると思い。日本以外は似た名前の国が有る平行世界の地球とします。
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飛行の練習を楽しんだ翌日。
リビングでパソコンを色々触っていた。昔使ったアプリケーションを入れたり。空間の片隅に小さな仮想の時計を出して、腕時計の代わりにしたりした。いろいろな仮想画面を出せるようになった。
昔のWindows○がSF風の複数仮想スクリーンに成長した。
しかし、キーボードとマウスはそのままだった。
近いうちに目線指示が出来るようにしようと画策し、楽しんだ。
その日の夕方リリスが話しだす。
「アリスすまない、今から調査ユニットの回収にアメリカ連合に行ってくる。明日の夜には帰ってくる」
目が点になった。アメリカ連合に出張ですか!
それも調査ユニット回収。
「いつもは、調査ユニットだけで離脱できるが、今回は金属の檻に入って離脱できない。回収が急務」
「うん、分かった、気をつけて」
ポーチが2っついた腰ベルトを装備してリリスは、出口の部屋に行き。穴を上に飛んでいく。
それを見送る私は心配でならなかった。
『アリス心配しないで。私の本体はここだし、経験有る任務。何時でも話しかけていい、並列思考だから問題ない』
『うん、分かってはいるけど、心配なものは心配』
心配性の私は、死なないってわかっててもリリスが心配だ。
それに、端末の体でもでも傷ついたら痛いし辛い。
だから、心配してしまう。
***** リリス視点 少し戻って
アメリカで調査していた鷹型のユニットが網に捕まった情報を送ってきた。
タイミングを見て脱出を計画した。しかし、直ぐに金属の檻に入れられて車で移動している。この状態での脱出は難しい。
その後どこかの部屋の大きな檻の中に入れられてしまった。もう脱出は不可能であった。この調査ユニットにはワームホール通信と小さな重力空間制御装置が入っている。
人類にこの装置が渡る訳にはいかない。回収を決定する。
何時もであれば、予備のリリスの体を操作して、二人のリリスで分担すればいい。
しかし、アリスも、リリスが何をやっているか知るべきだ。アリスに話して、リリス一人で回収作業をする。
そして、
「アリスすまない、今から調査ユニットの回収にアメリカに行く。明日の夜には帰ってくる」
……………………
……………………
基地の外に出る。全身を乳白色の有機膜で包む、これで飛べば一目では見つからない。垂直に急速上昇する。アメリカに着くのは夜明け前、回収にはいい時間。
どんどん上昇し成層圏の上空60キロに出た。ここでは受動レーダーの性能は数10万キロに渡る。問題となる飛行体は無い。
一路アメリカ大陸を目指す。
到着には数時間掛かる。
アリスはこの様なリリスの行動をどう思うだろうか?
身勝手に調査していると怒るだろうか?
それとも怖がるだろうか?
こんな事を考えてしまうのは、情報生命体に成ったことで発生している。それもアリスの資質を多く継承した結果だ。
アリスもこの様に不安に思うだろうか?
しかし、調査船としての使命が最優先される。ライ連の理念は正しい。私の使命はライ連の安全保障だ、危険は即排除する。
人類が敵性で害を受けると判断したら、アリスが何を言っても、即全滅させる、これは変わらない。
きっとアリスは泣く。
アリスが泣くのは嫌だ。
アリスの計画がうまく行くよう影ながら協力しよう。すこし調査船の使命の外だが、政治的配慮である。本来なら接触しないしない知的生命体だったのだ。事故という調査船側の原因も有る。
いろいろ考えていたらアメリカ連合の上空についた。
まだ夜中外は暗い、さあ、回収だ。
調査ユニットの上空1キロに降下した。有機膜をポーチに仕舞い下をアクティブ3Dレーダーで確認する。建物の密集地帯でなく良かった。少し離れた人の居ない所に降りる、周りは暗い。
翼は何時でも展開できるように小さくする。レーダー性能が落ちるが問題ない。
徒歩で歩いていく。建物は動物を飼育している場所のようだ。販売目的か。生きたまま鷹を捕まえたら高く売れるだろう。しかし、回収する。
建物の入り口に行き、ドアを開けようとするが閉まっている。仕方がない破壊しよう。
鉄の扉に重力が掛り、バキバキバキと音を立てて奥に移動して ガンと大きな音を立て倒れる。
しまった、壁を壊したほうが音が小さかった。
中に入ると、犬や猫や各種動物が騒ぎ始めた。
これは、静かにするのは無理だった。
周りの檻や器材箱を脇を通りながら探す。
しばらく中を探していると、部屋に証明がつき誰かが近づいてくる。
「おい、お前は誰だ! 泥棒か! ドア壊しやがって」
と大声が後ろから聞こえる。後ろを見ると、30代ぐらいの男が銃を持って立っていた。その銃が向けられていた。さすがアメリカ連合武力行使が速い、アリスが持つ日本知識の感覚に合わない。
さて、どうしたものか。バリアはもう出してある。銃程度では問題ない。
相手は、私の顔と翼と少女の姿を見て戸惑っている。
「おまえ、子供か? そんなコスプレして、今はハロインじゃないぞ」
一応挨拶をしてみる。
「こんばんは、ちょっとお邪魔してます」
「はあ? こんな夜中に子供が、ドア壊しやがって、親に弁償してもらうぞ!」
男は怒った顔で怒鳴る。
やはり話しても変わらないし、目的は理解されない。
無視することにして、調査ユニットを探し通路を進み始める。
「ちょ、まて、止まらないと撃つぞ」
困惑した表情で声をかけてくる、無視して進む。
「こらまて、撃つぞ」
バン という音とともに、銃が上方に向かって撃たれる。
威嚇射撃だ。
「今のは威嚇だ!」
威嚇射撃で止まるだろうと男は怒鳴る。
しかし、私は止まらない。
男は困惑して後をつけるが、接近はしてこない。
「待てって、言ってんだろうが! 無視するな!」
しばらく歩くと、1・5メートル四方の金属の檻があった。その中に調査ユニットを見つける。鷹は静かにこちらを見ている。
檻の角の柱を掴んで男の方に向く。
そして、注意する。
「そこを退いて、通れない」
「はぁー この銃口が見えないのか、次は撃つ!」
重力空間を作り檻を無重量状態にして持ち上げる。
男は信じられないものを見た顔で凝視する、そして。
「化物……」
男はバンと私の横を銃で撃つ、銃弾が私の前で跳ね返り、男の近くを高速の風切り音を立てて通り過ぎ、て後ろに大きな音で当たる。
男は攻撃されたと思い、連続で撃つ。
バン バン バン…………バン カチカチ、カチ。
全弾撃ち尽くして引き金の音が聞こえる。
私に一つも銃弾が当たらず、総て戻って男の近くを高音の風切り音をたてての後ろに当たる。
男はありえない状況を理解できずに、銃弾が近くに通り過ぎる恐怖で震えていた。
男に向かって片手で檻を持って歩き始める。
そして一言。
「退いて」
男は後ずさり、壁にあたって震え始める。
その隣を大きな檻を片手に持って通り過ぎる。
男は恐怖で声もかけられない様だ。
男を無視して出口に歩き始める。
そして、出口に出た後、震える足で男が出口に出てきた。
走って逃げて、多くの人に見られるのも困る。
しかたがないので、バサと翼を広げ垂直に上昇して飛んだ。
男は呆然と私を見てつぶやく。
「あれはなんだ? 俺は何を見たんだ?」
***** 1時間後 男の倉庫前
2台のポリスカーが止まっていた。
ポリスの一人が聞く。
「で、何が有ったんだい」
「少女のような格好をした怪物が、ドアを破って檻を盗んでいったんです」
「怪物?」
「そうです、銃で撃っても当たらない、何か壁みたいなものに跳ね返って当たらなかった。そして100キロを超える鉄の檻を片手で持って歩いて外に出ていった。外を見たら、コウモリみたいな翼で空に飛んでいったんだ」
「はぁーー お前、薬でもやってたんじゃないのか?」
「本当だ信じてくれ。跳ね返された銃弾もある。調べてくれ」
「わかった、とにかく現場はこのままで、署に帰って調書をとって調査員を派遣する」
そう言って、近くのポリスに
「現状を保持しておけ、署に戻って調査員を呼ぶ」
「了解」
「じゃ、車に入って、署で調書を取る」
そして、車に乗り男は警察署に行った。
後に、未解決事件が1件できる。
男は納得できず、不思議事件のページに詳細を書き込むのだった。
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