第10話 アリス地球征服を決意
翌日自室のベッドの上で今後のことを考えていた。
まず一番は食料事情だ、灰色のドロドロはもう嫌。
かと言ってお金もないし、その前にここどこ?
出口がなかった、いろいろ驚くことが多すぎて聞いてない。
それに、リリスが言ってた、「敵性の人類を絶滅攻撃する」と。
あの時は危ない人だと思って気にしていなかったが、今までのアリスは一度も嘘を言ってない。
全てを話すわけではないけど、話した内容に嘘はない。
思い出すとさすがに怖い。
リリスの持つ超技術ならきっと可能。
ちょっと確認しなければ。
『リリスーー、いる?』
『なに?』
『教えてほしいことが有る、リビングいかな?』
『行く』
この念話みたいな会話が便利すぎ、リリスの中にいるから当たり前だけど。
さっそくリビングに行こう。
ドアを出て廊下を通りリビングに入る。
すでにリリスが居て飲み物 ”水” が準備してある。
水を注ぐと。
「リリスーー、今日の飲み物は何味?」
「なにがいい?」
「うーーん、いちごオーレがいいかな」
リリスは何時もTPOに合わせた味を準備してる。
食事はお茶か烏龍茶が多い、熱い時は湯気が出る、リアルだ。
休憩の時はフルーツジュースや炭酸ジュースだ。
問題は全て透明な水、熱い時は注意のため湯気を見せる。
前に、「見た目は変えないの?」 と聞いたら。
「外見は最低以外変えない、アリスのため」
と言っていた、確かに全て変えては体の意味がない。
納得した。
「どうぞ」
差し出された水を一口飲むと、いちごオーレが冷たくて美味しい。
「うーーん、この味が自由は画期的すぎいる、あとは見た目をなんとか、温度も自由かな?」
「そう」
前に熱いお茶を見た時は、本当に熱いと思っていた。
仮想の熱だった。
「水のいちごオーレ、いくら飲んでも太らない」
「人型端末も、栄養を取りすぎると体重が増える。増えたら予備と交換できるが、痩せるのに負担が少しかかるので、その分少しだけ劣化する」
「なんと、この体も太るのか! カロリーは女の敵だ」
「ある程度調整できるので、よほど多く食べなければ問題ない」
いつもの様に他愛ない会話になる。
リリスも無口キャラなくせに、いろいろ話す。
「リリス、質問」
「なに?」
「もう、質問内容知ってるでしょ?」
私の思考は全てリリスの物、だからちょっと意地悪で聞いてみた。
「常時監視すれば分かるが、言葉のコミュニケーションは重要、聞かなければ答えない。それに、アリスの思考は多義に渡り、何時のどの質問か分からない。全て答えても、多すぎてアリスが途中で拒否する」
「分かった、分かりました、言葉で行きます、意地悪ごめんね」
と言ってうなだれる、リリスに意地悪は通じない。
と言うか、意地悪したく無いのが分かってしまった。
「アリスと言葉のコミュニケーションは楽しい」
リリスが楽しいと! くっ、これは嬉しい。
リリスは人間だと思う事にする。
「リリス前に言ってたよね「敵性の人類を絶滅攻撃する」あれは事実?」
「事実、すでに準備は終わっていいる」
なんと! 既に絶滅できる準備が終了してた!
「方法を聞いていい?」
「話してもいいが、アリスはきっとリリスが怖くなる。そして、他の人に話してはいけない。いい?」
これはまた、爆弾発言が出てくる。
覚悟を決めて聞こう。
「話さない覚悟は終わってるし、リリスが怖いことはない」
「では、太陽系に全長数百メールから数キロの大きさの小惑星96個に推進器の取り付けが終わっている。これを地球衝突軌道に乗せれば、人類は絶滅する」
思わず想像した。
多くの巨大小惑星が地球に衝突するシーンを、映画ハル○ゲドンでも小惑星が一つ。
スペースシャトルが96台有っても無理。
なんとも簡単で防御不可で確実な方法。
「ちなみに、小惑星はどの方向にも重力空間制御で3G加速するので、地球の宇宙船では接近が不可能」
回避機能付き!
「あなたと私は死なないので安心」
「安心できるかーーーー!」
思わず叫んでしまったが、なんでそんな準備が終わっているのか不思議でならなかった。
「なんでそんな準備を?」
「これはライ連の基本理念に適合した行動と、調査船の行動方針。
基本理念は、
『文化集合体の内に優しく外に厳しい方針を持ち、各種族各民族の文化を尊重する』
この中の『 外に厳しい 』が、ライ連の外に対しとても冷徹で厳しい対応が行われる」
「なぜに?」
「地球人類は運がいい、今まで数千年間、種の存続をかけた戦いをしていない。地球という小さな世界の生命の頂点に立ち、他の生物は人類の住む環境のために、多少人が殺されようが保護し守っている。地球環境という小さな世界は、人類のために守る必要がある。
しかし、種の生存をかけた戦いを忘れている、そうですね?」
「たしかに、種の生存をかけた戦いはしていない」
「宇宙空間には種の生存をかけた戦いが有る。約2000の星系を持つライ連でも、宇宙の広さから見れば、小さな生命体集団でしか無い。ライ連の歴史は、種の生存競争を生き抜いた戦いの歴史がある。数万年前にできたライ連の基本理念。
この理念にそって行動してきたライ連は、数万年間も継続した実績をもつ」
話の中から、リリスが持つ自信と確信を感じる。
「私の所属する安全保障局の使命は、外部の知的生命体と脅威になる生命体や現象を広範囲に渡って探査し、発見次第、武力を持った調査船が派遣され、敵性と判断した時点で無条件に最大戦力を持って殲滅する」
「私の使命は、知的生命体を詳細に渡って調査し敵性であるかどうかを判断する。時にはコンタクトを行い政治的な交渉も行う。
知的生命体とコンタクトする場合は、相手の技術力・攻撃力・防御力・行動範囲全てに渡って調査し、コンタクトするためには相手を絶滅させる準備が出来なければコンタクトをしない。アリスにコンタクトする時点で、準備が終わっていた。
これがライ連が生き抜いた基本理念による行動方針。
それが理由」
「地球人類は、運良く宇宙空間の生存競争に遭遇しいていない。今回ライ連の第一級調査船に遭遇し、生存競争の舞台に触れた。何もしなければ飲まれて消える」
「第一級調査船の武力はライ連でも一級。直径1キロの球形型要塞船。星系を単独で制圧でき、恒星破壊兵器を持ち、10光年の制宙権を作る艦載機と移動ネットワークを持つ。
私は事故でほとんど武力が消えたが回復しつつ有る。そして使命は変わらない」
目の前に3D映像で調査船の全景と、その周りを動く数百の光点は、調査船から発着する艦載機。その場所は球体の多くの場所に有り、絶え間なく離発着をしていた。
近くに艦載機が見える、その大きさから調査船の全体の大きさが、途方もなく大きなものであることが分かる。
これがリリスの真実の姿であり、強力な武力を持った要塞船なのだと示される。
そして、真紅の瞳で真剣に語るリリスを見て、私には想像もできない戦いが有ったのだと感じる。
地球人類にとって、いつ敵性と判断されて絶滅のボタンが押されるか分からない。
たしかにリリスは怖い存在だ。
間違いは許されない。
「いまの人類はどう評価されているの?」
「いくつかのルールの判断では敵性知的生命体。
しかし、今は絶滅攻撃を保留中。
ただし、いくつかのルールに接触すると即時攻撃」
「通常であれば地球程度の科学文明は、接触せずに監視部門に移行され、数100年間監視するだけになる。
多くの監視文明は、恒星間航法を見つける前に、文明のピークを迎え衰退する。地球もそうなる可能性が高い。
しかし、すでに80年も接触し監視フェーズを超えて、長期接触フェーズとなった。この結果、ライ連に所属するか滅ぼすかの判断しかない、中途半端な状態はない」
これは、強力な武力を持つ宇宙人に、入るか死ぬか判断しろ。
と言われているのに等しい。
人類は、誰も知らないところで選択を迫られている。
「その、 敵性知的生命体の判断を解除する方法はないの? 」
「ある」
「教えて」
「いくつかのルールをクリアして、ライ連に所属する」
「そうか、ライ連に入るためにはどうしたらいい?」
「いくつか有るがルール抵触の大きな部分を出す。
1,最小、1星系1政府
地球は国が多すぎる、国連は国と認められない。条件の一つに武力は一部所が強制権を持って強く管理し、個別に武力が有る場合1国と認められない。
ライ連に加盟次第、武力は解体しライ連の連合宇宙軍に入る。
一般的に1星系1政府以下の文明は、星間航法を持たないので監視フェーズに入る。でも、人類は監視フェーズを超えて長期接触フェーズに入った。
2.文化の尊重
これは、地球人の多文化共生とは意味が全く違う。
ほぼ逆、共生しないことが文化を尊重する。
ライ連は多種族多民族、文化が違うのが常識。
其処に行ったら其処に従え合わせろ、嫌なら刑罰か強制送還。
これがライ連の常識。
文化の尊重には他にいくつかルールが有る。説明過多で省略。
3.ライ連の基本理念を理解しライ連ルールに従う。
交渉し条約をしなければならない相手とはライ連ルールに従わない事と同じ。ルール内であれば基本自由であり、ルールに従うなライ連と交渉する必要がない。
ライ連の長い歴史の中で、古い過去にライ連外と交渉して作られた条約が有ったが、相手が破り守られたことは一度もない。
そして、条約が足枷となりライ連にデメリットが発生する。特に、技術が流れた結果、敵を強敵にして多くの血が流れた。
以後ライ連ルールに従わない外との交渉や条約はしない。
それを要求する相手は殲滅する。
4.見えない一部の権力者にコントロールされやすい地球のメディアの仕組みを認めない。ライ連にとって害悪でしかない。
5,地球人が持つ原子爆弾はダメ。
原発は基本駄目だが、加入後にライ連技術に替える。
大きくはこの5つ、可能ですか?」
「これは難しい。何もしなかったら、無理かな……」
うーーん、あーー、くーー、うーーん、と色々考える。
もう、結論は決まっているよね。
「もうしかたがない、地球を征服してルールを作って変える。そして、ライ連に入れば問題なし。私は寿命も長いし死なないし、私にはリリスがいる!」
こうして、アリスは地球征服を決意する。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます