第4話 宇宙食

白いゴハンの上に「ふりかけ」をサラサラとかける。

俺がモジュール2に移動して初めてのご飯。

まず水のボトルを給水器にセットして温水をつくる。

白米のフリーズドライのパウチ袋にお湯を注ぐと完成だ。

そこに「ふりかけ」をかけて頂く。

好きだねえ、この味。

ほのかな塩味とタマゴの甘味。

10年を要する宇宙の旅に必要なのは「飽きない味」だろう。

日本の代表的な、ふりかけ「ひよこのり」を白米にサラサラとかける。

(無重力では飛び散らない工夫が必要だが。)

宇宙食には、ほかのメニューも積んでいるが、メインは白米と「ひよこのり」。

この「ひよこのり」の中には宇宙で不足しがちな栄養素がしっかりと入っている。

なんでも「ひよこのり」メーカーとJASAの共同開発だそうだ。

無重力や放射線の影響を少なくする薬剤も入っている。

もぐもぐ、

やはり「ひよこのり」は飽きない。

俺は探査機の操縦もしない。

機器の修理もしない。

地球への通信報告も、義務ではない。

全ての作業は「はやふさ」が全自動でやってくれる。

仕事の無い俺は食べる。

宇宙では食事が主な楽しみとなる。

何の仕事もしない俺が、なぜ「はやふさ9」に乗ることになったのか?


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