第14話 食糧計画

俺「帰りの食糧は足りるんだろうな?」

CPU「だいぶ余裕がありますよ。」


小惑星到着から6か月間が過ぎ、資源回収作業が終わった。

俺は小惑星の上空を計5個のモジュールと6か月間も周回していた。

資源回収していた5個のモジュール(Bグループ)が小惑星をきのう離陸した。

離陸時は少しパワーが必要なのでスラスタを使う。

通常イオン化してから放出するキセノンを直接噴射する。

燃料は多量に消費するがパワーは出る。


俺「資源回収はうまくいったのか?」

CPU「Bグループのモジュール室内は希少物質で満杯になっています。」


Aグループの5個のモジュール内は帰還用の俺の食糧がある。

Bグループの5個が俺のいるAグループの5個と合流した。


俺「地球帰還まで水は大丈夫?」

CPU「はい、リサイクル可能ですので水は使い放題です。」

俺「帰りの食糧は足りるんだろうな?」

CPU「だいぶ余裕がありますよ。」

俺「くわしく残量を言ってくれ。」

CPU「あなたの搭乗モジュールの食糧は、そろそろ無くなります。」

CPU「ですから食糧の残量はモジュール4個分だと考えて下さい。

俺「もうすぐドッキングして乗り移るタイミングなんだな?」

CPU「はい、モジュール1個で2年間分の食糧があります。」

俺「じゃあモジュール4個で残りは8年間分だな?」

CPU「はい、帰りも5年間かかるので3年間の余裕があります。」

俺「寄り道するつもりは無いけどな。」

CPU「ぐばばばばばばば」

まあまあウケた。


電力は太陽電池パネルで無限に得ることが出来る。

もしイオンエンジンが全て故障しても他の健全なモジュールに移れば良い。

(24基のエンジンが全て故障することは、ありえないが。)

ここまで計画通り。

多少機器の故障はあったが、想定内だ。

長距離の宇宙航行では機器の故障は避けられない。

そのために10個のモジュールを集団で渡り鳥のように飛ばしている。

大丈夫だ。

大丈夫。

行きで平気だったのだから。

帰りも上手く行くさ。


俺は今、白いゴハンを食べながら、モニターで映画を見ている。

このずっと消えない不安感は何だろうか。

映画の内容は全く頭に残らなかった。









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