第19話 ハッチ
水をいくら飲んでもノドの渇きは消えない。
微小天体の衝突事件からすでに、1週間が経過してしまった。
明らかに、おかしい。
まだ「はやふさ9号」の人工知能と連絡が取れてない。
先ほどモジュール内の食糧パックが全て尽きた。
こういう場合、通常であれば他の健全なモジュールと自動でドッキングする。
ハッチを開けて俺が乗り移れば、新しいモジュールの食糧や設備を使える。
はやふさ9号の人工知能はドッキング作業を自動で全てしてくれる。
しかし現在、人工知能とは音信不通だ。
もしかして、俺が寝てる間にドッキングしているのでは?
そう思い、何度かハッチを触った。
ドッキングしていればフスマ状ドアハッチを手でスライドさせれば良いだけだ。
もしドッキングしてなければロックが解除されずに、人力では開けられない。
何度も試したが、フスマ状ドアは決して開かなかった。
ロックされている。
つまり他のモジュールとドッキングはしていない。
なぜだ。
やはり人工知能は死んでいるのか?
俺はモジュール6に閉じ込められた。
地球帰還までは、まだ5年ほどかかる。
人間は水だけで、どれだけ生きられるのか?
水だけで5年間も生きられるか?
いや、1年間だって無理だ。
また照明がチカチカと消えた。
まず最初に短くチカチカと消える。
次に長くチカ~、チカ~、と消える。
短い方は10回を超えることは無い。
長い方は5回以内だ。
あッ。
俺は照明の点滅に、規則性を発見して声をあげた。
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