第10話 死亡事故
俺「もしも今この探査機の中で俺が死んだらどうなるんだ?」
はやふさCPU「お通夜には誰も来ませんよ。」
はやふさプロジェクトの死亡事故の記録を思い出して聞いてみた。
(はやふさ9号の人工知能とモニター上のテキストで会話している。)
人間は心不全などで突然死ぬ。
長距離の宇宙航行を行う人間なら、なおさら死亡リスクは高い。
はやふさの人工知能は探査機の完全自動航行を可能にした。
だから俺が死亡してもミッションをこなし地球まで帰還できるはずだ。
俺「もしも今この探査機の中で俺が死んだらどうなるんだ?」
はやふさCPU「お通夜には誰も来ませんよ。」
俺「いや、そうじゃなくて。実際のところを聞きたいんだ。」
CPU「はい、あなたの遺体を帰還させるため保存します。」
俺「具体的には?」
CPU「室内の温度を下げて真空状態にして腐敗を防ぎます。」
俺「つまり、フリーズドライだな。」
CPU「・・・はい。」
宇宙開発に事故はつきものだ。
米国もロシアも事故で人命を失っている。
日本も「はやふさプロジェクト」で過去に死亡事故を起こしている。
・・・フリーズドライか。
「タタミの上で死ぬ」という言葉があるが、老人も事故死を恐れるのだろうか?
105歳の老人が寿命が尽きる寸前まで事故死だけは嫌だと思うのだろうか?
秒速30km以上で宇宙を飛ぶ和室のタタミの上で俺は、ふるえた。
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