第2話 ランデブー
ユサユサと部屋が揺れて、ドッキングが完了した。
きのう、探査機「ハヤフサ9号」は自己診断プログラムで故障が判明した。
酸素生成装置が故障しているという。
生命維持に支障があるという情報は地球からも得ている。
日本航空宇宙局(JASA)の診断ではモジュール交換の必要があるとのこと。
現在、俺が住む第1モジュールは四畳半ほどの大きさだ。
この他にもモジュールは9つ、同一軌道を数キロの距離をあけて飛んでいる。
つまり「はやふさ9号」は10個のモジュールの一群のことを指す。
10個のモジュールが互いにバックアップしながら宇宙を行く。
(四畳半サイズの衛星10個が距離をとり並行して飛んでいる)
そのひとつ(モジュール1)に俺が乗っている。
全て同じ性能で同じ機器を積んでいるので、9回はモジュール交換が出来る。
モジュールが壊れたら人間がモジュールを移動して、切り離す。
というわけで、俺はドッキングしたモジュール2へ入ることにする。
ランデブーとドッキングは全て自動で行われた。
地球のJASA本部からも通信指示は受けるが、メインは「はやふさ」だ。
「はやふさ」のコンピューターが状況を判断して行動を起こす。
地球とのタイムラグが30分を超えるので、通信では間に合わない。
現場の探査機「はやふさ」が判断するのが一番確実であるということらしい。
ランデブー、ドッキング、飛行制御、生命維持、全て自動で行われる。
機器が故障しても俺は修理しない。
というか、修理の訓練を受けていないので直せない。
俺は、たったひとりで「はやふさ9号」に乗っている。
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