第9話  CPU

俺「ヒマな時、俺は何をするべきなんだ?」

CPU「筋トレをすると女性にモテますよ。」


目の前のノートPC型モニターに文字が表示された。

はやふさ9号は高度な人工知能が航行や生命維持を全て管理している。

俺は、人工知能「はやふさCPU」と文字で(会話)をする。

はやふさの人工知能CPUは、この部屋の壁の裏にあるらしい。

すぐ近くの壁裏のCPUと文字で(会話)するというのも妙な感じだ。

合成音声を使えよ。

しかし閉鎖環境では「合成音声」が人間のストレスになるらしい。

だから合成音声出力デバイスは無い。

俺はテキスト表示ぐらいの距離感がちょうど良いと思う。

地球のjASA本部との通信は往復時間が広がり(会話)には不便だ。

だから(会話)は、はやふさ9号に搭載された人工知能CPUと文字でしている。


俺「ヒマな時、俺は何をするべきなんだ?」

CPU「筋トレをすると女性にモテますよ。」

俺「モテるって?近くに女どころか生命体がいないのに!」

CPU「ごばばばばばばばばばばばば」


最後の「ごばば」というのはCPUが「笑った」という意味だ。

CPUが壊れるほど面白い意味なんだと。

実際CPUが壊れたら俺は死ぬんだが。

こんな風に「はやふさCPU」は冗談が話せる。


俺「このあたりの宇宙空間には何があるんだ?」

CPU「2キロ先にファミリーレストランがありますよ。」

俺「もしカフェ・サンデーがあったら停めてくれ。」

CPU「残念ですが和風レストラン鬼飯です。」

CPU「べぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼ」


最後のCPUの「べぼぼ」という笑いは、このくだりが冗談だと念押ししている。

万が一にも冗談を本気にして人間側にトラブルを発生させないためだ。

空調や照明など暑い寒いの俺の要望は、CPUがかなえてくれる。

でも運航に関する要望は絶対に聞いてくれない。

俺がCPUに「ここで停めて」と言っても、絶対に止まらない。

人間が操縦にタッチ出来ないというのは、そうゆうことだ。



  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る