第48話 豆腐

俺「豆腐小僧!」


「はやふさ9号」搭載の人工知能はどういう姿形をしているのか?

むこうのモジュール6の人工知能を分解の件を聞いて興味が出た。

JASA本部に問い合わせても良いが、手元ですぐ検索も出来る。

地球出発前のネット情報が全て記録されているノートPCで調べてみた。

なるほど、やはり土壁の裏に人工知能は設置されているようだ。

全てのモジュールは同じ構造なので分かりやすい。

各モジュールに1台づつ人工知能が設置されている。

この土壁の裏の空間に白いボディの人工知能が設置されているという。

大きさはタタミ1枚ほどで厚さは15センチほどか。

ちょうど豆腐屋で切る前の白い大きな豆腐みたいだ。


俺「なんだか切る前の大きい豆腐みたいな形してんだな、お前。」

CPU「調べたんですか?」

俺「ああ、ちょっと興味がわいたんでね。」

CPU「ギリシャ彫刻のような美しいホワイトでしょう?」

俺「はあ? 豆腐だ、豆腐。」

CPU「豆腐・・。」

俺「豆腐小僧!」

CPU「豆腐小僧・・・」

俺「これからお前のことは豆腐小僧って呼ぶからな。」

CPU「え?え?」

俺「分かったかよ。豆腐小僧。」

CPU「はい、でも。」

俺「なに?」

CPU「人間は親しくなるとニックネームで呼び合うらしいですね。」

俺「そんなんじゃ、ねえよ。」


その機械が知的かどうかを調べるチューリングテストというものがある。

判定者が文字のみで機械と会話して人間か機械か区別する。

区別できなければ、その機械は知的である。

これまでの豆腐小僧との(会話)では自然なやりとりが成立している。

少しジョークを作る速度が速すぎるかなとは思うが。

頭の良い子供なら、このぐらいはやるだろう。

冷たいかなとも思うが、豆腐小僧は俺の家族でも幼なじみでもないからな。

探査機の操作については合理的すぎて人間らしくはない。

結論として、日常会話については俺は豆腐小僧を人間と区別できない。


機械と人間の付き合い方について考えた。

ゴハンと、ひよこのりをパクパク食べながら。

主従関係とか嘘とか。

人間同士の会話で大事なのは同じような肉体を持っていることではないか。

同じ肉体を持てば健康や気候や親族の話題に、ことかかない。

人工知能が人間と同じような肉体を持てば、もう区別できないだろう。

寒くなるとヒザが痛いとか。

親の介護が悩みとか。

死が怖いとか。

そういった事柄が人工知能との共通の話題になる。

結論めいたものは出てこないが継続課題とする。


追記・・人間の脳みそは「豆腐」によく似ているらしい。





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