第62話 明日

ジョンソン「ヘイ、サムライ。明日補給船が来るぞ。」

俺「ああ、明日か。お世話になりました。」

ジョンソン「この金色のプレート持ってくのか?」

俺「あ、これは。」

ジョンソン「救出した時にお前のパンツの中に入ってたぞ。」

俺「このプレートは持ってくよ。」

ジョンソン「その金プレートは何か大事な物なのか?」

俺「京都の、みやげ物だ。」

ジョンソン「表面の文字は何だ?」

俺「仏教のお経だ。幸運のお守りだ。」

ジョンソン「ワオ。日本国内のバッシングの話は聞いている。元気出せ。」

俺「大丈夫だ。」

ジョンソン「月面行かないで地球に帰るんだろう?」

俺「さあな。そうするかもな。」

ジョンソン「地球に帰って再出発だな。サムライ。」

俺「かもな。」


米国人のジョンソンが荷物の整理を手伝ってくれた。

入れ替わりでロシア人のバイコヌールが体調チェックに来た。


バイコヌール「体の調子どうだ?サムライ?」

俺「普通に戻ったよ、ありがとう。」

バイコヌール「クマムシのたんぱく質で作った新薬、飲んだ?」

俺「被ばく対策の薬だな。飲んだよ。」

バイコヌール「パンツの中に大事そうに入れてた金のプレート、あれ何?」

俺「忍者の防具だよ。」

バイコヌール「ニンジャ!表面の細かい文字は?」

俺「あれは忍者の呪文だ。読むと勇気が出る。」

バイコヌール「ハラショー!でも日本ではバッシングが酷いんだってな。」

俺「ああ、分かってる。」

バイコヌール「帰ってもツライだけだから月面の探査船に乗れよ。」

俺「まあ、そうするかもな。」

バイコヌール「補給船は月に寄ってから地球に降りるから、月で降りろよ。」

俺「さあ、どうするかな。」

バイコヌール「新しい探査船で再出発しろよ。サムライ。」

俺「ああ、まだ決めてないがな。」


補給船は俺をピックアップして、まず月面に行く。

そこで降りれば、俺は新しい探査船の乗組員になる。

月面で降りなければ地球へ帰還する。


宇宙ステーションの窓から地球を見れた。

薄いブルーの地球は、みずみずしい果物のように美しかった。

真っ黒な宇宙空間も静かで美しい。

地球と宇宙。

青と黒の境界線が一番美しいと気づいた。





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