衞藤萬里

泣く準備をしろ！ 唇を噛みしめる支度をしろ！ ……よし、おっけえ？ じゃあ、読め。 そして明日から、部屋のドア開けるとき、その行為の大切さを嚙みしめるんだ。 この物語は、それを読…続きを読む

淡々と語られる何気ない日常の一コマ。 文体の流れがよい。 流ちょうで、濃淡があって。 主人公が占いをしてもらおうとした時、 ＞近づくと黒だと思っていたテーブルにかけられた布は、…続きを読む

何でかって？
うん、それはね、君たち読んでごらん。
僕らの時代だったんだよ。

美しく、落ち着いて色彩で整えられた一作。
読む人の胸に染みとおる、読まないのがもったい佳作！

武蔵野の情景と、ひやりとする結末が、中国古典の怪異譚を連想させるような一編。

かさかさって音がする。
きっと主人公を誘っているんだろうか？
辛くって苦しくって、もう終わりにしようって主人公を誘ってるんだろうか？
でもねそれはね……
読んでのお楽しみ。

いやいや酔っぱらいをのせたタクシーの運ちゃんが、お客からせがまれてぽつりぽつりと噂話を語りだす。
いや、実際ありそうで、おもしろい。
みなさんもタクシー乗るときはお気をつけて。

おいしそうなイモムシを見つけたオケラ。
イモムシの提案に受け入れます。
おいしそうなアリを見つけたオケラ。
アリたちの脅しに引き下がります。
そして……
くすっと笑える一編。

前作のつづきだ！ 軽妙な会話、臨場感のあるアクションシーン。 わくわくする冒険活劇！ 少年の心で読むべし。 しっかりと考えられた世界観の下地があるので、安心してひたれます。 もっと…続きを読む

某所のレポート、お疲れさまです。
いやぁ、この登場人物とは、じっくお話したいです。

ので、読んでみると良いと思うのだよ、諸君。
きっとあなたも、週末の予報が気になるだろう。

空耳かな――と思ったら、違った。
途中まで読んで、じんときた。
最後まで読んで、またじんときた。

現実世界にあるのかないのか、まったくわからない不思議な駅舎で働く主人公。 姿を見ることもできない駅長。 出入りするさまざまな人々。 なぜこのような駅舎が存在して、多くの人々がこの駅…続きを読む

自分のばかな一言で両親を失い、やがて祖母も失った主人公は、度々現れるコダマだけが、心のよりどころでした。 しかし、成長した主人公にコダマが現れることがなくなってきます。 たまらず、…続きを読む

器物のように、淡々と修繕される子どもたち。 彼らがどこから来るのかはわからない。 いずことも知れない世界の、どこかで……物語の世界は、きしむ。 ふと、これは私たちの内面ではないのか…続きを読む

登場人物たち、精いっぱい迷え！傷つけ！
そう云ってやりたくなる。
大学生――とのことである作者紫繭氏ともども、そう云ってやりたくなる物語。

うん、そんなもんさ。
解けないね、この問題だけは、ね？

魔女と、無限に近いときを生きる魔女とともに生きることを渇望する少女。 あぁ、せつない、ほんとうにせつなくって愛らしい物語だ。 読み終わった後、心地よくおだやかに笑いたければ、ぜひ読…続きを読む

主のいない屋敷を手入れする『僕』は、やがてその使命を終えて、眠りに入る。
たくさんの想いを胸にだいて……
こんな時代に、ほっこりとする掌編。

帰省途中のゲームのシナリオライターが、大雪でとじこめられた駅で、ひとりの女性と出会う。 とあるきっかけで会話を交わすようになったふたりだが、彼女から書いたシナリオを読ませてもらいた…続きを読む

職をもなく、バーと男の部屋をさまよい、街を転々とする主人公。 帰ることもできない部屋のことがいつも気がかりであって…… 「慈ちゃんはいい子だねぇ」 「こぉんないい子をくださって、…続きを読む

西部劇に似た銃と魔法の世界！ 王道のボーイ・ミーツ・ガール！ 子どものころに読んだ冒険活劇小説が、あなたの前に。 おそらくあなたの鼻は火薬の匂いを嗅ぎ、あなたの耳はざわめく酒場の喧…続きを読む

魔王の脅威が去ったはずだ――しかし？
勇者の死を演出して帰還した一行。
彼らの不可解な行動の意味は？
魔王復活の真実は？
――何てこった！次の展開が読めない！

巡礼の旅をつづける盲目の王子と、青い甲冑の騎士。
それぞれが絶望と哀しみを秘めての旅であり、残酷な旅路の果てに……

主人公がラジオで耳にした中学生の詩が、泊まっていた彼女の時間を動かしはじめます。 閉じた扉の隙間から光が差し込むように、わずか三千文字あまりの回復と前進への物語です。 私にも真っ白…続きを読む

最期に言い残すことはないか――その一言からはじまるこの物語。 夜のあぜ道を歩いていると、暗がりから誰かが不意に顔をのぞかせるような、すべて暗がりの中でのできごとに、読むあなたは身震…続きを読む

クズっぷりである。
バカっぷりである。
いや～楽しかった。
おかわり希望！

孤児院から都に出て呆然とする主人公の少年。 途方暮れ、その“眼”が見たものに立ちすくんだ少年に差し伸べられた手。 それは、やわらかい黄金色の紳士だった。 ――そんな風に物語ははじま…続きを読む

かつて七聖剣の英雄――として賞賛されるべきであった主人公。 魔王をその手で倒したはずだが、彼の旅は終わらなかった。 剣に魔法。 王道だが、ありきたりじゃない。 設定も会話も所作も…続きを読む

魔王軍四天王（この名称、何百万回眼にしたことか……）による人類侵略会議（←オンライン）である……
……
……
バカバカしい！
バカバカしくって、読んじゃったじゃないか！

物語の静けさに、心がしびれる。
文句なしの傑作！

最初はくせのある異世界ものかと思ったが……
読後はじんときました。

文字を追った途端、情景が浮かぶ物語とそうじゃない物語に分かれると思う。 本作はもちろん前者。 店の内装、人物の風貌、街並み、気候までがあざやかに浮かびます。 丁寧に描かれ、しっとり…続きを読む

ひと夏だけの関係を契約した若者と女性。 若者はうわっつらだけの言葉を自身に飾り、キャメラを構える。 彼女もまた、ありふれた自己愛につかっていた。 若者のひと夏を切り取った一編。 予…続きを読む

ザイルパートナーを募集している不思議なさそいに、ノゾミはその場所へとやってきた。 募集していたのは猫の子。 その子は猫の世界の決まり事のために、人間の子どもを探していた、それは………続きを読む

西日が照らしだす夕暮れの一本道で、彼女が少し前、彼がその後ろを歩きながらの会話。 彼は夕日のまぶしさに眼を細め、彼女の背中に話しかけ、彼女は笑い、時折振りかえりつつ、彼女の言葉は夕…続きを読む

先に進もうとする物語はいいですね。
元気が出る。
爽やか！

自分の快適さが、他人の善良さによって成り立っていることへの無自覚、無神経が、じわりとしみこんできます。
今の世の中、ありそう。

主人公への最後の一言、何を意味するのだろうと、しみじみ考えさせられました。
最後の最後まで、役目を全うしたのでしょうか？
じんとくる良作です。

くすぐったくって、思わず顔がほころんでしまう。
いい話だなぁ。

ラグクラフト体系のあの物語の、背中にへばりつく感覚をお好みの方は、ぜひ読むべき。
夜の闇の濃さに、読後、あなたは振りかえることを躊躇する満足を与えられるでしょう。
しびれる。

私たちは変わることはむずかしい。 大きく変わることなんてできない。 どんなに強く心に決めても、今までの自分に呑みこまれて、またずぶずぶともどってしまう。 この物語の主人公は、そのむ…続きを読む

短編の中、しっかりとした筆で描かれた物語です。
作者による物語の下地がしっかりしているので、浮ついたところが一切ない骨太の作品にしあがっています。

小さな町で、少女が出会った男は人助けの旅をつづけていた。
男は誰の願いも聞いた。
車いすに乗った彼女が、男に長ったことは……
泣く、絶対に泣く。

胸を締め付けられるような想いの物語――本当にそうだ。
何て残酷ではかない間柄だろうか。

自分が自分であることの難しさで、心が痛くなる。

少々重たいテーマを丁寧に描写して、地に脚のついて浮ついたところのない、後味のさわやかな一品です。

たった二千五百字程度の物語が、とても鮮やかな色彩で、美しい。
良品です。

赤面せよ、首をたれよ。
そしておののき、あぁ、本当にそうだよなぁってなる。
それでもあがいて、さ。