美樹の表象

作者 Mondyon Nohant 紋屋ノアン

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★★★ Excellent!!!

新緑のような「素敵な人」との出会いと別れを、的確に切り取られた短い文章で印象深く描いています。
お話の骨格は幻想的でありながらも、描写に具体性を与えることでおとぎ話の雰囲気を軽く抜け出し、我々の身近にあった本当の出来事として、すんなり受け入れることができます。「武蔵野」テーマの小説にまさにぴったり。

異なる宗教同士が排他的でなしにリンクする仕掛けも、読後感の心地よさを増しています。

良質な素材を巧みに取り寄せて、だらだらとさせずにまとめ上げる、著者の技量を感じる作品です!

★★★ Excellent!!!

彼らの恋は、見える形では残らなかった。
残ったものは、遺影の代わりに置かれた絵だけ。
なにもかも嘘のように、彼女は去った。

風は誰にも見えない。
けれど、五月の町を通り、若葉を揺らしてキラキラと、夏の匂いを残して去っていく。
その美しい光景と、掻きむしりたくなるような慕情が描かれた、素敵な作品です。