豊かで多彩なグリーンを、巧みな筆致で短く切り取る

新緑のような「素敵な人」との出会いと別れを、的確に切り取られた短い文章で印象深く描いています。
お話の骨格は幻想的でありながらも、描写に具体性を与えることでおとぎ話の雰囲気を軽く抜け出し、我々の身近にあった本当の出来事として、すんなり受け入れることができます。「武蔵野」テーマの小説にまさにぴったり。

異なる宗教同士が排他的でなしにリンクする仕掛けも、読後感の心地よさを増しています。

良質な素材を巧みに取り寄せて、だらだらとさせずにまとめ上げる、著者の技量を感じる作品です!

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