誰が風を見たでしょう。

彼らの恋は、見える形では残らなかった。
残ったものは、遺影の代わりに置かれた絵だけ。
なにもかも嘘のように、彼女は去った。

風は誰にも見えない。
けれど、五月の町を通り、若葉を揺らしてキラキラと、夏の匂いを残して去っていく。
その美しい光景と、掻きむしりたくなるような慕情が描かれた、素敵な作品です。

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