東京という砂漠を歩く元OLの「私」。横断歩道の途中で、話しかけてくれた青年は、昔、気にかかっていた十歳の少年だった。人を思いやる気持ちがとても温かい現代ドラマ。中盤まで、二人のやり取りにほのぼのしていたら……。人生の巡り会わせは、非常に繊細で不思議なものだと思います。ちょっとした選択によって、どんな未来になるのか分からない……でも、そんな中でも、優しさは、心に響き続けていると思いました。
空耳かな――と思ったら、違った。途中まで読んで、じんときた。最後まで読んで、またじんときた。
雑踏の中、走馬灯のように過ぎ去っていく過去の思い出たち。その中で、ふと聞こえる『僕だよ』という懐かしい声。声の主は、昔、お店に一人で惣菜を買いに来ていた男の子の成長した姿だった。温かな再開の後、訪れる衝撃の事実がありますが、でも、きっとそれは優しい思い出に包まれなからの旅立ちであろうと感じました。何気ない「ありがとう」は、ずっと心の宝箱に残り、ふと思い出しては癒されるものなのでしょう。きっと夢と現の狭間で、二人は確かに会えたのでしょう。
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(218文字)
このレビューは小説のネタバレを含みます。全文を読む(202文字)
九月の残暑の中、重い荷物を持って歩く主人公。横断歩道で懐かしい声を聞いた気がした。読み進めて行くと懐かしい再会のお話……ではあるのだけど、最後のオチでタイトルの感想となります。