夢月七海

女神イズンが管理する果樹園に、蛇退治に遣わされたツィスカ。そこで彼女は、イズンから、神々が召し上がる黄金の林檎の秘密を訊く。 北欧神話をベースにした異世界ファンタジー。寓話的な要素…続きを読む

病床の子規のもとへ、親友の漱石が訪ねてくる。しかし、英国留学の決まった漱石の表情は、浮かないものだった。 子規と漱石、日本を代表する文豪であり、親友同士だった彼らのワンシーンを描い…続きを読む

ロボットの「私」は、農場でリンゴを育てる仕事をしている。この金色のリンゴは特別製で、温暖化の進んだ地球でも育つことが出来る、唯一の品種だった。 遥か未来の地球を舞台に、農作業するロ…続きを読む

地元の洞窟の中にあった一編の詩を、悲観主義の学者が「世界の滅亡の予言」と解釈したことで、世間がざわついている。その詩について、とある病室にて、高校生二人が会話を交わしていた。 終末…続きを読む

西暦が廃止され、千二百年以上たった、現在で言うところの日本の青森県にて、次の国王を決める神事の開催が決まった。主人公の「夢讃」も、国王候補の一人として選出されていて―― 遠い未来の…続きを読む

とあるスペースシャトルの中で、上官の女性が語るギリシャ神話のある挿話を聞く「私」。二人は、とある宇宙コロニーへと向かう道中であった。 ギリシャ神話を下地に、人間の行動原理を描いたS…続きを読む

ある季節にしか実らない、どんな病気も治すという黄金林檎。とある国の王は、不治の病に臥せた姫のため、この林檎を欲しがるが……。 架空の昔話風ショートショート。昔話の構造を踏襲しつつ、…続きを読む

不老不死の黄金の林檎を求めて旅に出た男は、西の果てへと辿り着く。そこで美しい乙女たちの歓迎を受けた彼は、林檎が落ちる瞬間を目にする。 ギリシャ神話が元になった幻想的なショートショー…続きを読む

熱を出してしまったチーフの代わりに、地元の花火大会に出店した学校の模擬店を、急遽任されたてしまった、元生徒会員の岩瀬成美。多少のぎこちなさはありつつも、お店をやりくりしていたのだが…続きを読む

FPSゲーム実況者のリオは、近々開催される、三人一組でのFPSゲームの大型イベント「OWB感謝祭」に参加を決めていた。早速、彼がリーダーとしてチームを組む、やっさんとりゅいりんと共…続きを読む

フランス革命後の元ノートラダム寺院にて、「理性の祭典」という集会を開催した、新聞発行人のエベール。この世の春を謳歌するエベールだったが、マリー・アントワネットの裁判に関する彼の発言…続きを読む

夏祭り、花火を見上げる「俺」。その隣には……。 とある祭の風景を、濃縮して描いた現代ドラマショートショート。けだるげな主人公の身上と甘酸っぱい描写のギャップが印象的です。 この瞬間…続きを読む

「僕」ことリョウタは、夏休みの課題で何の祭に調べようか悩んでいる息子の相談を受ける。そこで、「僕」以上に世界中を旅して、色んな祭に詳しい妻のユウにも尋ねてみると……。 とある一家の…続きを読む

とある女性が語ってくれた体験談。彼女の先輩の娘が、ある夜に行方不明になったという――その裏で起きていたこととは？ 身近な出来事から、怪異の存在が浮かび上がってくる現代ファンタジーシ…続きを読む

打ち上げ花火が上がった後、祭の片づけを始める人々の上に、雨が降り始める。その瞬間、一人の女性が現れた。 とあるワンシーンを切り抜いたスケッチのような、現代ファンタジーショートショー…続きを読む

とある村に伝わる祭。その起源は、呪術師によるお告げだった。 架空のお祭りを掘り下げた、八百文字ぴったりのショートショート。展開の意外性に、何度も驚かされてしまいます。 この短い間に…続きを読む

春に開かれるとある地方のお祭りについて、詠まれた俳句三首。 どんなお祭りなのか、その文化や参加者側の気持ちを述べた解説付きです。 読んだ後に、このお祭りについて調べてみるのもお勧め…続きを読む

圧倒的な数の不利を受けながらも、最新式の火縄銃を手に、打ち捨てられた砦を守る傭兵部隊。今回は勝利をおさめたが、次は負けても可笑しくない状況でも、彼らが熱狂しているその訳とは？ 中世…続きを読む

イギリス領のアジアの港町にて、とある船の船長・コリンスは、とあるお嬢様が公開中に見かけた人魚を、彼女と共に探し出してほしいという命令を受ける。しかし、実のところ、コリンスには、その…続きを読む

「私」の通う中学には、『人魚さん』と呼ばれる同級生がいる。男子の間では、彼女と二人きりで話すと幸福になれるとかいう噂が広がっていて……。 等身大な中学生たちの、心の内や悩みを描いた…続きを読む

中学時代に好きだったイラストサイトのことを、エッセイという形で書き綴っていたリョウタ。それを妻のユウに見られると、思わぬ反応が……。 ネット黎明期の思い出話から、現在の夫婦生活まで…続きを読む

水島の船上で平重衡は、波の下で何者かが内緒話をしているような声を聴く。重衡の兄の知盛はその話を聞くと、これから源氏を迎え撃つための、一計にしようと考えた。 『平家物語』などの古典を…続きを読む

夏の混雑したビル街で、水着のディスプレイを眺めている「私」。ふいに思い出したのは、一年前に同級生だった南野君に再会した時の会話だった。 回想と会話を中心に、「私」の半生と南野君の関…続きを読む

海中を漂う、たくさんの泡。それらは……。 オノマトペが中心に構成された絵のない絵本のようなお話。心で感じるがままに、読み取ることが出来ます。 言語感覚とは、語彙力だけでは測れないの…続きを読む

台風一過の高校で、健吾は友人の琢磨から、ある噂話を聞く。なんでも、とある教師が、学校内のプールの中で泳ぐ人魚を目撃したらしい……。 一介の男子高校生が、学校内の噂に挑む短編ミステリ…続きを読む

市に合併された後も、かつての名残が多く残る「村」で育った「僕」。この「村」の駄菓子屋には、前川さんという謎の女性がいた―― とある田舎の村の来歴を丁寧にたどってから、そこに巣食う「…続きを読む

男子大学生の百瀬は、とある海の家で見かけた女性と、大学の講義で再会する。自称・にんぎょの彼女と、百瀬はいつの間にか、飲み友達になっていった。 コミカルなのにちょっとシュールな、人魚…続きを読む

とある水族館で飼育されている、一匹の人魚。退魔師の「俺」は、彼女を見はる仕事をしている。 人魚と人間の関わりの一端が垣間見える現代ファンタジー短編。人魚と「俺」との内緒話の緊張感に…続きを読む

ある方が語ってくれたお話。姉夫婦の転勤先は、海の近くで、義兄はそこでよく釣りをしていたのだが……。 ８００文字の非常にシャープなホラーショートショート。「分からない」部分が多いから…続きを読む

ある夜、普段よりも早く帰れたサラリーマンの「俺」は、突然の雨に降られて、すぐ近くにあった扉の中へ。そこは、一人の女性が営むバーだった。 普通のサラリーマンが体験した、奇妙な夜を描い…続きを読む

嵐のせいで、娘の学校が休みになってしまったある日。しょんぼりしている娘を元気づけようと、「私」は娘のためにつまみ細工に挑戦してみるのだが……。 家族の何気ない情景が描かれた、二千文…続きを読む

大学時代の集まりに参加した菜々緒。新卒として、仕事の大変さを語り合う同級生たちの話に、耳を傾けるだけなのは、自分の仕事の話が出来ないから―― とある若い女性の一週間を描いた、お仕事…続きを読む

上京したが夢破れて、戻った故郷でミニコミ誌の出版の仕事をしている熊野（ゆや）静奈。先輩との飲み会中、同じ苗字のミュージシャンがいると教えてもらった動画に映っていたのは……。 夢を追…続きを読む

芭蕉の弟子のひとり、去来は京都の嵐山にまだ名前を付けていない草庵を構えていた。ある秋の日、去来に草庵の庭に実った柿を売ってほしいと申し出る商人が現れた。 一つの草庵の名前の由来から…続きを読む

豪雨警報が出た日の夜。地下街につながるマンションで暮らす「僕」は、ベッドの上で、雨に関する思い出を振り返る。 眠る直前のあの感覚を丹念に描いた現代ドラマ短編。主人公と同じように、ニ…続きを読む

成幸が勤めている会社の雨女・水澄さん。いつも雨に見舞われている彼女に、成幸は恋をしてしまい……。 一筋縄ではいかなさそうな、職場恋愛をテーマにした現代ドラマ短編。積極的な成幸君と、…続きを読む

梨乃は、ある台風の日に、嵐の中を飛ぶ龍の姿を見つけた。一方、飛んでいた龍も、梨乃のことには気が付いていて……。 少女と龍の交流を描いた現代ファンタジー短編。意外なところに不思議が転…続きを読む

「俺」の職場の先輩のキョーさんが、渋々有給休暇を取得した。事前に言われていた通り、「俺」はキョーさんの家を訪問してみると……。 風変わりな先輩・後輩関係を描いた現代ファンタジー。キ…続きを読む

アパートの一室で、趣味の小説を書いている主人公の男。ふと、外が暗くなったのをきっかけに、彼の思考は一時中断される。 日常の中のワンシチュエーションを淡々と描いた現代ドラマショートシ…続きを読む

突然の雨に見舞われた語り手は、目に入った看板のある店に飛び込む。そこは、おじさんが一人だけいる喫茶店だった。 800文字のホラーショートショート。日常がいつの間にか、というグラデー…続きを読む

貧困に耐えかねて、夜の海でのサザエの密猟を決行した青年の頼希。サザエを捕ること自体はうまくいったが、その直後の嵐が、彼の乗るゴムボートを襲い……。 一人の青年の一夜を描いた、ワンシ…続きを読む

嵐の接近と街で強盗が発生したことによって、船が出せない状況のセントローレンス港にて。スクーナー船の船長・コリンスは、次の公演のために、いち早く出発したいカルテットの頼みを受けて、嵐…続きを読む

「わたし」の隣の家では、夕方五時になるとそこの少年・慧くんが、ヴァイオリンの練習する音色が聞こえる。彼は母親や周囲から、強く期待されるほどの天才だった。 普段と変わらない日常の光景…続きを読む

幼いころから、そばかすだらけの顔をからかわれ続けた「私」は、様々な裏切りと悲しみが続く半生を送っていた。何もかもを諦めたまま高校生になった「わたし」に、ある出会いが……。 過酷な人…続きを読む

地球から遠く離れた「ノコロ星」からやってきた「わたし」。その不思議な生態と、自身の母親について語ってくれた。 「わたし」が答えたインタビューによって構成されたSFショートショート。…続きを読む

とある商会の執務室に置かれた、何とも奇妙な贈り物。ネルはそれを眺めながら、贈り主に思いを馳せる。 巨大な商会の栄光から没落、そして再起までを、一人の従業員の目線から描いた異世界もの…続きを読む

とある小国で開かれる、即位式の裏側で。主役である新たな女王であるラケルは、母のイライアとともに、その瞬間を待っていた。 新たな女王の回想から、「母」である元王妃の実像に迫る異世界フ…続きを読む

十八世紀のフランス、コルシカ島にて、女手一つで子供たちを育てているマリア。特に、息子の一人のナブリオには、その喧嘩っ早さから手を焼いていた。 フランスで一時代を築いたある男と、その…続きを読む

リョウタとユウの夫婦は、ホームセンターで買い物中、園芸コーナーで母の日用のカーネーションを売っているのを見かける。ユウは自身の母にカーネーションは贈らないといい、その理由と母の思い…続きを読む

「わたし」の六十歳になる母は、突然の脳出血で倒れて、そのまま還らぬ人となった。葬式も終わった頃、仏壇に置いていた母の骨壺が光り始めた。 死者と生者の関わりを淡々と描いた、少しシュー…続きを読む