市に合併された後も、かつての名残が多く残る「村」で育った「僕」。この「村」の駄菓子屋には、前川さんという謎の女性がいた――とある田舎の村の来歴を丁寧にたどってから、そこに巣食う「何か」を描いたホラーショートショート。サクッと読める文字数ながらに、物語世界に奥行きがあります。自分の秘密を明かす瞬間というのは、覚悟をしていたり、気まぐれにだったりと、色んなシチュエーションがあるのでしょう。しかし、それを聞いた者が——と考えると、余計に恐ろしく感じました。