突然の雨に見舞われた語り手は、目に入った看板のある店に飛び込む。そこは、おじさんが一人だけいる喫茶店だった。800文字のホラーショートショート。日常がいつの間にか、というグラデーションが、非常に鮮やかで見事です。ホラーとは、理不尽なものであればあるほど良いと私は考えます。因果応報的なホラーも好きですが、普通の人の体験だからこその恐怖も大好きなので、ここではそれを味わうことが出来ました。
秀逸なショートショートと言えるが、それだけではない「なにか」を感じた。それを細かく言うのはレビューから離れるのでよしておく。 文章に目を向けると、実にコンパクトで、切れ味鋭い。短ければ短いほどアイデアが生きるので、適切な対応と言えるだろう。 しかし、逆にだらだらと長く書いてみても、おもしろい作品になったかもしれない(とんでもない力量がいるだろうけれども)。
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