序盤は身長や隣り合う二人、通学路を使ってスピーディに二人の関係性を描写しながら、後半は指輪を使って主人公の初恋が終わりゆく……いや、萎みはじめる様子が丁寧に描かれています。
約1900字と言う短い文章の中で、ひとつひとつ描写されたワンシーン(例えば、自転車のペダルを逆踏みする場面)が、目に浮かぶように書かれていて好きでした。
失恋を描きながら、ご自身の書きたい部分を書く。
作者さんのやりたいことが綺麗に読者に伝わって来ると感じました。
最後、彼女への想いを振り切ろうとするような彼の描き方が、いいですね。
『しばらく留まる』ってあたりがまた書き方が良い。
彼がこの時点での夏実さんに年齢が追いついた時に……もうひと幕、物語が始まったりしないかなぁと期待してしまうラストでした。