朝から昼間にかけて燦々と陽に照らされたアスファルト。それが夕立に当てられ、湿気った暑さに変わる。そんな夏の一風景が思い浮かんだ。この物語の主人公は、夕立の雨雲を随分と前から見ていたはずなのだ。夏の蒸し暑さは、ずっと纏わりついて逃れようが無い。
これが書きたい!とかじゃないんです これしか書けない……です
人を思う気持ち。でも叶わない。だけど、相手を傷つけたくないから、強要しない。そんなせつない思い。
最低限の事柄しか書かれていないことが、そこから放散するイマジネーションを刺激しつつ、テンポの良い文章を実現している。自転車、風、夕日、蚊取り線香などの道具立ても良い。
もしも自分が同じテーマで小説を書くのだとしたら──そう考えると、スマホを落としそうになりました。理由はとても陳腐な物語になるはずだからです。 ところがこの物語がありきたりなものになっていないのは…続きを読む
ずっと一途で思い続けた主人公の気持ちが伝わってきました。言いたい、言いたくない、という葛藤が好きです。
もっと見る