概要
「アフリカの子どもたちはもっとかわいそうなんだから、我慢しなさい」
アフリカの子どもと日本の私。はたしてどっちが幸せで、どっちが不幸なのか。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!心理描写に優れている作品
以下、本文の要約です。
〉子どもの頃から物静かで引っ込み思案だった。私はずっと期待していたのだ。地獄から救い出してくれることを。
この期待は裏切られます。冷淡に同情心の欠片もなく。
〉先生の表情はどこか胡乱気で相づち一つうたずに聞き流していた。あなたね、世界で一番可哀想って顔してるけど違うわよ。
私がかけて欲しい声はそんなんじゃない。私は、誰かを頼るのを辞めた。
心の叫び、痛み、期待外れを味わった主人公はその後躍進します。自分の手でつかみとれるものを得ていく。頼もしいその背中。フィナーレに主人公は先生と再会するが……。何度も読む価値のある作品です。 - ★★★ Excellent!!!誰かと自分のつらさを比べることに意味があるのだろうか?
もしも自分がつらくてたまらなくて誰かに相談したときに、「○○さんはもっとつらいのだから我慢しなさい」と言われたら、どのような気持ちになるでしょうか。
このお話の主人公は、いじめにあっている地獄の中で担任教師に救いを求めますが、返ってきたのは無慈悲な言葉でした。
心を閉ざし、モヤモヤしたものを抱えてしまう主人公。大人になった彼女が、その担任と再会したときにとった行動は――。
リアルな心情描写で、読んだ人の心に深く何かを残す短編です。読むうちにモヤモヤとした感情はわきおこりますが、決して胸糞の悪い結末ではありません。自分は救いを見出しました。
担任の言葉は無自覚に残酷ですが、彼女もことさら残虐…続きを読む