とても面白い作品で、気が付いたら最新話まで一気読みをしていました。
まず、読んでいて退屈しないような物語の構成が上手いです。ここでこう来るのか!とか、やっぱこうか!といった、意外な展開と想像しやすい展開のバランスが上手いと思います。
テンプレ展開だから想像しやすいのではなく、本文中に程よく散りばめられた多少考えれば分かるレベルの伏線があるからこそ想像しやすいのも評価できます。
こうだよな?こう来るよな?と思わせる誘導がよく出来ていました。
また、違うそうじゃないんだと思わず口に出してしまうようなもどかしい展開が来て、そこで溜まりに溜まったフラストレーションを一気に解放するスッキリする展開が来た時のカタルシスと言ったらもう……
早くこのフラストレーションをどうにかさせてくれ!そう思ってどんどん読み進めてしまいました。
そして極め付けはキャラクターの個性。非常に多くのキャラクターが登場しているにも関わらず、キャラ被りが一切と言っていい程ありません。だからといって平凡なのかと言われればそれも違い、全員キャラがとても濃い。たとえ一瞬だけの登場でも、強く記憶に残る個性的なキャラクターがとても魅力的でした。
そんなキャラクター達が織りなす、コメディ調で時々ダーク。まさに現代ドラマと言うべき作品です。是非読んでいただきたいと思いました。
登場キャラクター、その過去設定、家庭環境、シチュエーションなどがとても凝っていて、見てみて飽きるシーンがひとつも、本当にひとつもなかった。
VTuberという不特定多数、人間関係の書き方の難しさが如実に出ると思う作品なのに、自分のような素人にも理解できるくらい、説明などがあり、とても読みやすく、面白かった。
また、職業故の葛藤や、悩みを実際に経験したかのように…経験してるのかもしれないけど、それを曖昧に表現するのではなく、しっかりと一つ一つ書き上げるのはとんでもなくすごいことだと思うし、この作品からたくさんのことを学べました!
これからもこの作品に期待しています!
この小説は夢を追う主人公の成長を非常に高い完成度で書き上げたものになっている。
登場人物同士の会話などのやり取りも小気味良くて面白く、物語の展開も無理が無くて違和感なんかを覚えることもない。
ただひとこと紹介に書いたような面が残念に感じる。
主人公のVtuberとしての活動をメインに置いたものではなく、CGデザイナーを目指す主人公の行動の一つにVtuberとしての活動があるという構成の為、タイトルなどからVtuberとしての活動を中心にした内容を期待して読むと、期待を裏切られた様に感じてしまう。
勢いのある小説から無作為に選んで読む場合はいい小説に出会えたと言うだけだが、Vtuberでキーワード検索して読み始めた場合には読みたかったものと違うものを読んでいるように感じてしまうかもしれない。
クリエイト系に従事してなくて単純に読んでいる人は、たぶん成功に向けてどんどん主人公が成長している姿を好ましく、そして楽しく読めるだろう。
一方、クリエイト系に片脚でも突っ込んでいる人には。
まあ……うん、あまりに上手く行きすぎるところに純粋に凹みが入る可能性が。
実際にいるんだよね、まるで金色の戦馬に乗っているようなモノスゲーやつが。
もちろんその人も狂気の一歩手前まで、あるいは狂気にわが身を焼きながら自分を高めているのだけれども。
それでもなんていうのだろう、将棋で例えればかの藤井プロを目の前にして、能力幸運環境その他もろもろひっくるめて自分と見比べているような気持ちになる。