ある出来事をきっかけに異世界転生のきっかけを掴んだ男性。尋常ならざる彼の家の様相を気にせずに進められる異世界転生コーディネーターなる人物とのやり取りは、往年のSFショートショートを思わせるところがあります。
しかしながら、本作はれっきとした現代ドラマであり、枝葉の部分の描写はリアリティに満ち満ちています。特に主人公が引きこもりになったきっかけにリアリティを感じました。
その一方で異世界に向かった彼の顛末は非常に簡潔なものですが、それもまたタイトルにマッチし、また我々が日頃見る夢が虚ろである事を思えば真実味が深まります。
夢から目覚めた主人公は、暖かく柔らかな朝日に照らされている――そのような希望を持てるような物語でした。