★★★ Excellent!!! ヴィクトリア朝風の物語世界描写が秀逸でした ASD(芦田直人) このレビューは小説のネタバレを含みます。 全文を読む(425文字) レビューいいね! 2 2023年3月8日 02:21
★★★ Excellent!!! その物語は黄金色に輝く 坂水 いつもと違う帰り道で素敵なカフェを見つけた時、古本屋でずっと探していた本に出会った時、森の奥できらきら光る石を拾った時。 そんなときめく、心躍る、これから何か素敵なことが起きるのではという瞬間、誰にでも覚えがあるのではないでしょうか。 プロローグを読み終えた時、まさしく私の胸は高鳴りました。 ほんの一ページで心を奪われたのです。だからこのレビューを読んでいる方も、クリックしてさっさと読み始めるのが時間の効率化です。 ……まあ、もし、お時間がある方は、この駄文にお付き合いください。 どれほどの高鳴りだったか、車に乗り込んで運転を始める前にちょっとだけと読み始め、運転して、やっぱり途中でスーパーに停めてコメントを入れるほど──そうありのままを述べれば少しは伝わるでしょうか。人はあんまり素敵な幸福に出会うと夢ではないかしら、夢になるのではないかしらと慌てて足跡をつけたくなるもの。 物語は孤児院出のルカ少年が活版印刷所の徒弟となるために王都を訪れ、しかし生来の〝視える力〟で具合を悪くしてしまい、一人の紳士に声を掛けられたところから始まります。紳士の名はアーサー・シグマルディ。後のルカ少年の師となる幻術師。 ルカ少年が、彼ら師弟の生活と後に起きる事件を振り返るという語り口で物語は進みます。 文体は平易でありながらユーモア、ウィットに溢れ、日常のなんでもないやりとりが活写されています。終盤出てきた「くしゃみ」のやりとりにはニヤリとさせられました。 幻術師であるアーサーの魅力は、ルカ少年の目を通してあますことなく語られます。 彼は師である先生が好きで好きでたまらない。ものぐさなところ、ずるいところ、とびきりの幻術師というところ、全部含めて。 変わらぬ崇敬と親愛と郷愁。だからルカ少年が「先生」と口にするたび、泣きたくなるほどに幸福な気持ちにさせられるのです。 読了し、プロローグを読… 続きを読む レビューいいね! 6 2023年2月12日 10:50
★★★ Excellent!!! 美しい 千愛里 軽く読み流すことが出来ずに、何度も数行前に視線が飛ぶ。書籍化されてカラーな挿絵を見たいようで、見たらイメージ壊さないで!と我儘を言いそうな……。鮮やかで豊かにあふれる色彩と情景。秀逸で小気味の良い言葉選びやその表現力から漂うノスタルジー感と……、とにかくいろいろ美しい。そして作家さんのキャラへの視線はとても優しいのです。 レビューいいね! 2 2023年1月3日 20:15
★★★ Excellent!!! くすみ澱んだ色の溢れる世界に惑う少年を包む、やわらかに澄んだ黄金の光 橘 紀里 孤児院で育った少年ルカ・クルスは、とある印刷所の徒弟となるために、孤児院のある村イヴォンリーを離れ、女王陛下の都グラウベンを訪れます。 その街で彼が目にしたのは、緑に赤、オレンジに、茶——ありとあらゆる暗く澱んだ色の洪水でした。彼は人の周りに色をオーラのように見ることができるようです。 その色に立ちすくみ、身動きが取れなくなってしまった彼を救ってくれたのは、柔らかな金色の眼鏡をかけた、琥珀色の瞳を持つ、アーサー・シグマルディでした。 彼はルカを引き取ってくれた上に「一年間弟子のふりをしてほしい」と申し出、事情がよくわからないまま、二人の奇妙な共同生活が始まります。 魔法使いのような不思議な力を持つその「先生」は実は卵焼きを作るのに、うっかり爆発させてしまうような家事オンチ。何くれとなく世話を焼く日々が続くかと思われたのですが——。 みなしごの少年と不思議な力を持つ「鍵番」。さらには怪しい劇場の支配人に、女王陛下まで、さまざまな人々が入り乱れ、けれど一貫してどこか物寂しい旋律のような予感がずっと響いていて、ページを繰る手が止まりません。 果たして彼らの約束はどこへ行きつくのか。健気な少年ルカくんにずっとエールを送らずにはいられない切なくも温かい物語、お正月の一気読みにおすすめです! レビューいいね! 3 2023年1月3日 16:07
★★★ Excellent!!! 先へ進むために、辛い過去を紐解いて行かねばならない。 @tamigon-gingin 次々に解き明かされていく過去を次第に受け入れていく少年ルカ君。 一途で勇敢な彼は、目的を果たすために謎の扉を開けてもらう。 登場人物の繊細な心の機微に一喜一憂、失われかけていた感動が 蘇るようです。 運命に誘われて進みゆく少年の成長に大きな期待を寄せています! レビューいいね! 2 2022年4月29日 12:04
★★★ Excellent!!! 鮮やかな色彩 衞藤萬里 孤児院から都に出て呆然とする主人公の少年。 途方暮れ、その“眼”が見たものに立ちすくんだ少年に差し伸べられた手。 それは、やわらかい黄金色の紳士だった。 ――そんな風に物語ははじまる。 洗練された言葉づかいが、鮮やかな色彩となり物語を飾ります。 「あの頃ぼくは、魔法使いと暮らしていた」 うん、この紹介文からして、もうすでに物語好きをそそる。 わくわく感と、期待感とであふれる、濃厚な作品にふれたい方のおすすめです。 現在、二章まで読了。 じっくりと楽しみたい。 レビューいいね! 1 2021年5月30日 11:16
★★★ Excellent!!! センスある言葉選びと比喩表現がピカいち! 柚子シトラス 斡旋された工房に向かう、孤児院出身の少年ルカ。持ち手のとれかけた鞄の中には、スケッチブックと帆船の絵の描かれたマッチ箱。 道中、人々の発する「何か」に当てられ気分を悪くするが、これを助ける女王陛下の国の紳士。彼は、黒いローブのかわりに上等なコートをまとい、魔法の杖ならぬ古ぼけた旅行鞄を手にさげた魔術師。(以上、ほぼ本文より引用) 少年は紳士に弟子入りし、共に過ごすうちに...という筋立てだ。 とにかく、言葉の選び方ひとつひとつが、優しく、温かく、英国情緒たっぷりで。込められた愛情に、つい笑顔で読み進めてしまう。 センスが良いながら、平易なテキストで、読みやすくもあるので、まずは一話、お試しあれ! レビューいいね! 4 2021年4月14日 22:46
★★★ Excellent!!! ずっとこの世界に居続けたくなる作品です。 柊圭介 端正で美しい文章。読み手をほっこりとさせる温かみ。 ウィットに富んだ会話に外国の本を読んでいるような感覚をおぼえたり。ユーモアの中に一抹の寂しさを感じたり。 洗練された、とはこういう筆致のことをいうのでしょう。 そのスムーズな語りのおかげで、続きからでもすうっと物語の世界に戻っていけます。 丁寧に選ばれた言葉で綴られる、孤独な幻術師とその弟子の物語。 シニカルでどこか諦観のある「先生」の、静けさの内に何か強いものを秘めた佇まい、そしてそんな先生に拾われた「僕」の純粋な視線。 この二人が一緒にいるだけで親密さと切なさの混ざった独特の雰囲気が生まれます。そこへ絡むわき役たちも人間味があり、この二人を巧みに引き立てています。 あたかも自分までそこへいるかのような、ずっとこの世界に居続けたくなるような穏やかな吸引力のある作品です。 物語はまだこれから次の展開が待っていますので、今からでもぜひお手に取って、秘密が紐解かれていくのを見守っていただきたいと思います。 すべての年代、性別の方にお勧めしたい素敵な作品です。 レビューいいね! 10 2021年4月11日 19:12
★★★ Excellent!!! 子どもの頃のようなページをめくるドキドキわくわく感 タニヒロミ まだ23話ですが、純粋にこの伸びやかな物語をいろんな人に知ってもらいたいと思います。子どもの頃に異国の物語にドキドキわくわくしながらページをめくった感覚を思い出します。本ってこういうものだったなあと。 レビューいいね! 6 2021年1月2日 21:00