銀翼の鴉は闇世を照らす

少女––黒咲蓮は、アルビノ体質であるというたった一点のみで全ての権利を奪われた。

虐待とイジメ。
クラス転移をして「勇者達」と言われた事から、やっと人並みの生活を送れる事を期待したものの、召喚をした国の人間からは「魔人」と言われて投獄、拷問の末にダンジョンの最深部に捨てられる始末。

もはや全ても諦め、死を望んだ蓮が、最期に心から願った、「一度でいいから……誰かに、生きていていいと言って欲しい」という願いに応えたのは、当代の魔王だった。

過保護気味な魔王や配下の元で自らの眷属と共に大切に見守られて、初めて人並みの幸せというものを手に入れた蓮だったが、その幸せも女神の加護を受けたかつての同級生達、勇者一行によって壊された。

倒れ行く魔王城で働く人々。
魔王を守るために死んだ者もいたが、遂…続きを読む