第23話 禁忌を犯した愚かな神
「主人様、ぶすくれている場合ではないでしょう?」
我らは復讐についてまだ詳しい説明をしてもらっていませんよ。
「……誤魔化されてる気もするけど、まあいいや」
オリギーに言われて説明するために姿勢を正した私に合わせて、私の前にいる面々も姿勢を正した。
今私の神域にいるのは、トゥレラとシュクリス、そして七(人?)の眷属達。
全員が私の味方だ。
「こちらの戦力は私とトゥレラ、シュクリスと眷属のみんなの序列一桁台の上位神三柱と、中位神に匹敵する力を持つ七の神霊。敵……というか標的は最高神とクソ女神、そして私を虐めた同級生と先生達計四十人の勇者組、最後に
「では、今から消しますか?」
「アラゾニア、クソ女神が障害になるはずがないのだから、他に障害があって主人様はまだ手を出していないのでしょう?」
相変わらず血の気の多いアラゾニアを、アフィスティアが抑える。
いつの間にか、クソ女神が女神フォルフールの通称になっているのは、面白いしちょうど良いから放っておこう。
だって、誰もあんな奴の名前を呼びたくないよね。
「その通りだよ、アフィスティア。問題は他の神ども。あいつらの一部は、神殺しの神である私達よりも最高神達の味方をするだろうから、いかに最高神側につく神を減らせるかが重要なの。禁忌を犯したとはいえ最高神の娘。何柱かは甘い汁を吸いたくて味方するだろうから」
「それなら問題ねえ」
懸念事項を説明していると、トゥレラが並んで笑っていた。
シュクリスを見上げると、同じように笑っている。
「女神が犯した禁忌はね、二つじゃないんだよ」
「え?」
私を殺したので一つ、そして今回ので一つでしょう?
「約千年前にレアが殺された一件。何の罪も犯していない、自分よりも遥かに上位の神を
違うの?
「レンが殺されてから、法を司る神々は最高神に黙ってクソ女神を監視してたんだ。その結果、今回の騒動までの期間で必死に生きただけで、善良なただの人間の運命を操作して世界の理を壊し、一つの世界を滅亡間近まで追い詰め、魔神を生み出した。という判断を下したんだとさ。わかるか?あのクソ女神はな、最高神ですら庇えないほどの誓約違反、俺ら三柱の【悪神】が定めた禁忌を何度も犯したんだよ」
甘い汁を吸いたい神どもは、全員こっちにつく。もちろん、真に善良な神々も。
故に、他の神は障害となり得ない。
それが二人の出した結論だった。
「まあ、味方にもならねえだろうがな」
「……十分だよ。あとは、他の神に計画を説明して邪魔をしないようにしてもらうだけで動ける」
期待出来るのは短期間の天界出入り禁止くらいで、どうせ最高神達に匿われてしまうだろうと思っていた私にとって、それは朗報だった。
天から世界を見守るのが通常である神にとって、天に居場所がないのは随分辛いかもしれない。それでも、少数とはいえあんな奴に味方がつくのはクソ女神の立場を考えれば仕方がないと諦めていたのだ。
まあ、あのクソ女神は自分が天にいられなくなるとも思っていないような愚かさだったから、最悪それでも私が罰を下すまでの繋ぎの罰にはなるとは思ったけど。
想像よりも愚かだったようで、私はとても嬉しいよ。
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