第7話 正義の勇者達

「やったぞ‼︎」


「頑張った‼︎俺らすごくね⁉︎」


「美咲〜、あんたの治癒魔法のおかげだよ‼︎」


「いや、晴宮さん達前衛のみんなの攻撃がすごかったんだよ」


勇者として召喚された俺ら鞠智きくち高校二年三組の全員で、アルト王国内にあるダンジョン【迷宮】の計七十層をクリアし、レベル上げの数値が自分達で決めた基準を満たした喜びを分かち合っていた。


クラスの団結を邪魔する人間は俺らの役に立ってからいなくなり、俺らを召喚した女神様から与えられた加護や称号、神器によって強くなった俺達は遂に全員が人類史上初と言われるレベル五百を突破したのだ。


ゲーム厨で効率厨、【軍師】の称号を持つ長谷部はせべの指揮の下で前衛、後衛、支援職の三チームに分かれてそれぞれ協力しながらレベル上げを行えたのも大きいだろう。

【聖女】の称号を持つ江原さんの治癒魔法のおかげで、死傷者も出なかった。


つまり、今まで一人の脱落者もなしにレベル上げが進んでいるのだ。


これはきっと、俺らの助けを待っている人達の事を一刻も早く助け、邪悪な魔王を討伐せよという女神様の意思なのだろう。


俺らがこちらの世界に召喚されたのは、勇者として残虐非道な魔王を倒す為。

あの邪魔者以外のみんなには勇者となる資格があった。

だからこそ、ダンジョンに潜ってから三週間で最下層まで到達するという通常ではあり得ないスピードでのクリアが成し遂げられたのだ。


急にこちらの世界に召喚された時は驚いたし、急に勝手に俺らを呼び出して戦わせようなんて何の冗談かと思った。

でも、魔王を倒す為にどうしても勇者様の力が必要だったのだと王女様や女神様直々に言われ、俺達は元の世界に帰れないから魔王が人間の国に本格的に攻め出したら俺たちも危険だと訴えられれば無碍むげにも出来ないし、誰かが困っているなら助けてあげたいとクラスみんなで話し合って決めた。


学級委員長としてクラスのみんなを引っ張ってきた俺、千柳颯斗は女神様から渡された聖剣クラウ=ソラスを振り、前線で魔物を斬っていた事で切れた息を整えながら手を叩き、盛り上がって泣きながら抱き合う級友達の視線を集める。


「みんな‼︎帰って少し休んだら、作戦会議をしてすぐに出発しよう。俺らの救いを待ってる人たちがいるんだ‼︎ 絶対に、この世界を救おう‼︎」


「「「「「「「「「もちろん‼︎」」」」」」」」」


女神様が言うには、当代の魔王は歴代最強の魔王だという。

そんな存在が攻めて来れば、俺ら人にはひとたまりもないだろう。

クラスのみんなでこちらの世界で生きていく為に。

そしてこの世界の人々の生活を守る為に。

女神様の敵であり、俺ら人を苦しめる邪悪な魔王を倒す。


その為に、俺らは全力で進む。

俺達は、負けられないんだ。


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