第30話 女神は知らない

トゥレラ様のことを知ってから、私は彼についての事を調べ尽くした。


面白い事が好きな事、甘いものが苦手な事、つまらないものが大嫌いな事、彼が持つ力が破壊の力である事、神殺しをした事がある事、自身の父であるパドレモにいで二番目に力を持っている神である事……そして、彼の近くにはいつも彼に似た女神がいる事。

白銀の髪と青い目の女神が、馴れ馴れしく彼と笑い合いながら仕事をしているところを何度も見た。


邪魔なのよ‼︎

なんで私の運命の方の近くに、他の女神がいるのよ⁉︎


笑いかけられているのが、気に食わない。

気に掛けられているのが、気に食わない。

話しかけられているのが、気に食わない。

似ているのが、気に食わない。


あの娘はクレアーレンというの?

トゥレラ様の妹?

そんなの関係ないわよ。

血も半分しか繋がってないんでしょう?

彼女、絶対に妹なんて括りじゃ納得してないわ。私から彼を奪おうとしてるのよ‼︎


しかも、何の取り柄もないくせに‼︎

世界を創る再生の力?

理を世界に記録して刻み込む?

知らないわよ。

そんなの他の神でも出来る事じゃない。

そんな力しかないなら、どうせ私より格が下なのでしょう?


そんな子が彼の方の隣にいるの?

相応ふさわしくないわ。


許せないじゃない?

許せるわけがないわよね?


身の程知らずには、己に相応しい地位をきちんと思い知らせないといけないわ。


「お父様、頼みがあるの」


「なんだ?儂のフォルフールよ、何でも叶えてやろう」


クレアーレン、格上の神の大切なものに手を出そうとしたんだもの。

覚悟はしているでしょう?


「クレアーレンという女神に、仕事を頼みたいの」


その命をもって、私に償いなさい。

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