第4章

復讐編

第34話 属(クズ)国を壊滅させよう‼︎ 壱

箱庭にある魔国ではない方の大陸から、四ヶ所を選んで覗く。


––孤児を低額で買い取り、顔の良い者に奉仕させるような貴族と王族が支配する国アイボット共和国では、痩せ細った少女に馬乗りになった裸の貴族ゴミ豚が、その少女を殴りながら犯している。


––魔力を持つ平民を攫い、城の地下に監禁して死ぬまで魔力を搾り取る国フーリッシュ公国では、国民は暗い街並みで沈んだ顔をして、王族は灯りの魔道具で煌々こうこうと輝く王宮で暮らす。


––王が贅沢する為だけに、多くの税を徴収する国ストゥピッド王国では、骨と皮だけに見える老人と子供達が虚な目をして王宮の方を眺め、その視線の先である王宮の中では、テカテカと油ぎった肌のブタが豪勢な食事をとっている。


––女神フォルフールを至上の存在と崇め、それ以外の神を信じる人を虐殺する国モロン聖国では、少しでも隙を見せてしまうと家族、友人、隣人などに異端者として国に密告され、信じている神がフォルフールかどうかの真偽に関わらず、はりつけの末に火炙りにされてしまう為、ピリピリとした空気の国になっていた。


「ハハッ、ハハハッ‼︎……クズ、クズ、クズ‼︎見事なクズのオンパレードだね‼︎」


知ってはいたが、四つあるアルト王国の属国はどこもかしこもクズだった。


それに、フォルフールを崇める教会と癒着して不正を行い、更にアルト王国にならい全ての国がアイツらを勇者と持ち上げた。私の復讐対象になるのにも十分だ。


「じゃあ、みんな、始めるね」


私は誰にも邪魔されない自分の神域で兄、親友、眷属の皆に目配せをしてから四カ所、そしてもう一ヶ所新しく作った穴を覗いて箱庭にある全ての国、そして人に神託を降ろす。


『女神フォルフールに踊らされた、愚かな人類どもよ。私……魔神クレアーレンの名の下に、貴様らの粛清しゅくせいを宣言する』


––さぁ、死にたくなくば、せいぜいフォルフールに祈ってみろ。


まあ、謹慎中で行動を禁じられているアイツには、どう足掻こうが応えられるはずが無いんだけどね?


突然降ろされた、フォルフールとは違う知らない神からの神託に間抜け顔を晒す人間達を見ながら、私は変わらなくなった表情の代わりに心の中でわらった。



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