第6話 最悪の敵、イザベラ女王
「お前のしわざか? 聖女の
イザベラ女王は私を
私はデリック王子と
「いえ、私は……。デリック王子がウォルターを
私は
「ほーう……? 私は聞いていないが……デリック」
イザベラ女王は、右手に持った
な、何という
女王――恐ろしい女性だ!
「た、確かに俺……いや、私はそう申し上げました、母上! ウォルターを
デリック王子はまるで兵隊みたい姿勢を正して言った。
「し、し、しかし、最終的にはウォルターの判断に
えっ?
「話は分かった。聖女の
イザベラ女王はまるで私の心をのぞきこむような表情で言った。
「と、とんでもない! 私は『女』など利用してはいません!」
私は
「そもそも、私はお前が気に
イザベラ女王は背が高かったので、私を上から見下げた。
「聖女だと?
「お、王子をたぶらかしてなんておりません!」
私は
ジェニファーは大貴族の娘で、彼の父のロンダベル
彼はイザベラ女王と
だからイザベラ女王はジェニファーをかわいがっていたのだ。
――イザベラ女王は右手を上げて叫んだ。
「来たれ!
すぐに真っ赤な兵士が十名、ウォルターの周囲を取り囲んだ。
あの真っ赤な
女王
グレンデル城の
「ウォルターを
イザベラ女王は叫んだ。
ウォルターは四方八方から剣を突き付けられ、身動きができない。
「な、何をするんです! ウォルターは休ませなければなりません!」
私が叫ぶと、女王
「ウォルター! 私はここよ!」
私はウォルターに向かって手を伸ばす。
ウォルターもそれに
しかし、私とウォルターの
「アンナも
女王は叫んだが、驚いたことに周囲の
「アンナ様をお守りせよ! ウォルター
ジムが
ジム……あなた――ありがとう!
「アンナ! こっちだ!」
庭園の門の外に、馬車が停車した。
「あんたが城の王の間に呼ばれたと聞いたんで、嫌な予感がして来てやったぞ!」
彼女は二十一歳の女魔法使いだ。
「ウォルター!」
私がウォルターに向かって叫ぶと、ウォルターは女王
「何やってんだよ! 自分の命を守るのが先だろっ、アンナ!」
パメラの声でハッとして、私は泣きそうになりながらパメラのほうに向かって走った。
何で……何で……こんなことに。
ウォルター!
「乗れえっ」
パメラが叫んだ。
私は馬車の客車に飛び乗ると、すぐに馬車は発進した。
女王はその光景を見ながら私を
「アンナを追え!」
女王
ああ、私のせいでイザベラ女王や女王
「アンナ様を
ジムが叫んでいる声が聞こえた。
グレンデル城の庭園はもう大
◇ ◇ ◇
馬車は全速力で町の大通りを
今日は平日なので、大通りは馬車の通りがほとんどない。
私の座っている客車には
「どうしてウォルターを助けられなかったのだろう……」
私はそうつぶやいた。
――客車には私の他に一人、
美しい少年だ。
年齢は十七歳から十九歳くらいか?
「あなた……誰?」
しかし
「
今度は女王
何てしつこい!
「
パメラは叫んだ。
この大通り――グレンデル大通りを
「ネストール・モナステリオ! あんたの出番だよ! 何、
パメラはわめく。
「姉ちゃん、俺、戦うの嫌いなんだけど」
「あ、パメラの弟なんだ?」
私がネストールに聞くと彼は「そうだよ」とぼんやり言った。
――パメラは叫ぶ。
「いいからネストール! 何とかしろ! このままじゃ
「何で俺が……。わかったよ、終わったらリンゴパイおごってね」
これは追いつかれるか?
「よっ」
ネストールはそう声を上げた。
私は目を丸くした。
彼はおもむろに馬車の客車から、後ろへ飛び出したのだ。
向かってくるのは、十名の
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