第41話 ウォルター、白魔法医師の隠れ里へ行く①【ウォルター視点】
僕――ウォルター・モートンが、アンナたちのいるゾートマルクの街から馬車で旅立ったのは四時間前だった。
当然
馬車は
これから白魔法医師たちの
◇ ◇ ◇
やがて岩場の
僕はすぐ馬車を降り村に近寄った。
ゆるやかな階段の前には
「何だ? お前は」
「僕はウォルター・モートン。
「
「僕が
僕はラーバスに書いてもらった紹介状を彼に
入り口の番人と思われる彼は、紹介状を見て首を横に振った。
「白魔法医師、ラーバス・アンテルムの紹介状か。ラーバスという男は知っている。しかし紹介状は
「頼む、話だけでも聞いてくれ。この村で最も
「俺はジェイラス・トルセ。このルバイヤ村の入り口の番人だ。それを聞けば満足だろう。さあ、帰ってくれ」
僕らが
あご
「グラモネ様!」
番人のジェイラスは
「この者が村に入らせろと言って聞かないのです」
「ふむ……誰だ? 君は」
老人が僕を見て聞いてきたので僕は答えた。
「僕は
「ウォルター……モートン……
老人は驚いた顔をしているように見えたが、そのとき……!
「ゴブリングールだぞ!」
村の右側から大声がした。
「
一人の若者が見張り台に立って叫んでいる。
ゴブリン……グール?
僕が東のほうを見ると、そちらには
……魔物だ!
その数、約二十数匹!
「どけい!」
ジェイラスは僕を押しのけて腰の剣を引き抜いた。
魔物はどんどん近づいてくる。
僕も剣を取り出した。
「グウウウアアアア」
そんな魔物のうめき声が聞こえてくる。
僕は魔物の
魔物の
「こ、この魔物は……!」
どこかでこんな魔物を見た覚えはあるが、そんなことを考えている場合ではない。
戦闘が始まった。
ゴブリングールは
「と、とんでもない力だ! ゴブリンにこんな力はないはずだが」
僕はうめいた。
左耳元で風が鳴る。
別のゴブリングールが、左から爪を振り下ろしてきたのだ。
僕はその瞬間を見逃さなかった。
ゴブリングールの
すると瞬間、
――魔物は魔力によって宝石から生み出されるのだ!
「うわあ! た、助けてくれ!」
向こうでは剣を持った村人が、ゴブリングールに
魔物たちはもう約十匹程度に少なくなっていたが、それでも村人たちに
僕は
宝石
「や、やるな、お前!」
ジェイラスは僕を見て声を上げた。
おや? 彼の剣は不思議な
その剣でゴブリングールを
な、なんだ? あの剣の術は? 見たことがないぞ。
それから三十分の戦闘が続き、村人は倒れ魔物も宝石
やがてゴブリングールは三匹となり、墓地へ逃げていった。
「大丈夫か!」
僕は倒れて失神している村人を背負った。
「……こっちだ。村に運んでくれ」
ジェイラスも
僕は村人を背負い、階段を上がってルバイヤ村に入ることになった。
◇ ◇ ◇
ルバイヤ村は岩場を
高台の上は木造の家々が建ち並んでいる。
かなり大きい建物だ。
家というよりは木造の
「君のおかげで助かった」
グラモネ老人が
「君の名前は……ウォルター・モートンか。
「はい」
「私は元白魔法医師長のグライモス・グラモネだ。ここは白魔法医師の
グラモネ老人は自分も木の
僕に対する
窓から下を見下ろすと、ジェイラスはまた村の入り口の番をしている。
隣の部屋を見ると、さっきの戦闘で怪我をした人々がたくさんのベッドに寝かされていた。
「先程の魔物は、ゴブリングールという魔物だそうですね」
僕はグラモネ老人に聞いた。
「僕は初めてその魔物に
「グール
「ええっ? そ、そうです」
僕は驚いた。
グラモネ氏に言い当てられたからだ。
「まず、
僕は再び驚いた。
「全然違うものだ。
「し、知っているのですか?」
僕は真剣な表情でグラモネ老人を見た。
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