第14話 元騎士団長様をお助けします!④
パーティー会場の外――
ただ見回りの兵士が二、三人いるだけだ。
お客はほぼ全員、パーティー会場の中にいる。
豪華な夕食会が始まっているせいだろう。
「こっちだ」
ジャッカルが向こうにある扉の前で、私とパメラを手
客間の前だ。
大ホール前の客間は、確か今はちょっとした物置になっており使われていないはずだ。
「この客間の中にロザリーがいるのね」
私はつぶやきながらちょっと考えた。
部屋の中に入ってしまうと、ロザリーに近づかざるを得なくなるかもしれない。
そうなると私の正体がバレてしまう?
「とにかく部屋の中に入ってみよう。ロザリーがいるはずだが、何とかなるさ」
パメラはそう言いつつ、旧客間のドアを開けた。
「さあ早く入れ。
ジャッカルもそう言いつつ部屋に入った。
……ネストールはどこに行ったんだろう?
◇ ◇ ◇
旧客間の中に素早く入ると、その部屋のソファに恐らく
彼女がジェニファーとよく一緒にいる
ソファの周囲には
私は女性になるべく近づかないように、扉のそばに立ったままだ。
「大丈夫ですよ」
ロザリーだと思われる
えっ?
「大丈夫ですよ、アンナ様。お久しぶりでございます」
か、彼女は私の正体を言い当てた!
私は今、
この人、一体何者?
パメラとジャッカルはあわてた表情をしている。
「な、何のことですか? あなたはロザリー?」
私は少しばかり
「はい、私は
私は気付いた。
ロザリーは私と同類だ――。
「あなた……分かったわ、ロザリー。『
「はい。私も十年前は聖女でした。人を魔法で
「いつ私の正体が分かったの?」
「夕方私は、庭園で兵士さんに
思い出した。
城の前の庭園に入ってすぐのことだ。
「そのとき、その
「うーん……」
「ウォルター・モートン様を助けにいらっしゃったのだな、と思いまして」
私は驚いてパメラとジャッカルを見やった。
ジャッカルは
ここでウォルターの
すると……!
「いえ、ご安心ください。私はあなたたちの味方ですよ」
ロザリーは
「どういうことです?」
私はロザリーを見やり言った。
「あなたはジェニファーの
「私はジェニファー様に、何度か
「ひどい……」
パメラがうなった。
――ロザリーは続けた。
「もうそんな人の
「そう、ジェニファーとそんなことがあったの。それは大変だったわね……」
「あんな人はこの国の将来の女王になるべきではありません。本来ならアンナ様、あなたが女王になるべきでした」
「いえ、私は……」
私はそう言われて
「――分かります。デリック王子がお
「わ、私が別の国で女王に? ウォルターが王?」
「はい。――話がそれましたね。ウォルター様の居場所を教えましょう。中庭の
ええ?
中庭に階段が?
そんなところに階段があるなんて知らなかった。
「その地下に『
さ、
私がロザリーの聞き慣れない言葉に驚いていると、彼女は続けた。
「
「ちょっ……女王専用の部屋って! まずい感じ……!」
パメラは私に言った。
「は、早く行きましょう!」
私が言うと、ロザリーは大きくうなずいた。
「ええ。私が案内します。
◇ ◇ ◇
私たちは旧客間を出た。
そして兵士たちの見回りの
すでに
花壇の花はぼんやりランプの光で
「ここです」
ロザリーは
隠されているような石造りの階段がそこにある!
しかし、そのとき――!
「まったく満足だ! 最高のパーティーだったよ!
「ねえデリック。何で貴族の女の子ばっかりと話してたの? 女の子を
「え? あ、あれは単なる
「まあまあ、二人とも。パーティーは無事に終わったのだから、今度はこの中庭で
「それはいい。
そんな会話が聞こえてきた。
――デリック王子とジェニファー、その取り巻きが中庭に入ってきたのだ!
「ここは俺たちに
ジャッカルが言った。
「私もここに残ります。あなたたちはこの地下に行ってください! 早く!」
ロザリーは私とパメラをせかした。
私とパメラはうなずき、急いで不気味な石造りの階段を下っていった。
――この先にウォルターがいる!
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