第13話 元騎士団長様をお助けします!③
「よぉ、
振り返ると、そこには
私は「
一人くらいなら、何とかなりそう!
「おいっ、何
私はその腕を右手で
「天使よ、この者に眠りと夢を与えたまえ」
そう
私の体に取り込んだ
「ん? な、何だお前。手がすごく熱く……」
貴族男性が私に向かってそう言ったとき――。
私は自分の右手から彼の腕に「
「お、う? 急に眠く……」
彼はよろける。
まずい、地面にそのまま倒れたら大騒ぎになる。
「ネストール、彼を支えて!」
私が声を上げると彼の後ろに立っていたネストールは、素早く貴族男性の体を支え
貴族男性は
ふう、
が、そのとき!
「どうかなさいましたか?」
すると見回りの女性兵士がすぐに
「いや~、この貴族の人、
パメラが作り笑いをしながら言った。
すると女性兵士は私をじっと見た。
「あれ? あなた……」
――私の正体がバレた?
私はデリック王子の元
化粧と髪型、服装を変えたぐらいではバレてしまうか……?
かなり念入りに
「おかしいですねぇ。何だかあなた、見覚えがあります。どこかで会いました?」
さ、さすが女性。
さっきの男性兵士と違って
私は女性兵士に手を
今日はよく人に体を
「
ま、まずい!
しかしそのとき――!
「スリだ! スリが出たぞ! 十万ルピー
向こうのほうで叫んでいるのは――ネストールだ!
「財布を
「あなたここで待っていなさい! スリはどこ?」
女性兵士は私に言い、振り返った。
「スリは外に逃げたぞーっ! 庭園のほうだ!」
ネストールが叫ぶ。
「わ、分かりました!」
女性兵士は叫び、急いで庭園のほうに走っていった。
パメラがニヤリと笑ってこっちを見ている。
ネストールの演技か!
た、助かった……。
「ふう、
ジャッカルが後ろのほうから声を掛けてきた。
「しかしアンナ、お前はすごいな。何なんだ? 貴族に向かって放った魔法は?」
「聖女の
「ああ、地下一階の
「ええっ?」
私は驚いて声を上げた。
地下一階の
私が知る限り、このグレンデル城に
「そ、それで
「そこには誰もいなかった。もぬけの
「やはりジェニファーに付き
「ああ、ロザリーなら情報を知っているかもしれない。なぜならジェニファーはデリック王子の
ジャッカルは言った。
デリック王子は私には教えてくれなかったけど。
――ジェニファーは私に対して敵対心を抱いている。
その
――太った貴族男性はまだいびきをかいて寝ていた。
◇ ◇ ◇
パーティー会場に入ると、それはそれはたくさんの人がいっぱい集まっていた。
王族や貴族と思われる人々が立食し、談笑している。
本当に広いホールだ。
私たちがロザリーを探していると……。
「おお、来られたぞ!」
お客たちは声を上げた。
デリック王子とジェニファーが
「皆様、
デリック王子は
セリフが書いてあると思われる、メモ用紙は手に持っていたが……。
ジェニファーも両手を
「美味しいものを食べて、美しい演奏を聞き楽しんでくれ! 私とジェニファーは来月、正式に結婚しようと思う! 今日は素晴らしい日になりそうだ!」
おおお~!
王族や貴族から歓声と
ウォルターを
デリック王子とジェニファーは
「おいアンナ、こっちだ」
パメラが私の腕を引っ張った。
「このパーティー会場の外でロザリーが待っている。ジャッカルが探してくれたよ。今は小休止しているから話を聞いてくれるそうだ」
ついにロザリーが見つかったか。
グレンデル城には
「ロザリーはジェニファーの
私が言うと、パメラはうなずいた。
「ああ。だからアンナ。お前はなるべくロザリーから離れているんだ。ロザリーの話はジャッカルが聞いてくれる」
女性は
私がロザリーに近づけば、王子の元
そもそもそのロザリーが、ウォルターの居場所を知っているのかどうか。
しかし考えていても、このままではウォルターの居場所が分からない。
うろうろ城内を探し回っても、
とにかくロザリーの話を聞いてみよう――!
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