第22話 聖女はあの男性の毒を取り除きます!
私の頭の中にグレンデル国王の
この色は……ヘンデル少年の肺にあった毒素を思い起こさせた。
◇ ◇ ◇
「国王、お願いいたします。『天使よ、
私はベッドに横になっているグレンデル国王に言った。
この
国王は驚いた様子ではあったが、すぐにうなずいてくれた。
「ふむ……。『天使よ、
私は彼の
「天使よ、命じます。
この言葉を言ったとき、私の頭の中に深緑色の
グレンデル国王の
その
「天使のささやき、天使の
私は古来から伝わる
すると、
「毒素が出てきたよ!」
パメラが声を上げた。
私は
すると深緑色の
「ん……? 何だ? 体が軽くなったような……」
グレンデル国王はつぶやいた。
まだ汗をかいていたが、少し顔色が良くなったように見える。
パメラはネストールからもらったパンを丸め、国王の頭、肩、腹部、足にその丸めたパンを当てがっていった。
丸めたパンで細かい毒や邪霊を取り
「はい、こっち見ないで~。見ると毒が返ってくるし、邪霊が取り
パメラは家を出ていって、丸めたパンを近くの川に投げ捨て戻ってきた。
グレンデル国王は身を起こそうとしたが、パメラは「だめだめ」と言った。
「体が弱っているのにすぐ動くと
皆も国王も笑った。
あの
さすがパメラ、国王様も「おっちゃん」呼びか……。
「国王の
私はグレンデル国王に説明した。
「思い当たることはありますか?」
「ある。あるが……。ふむ……このことはなかなか言いづらい。すべての話はオールデン村長から聞いてくれんか。私は少し眠りたいのだが」
体が
私が村長のほうを振り返ると、オールデン村長はうなずきグレンデル国王に言った。
「国王、この者たちにすべてお話ししてもよろしいでしょうか?」
「オールデンよ……構わん。私の病気を
国王の話では、オールデン村長はすべての事情を知っているようだが……。
◇ ◇ ◇
私とパメラは村の集会所に戻り、オールデン村長から話を聞くことにした。
今現在、グレンデル国王は
レギーナさんは国王のそばについてくれているようだ。
恐らく二人は年の離れた恋人同士なのだろう……。
しかし、国王の妻であるイザベラ女王と、国王の関係が気になるが……。
「そもそも、あの男性は本当に国王なのですか?」
私がオールデン村長に聞くと、彼はため息をつきながら言った。
「その通り。グレンデル国王だ」
「なぜ、このローバッツ工業地帯におられる?」
「グレンデル国王は、グレンデル城から逃げてきたのだ」
「ええっ? 逃げてきた?」
私は驚いたが、オールデン村長は話を
「俺は三年前までグレンデル城に、この
「そんな
「そこでグレンデル国王と色々話す機会があった。グレンデル国王は武器や
オールデン村長は話を続けた。
「一年前、グレンデル国王は私を訪ねてこの村に逃げ込んできた。すでに相当やつれていた。国王は言われた。『グレンデル城の誰かに毒を
「毒を!」
私は声を上げた
しかし……。
「国王は病院に行かれたのですか?」
「ああ。ここに逃げ込む前、このローバッツ工業地帯近くにあるロブトフェールという街の病院にな。だが、ヤブ医者が担当し、そこでは治らなかったそうだ。彼は病院で一ヶ月過ごしたのち、このローバッツ工業地帯に逃げてこられたというわけだ」
「『お城で毒を
「
チョコレート菓子に毒を
イザベラ女王がやりそうなことだ!
動機は分からないが、お菓子に毒を
しかし疑問が残る。
「一つ疑問があります。今から話すのはこのローバッツ工業地帯のことです。国王だけではなく、あなたも……そして若者でさえも、この村の者は
「な、なんだと?」
「私は
私は言った。
「あなたたちも――この村の村人たちも、毒を
「な、なにっ?」
オールデン村長は目を丸くして私を見た。
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