第5話 元騎士団長様が現騎士団長を成敗します!
「……僕の聖女に手を出すな!」
ウォルターがジャッカルに向かって、低い声で
――私は恐ろしい予感がしていた。
「
「ジャッカルよ。ウォルターは君に対して
デリック王子が
「それは良いですな、王子」
ジャッカルは自信ありげに私を見やった。
「私が勝ったら――そうですね。その聖女アンナ・リバールーンをいただきましょうか」
「なに?」
ウォルターは眉をひそめている。
私は(困ったな……)と
ジャッカルはふふん、と鼻で笑った。
「ウォルター君、この
「……望むところだ」
「では、
ジャッカルが
「だめ! やめて、ウォルター」
私はあわててウォルターを止めようとした。
彼は
そして日の光を浴びない生活をしてきた。
一見、彼は元気そうに見えるが、彼の体を
「あなたは二年間も
「大丈夫だ。何も心配するな」
ウォルターは
「二年間も
ジャッカルは
「ふむ、良い
ジャッカルがウォルターに向かって、
「
私は声を上げた。
ウォルターはまだ試合を正式に
「試合の形式やルールすら、まだ決まっていないわ!」
「ルールだって? 戦場にそんなものがあるのかねえ? ここだっ!」
ジャッカルは素早く前に出てきて、
しかしウォルターはそれを見切って、横に
「え? うあっ……」
ジャッカルは勢い余って、よろけて転んだ。
素早くウォルターが、
「ひ……いっ!」
ジャッカルはそううめき、横っ飛びをしてそれをかわして立ち上がった。
ジャッカルが立ち上がった瞬間、彼の
す、すごい! 速い!
私はウォルターのあまりの強さ、よどみのない動きに
「これは勝負あった! ウォルターさんの勝ちだ」
「まるで動物をおびき出すようなウォルター
「さすがウォルターさん! 真剣ならばジャッカル
その場で見ていた人々が歓声を上げた。
「いやぁ~、参った参った」
ジャッカルはそう言いつつ、笑顔をつくった。
「ウォルター君、君がここまで強いとはねえ。……私の負けだよ」
彼はそう言いつつ……!
まさか? しょ、勝負は決まったのに!
だが、ウォルターはそれをも
逆にウォルターはジャッカルの右
「あ、うう!」
ジャッカルはバランスを
右
「な、何なんだお前は……! ウォルター、貴様は一体……」
ジャッカルは地面に尻もちをついて、ウォルターを見上げた。
「僕は元
ウォルターはジャッカルに言った。
「う……く……くそおっ!」
ジャッカルは地面に座って、
そしてため息をついて、
これは
ウォルターの勝利だ……!
「おお!」
周囲の人々は歓声を上げウォルターを祝福した。
「ウォルター様、素敵!」
「見事な
私は胸を
「お、おのれっ、ウォルターめ!」
そう声を上げたのはデリック王子だった。
「ジャッカルのバカタレがっ! こんな
王子がジャッカルを
「まったく、何をくだらないことをしているの!」
こ、この声は!
そこにいる全員があわてて――私も
「これは一体、どういうことか! なぜ
デリックの母、女王イザベラ・ボルデールがそこに立っていた。
「お前のしわざか? 聖女の
イザベラ女王は私を
彼女の年齢は五十代後半――。
背が高く
しかしその
私はデリック王子と
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。