第4話 悪役令嬢、地団駄を踏んで悔しがる!
人々が
城の庭園にやってきたのは――。
それはそれは素敵な男性だった。
「ど、どなた? あの立派な男性は?」
「素敵! スーツがよくお似合い!」
その注目の男性は、金色の
このスーツが、すらりとした彼にとても似合っていた。
眉、髪の毛もしっかり整えられている。
私も彼のあまりの変わりように、腰を抜かしそうになった。
「ど、どこの王子様かしら! こんな星のような男性、お見かけしたことがありませんわ!」
「は、話しかけちゃおうかしら」
「お、おいっ! 元
「団長だ!」
「見ろ、ウォルターさんだ! に、二年間の
城の庭園で剣術
おそらく
「ね、ねえ! アンナ! あの素敵なお方は誰?」
ジェニファーがあわてて私のところに駆けつけてきた。
「ご存知でしょう? 私の
私が胸を張ってそう言うと、ジェニファーは目を丸くして声を上げた。
「えーっ? あの男性って、あんたがもらい受けた
「ウソなんてとんでもない。
「な、な、何で、あんな素敵な方を、アンナのような平民がもらい受けるのよ~っ!」
アンナは
「あ、い、いや……。これは参ったな」
ウォルターは女性や
「ちょっと通してくれ。会いたい人がいるんだ」
ウォルターを助けなきゃ!
私は彼に向かって手を振った。
「ウォルター! こっちですよ!」
「アンナ! そこにいたのか」
ウォルターは私の前に歩いてきた。
本当に
ちょっとかわいそうね。
「何とかしてくれ。大
「皆に
私はそう言って声をかけた。
しかし、そのとき――。
「何を
男性の声がした。
デリック王子が庭園に入ってきたのだ。
デリック王子は私とウォルターに気付くと、ツカツカと近づいてきた。
「誰かと思えば、お前か? ウォルター。この
「デリック王子、お久しぶりでございます。この
ウォルターはギラリと目をデリック王子のほうに向けた。
「お、おお」
デリック王子はウォルターの
王子は私をジロリと
「お前を
デリック王子は口を開いた。
「俺は明日、ジェニファーとの
「感謝します、王子」
デリック王子は静かに、それでいて力強く言った。
「それはあなたに対する、私の正当
「……な、何のことかな?」
デリック王子は額の汗を
「に、二年間の
私は「なるほど」と思った。
お金や土地を与えて、ウォルターの無実の口
しかし、ウォルターは言った。
「金も土地もいりません。できれば――私は元の
「……
「
おお……。
周囲にいた
まさか、二年ぶりに天才
これは素晴らしいことだ――。
そのような意味を含むため息だ。
「残念だが、ウォルター」
デリック王子は首を横に振った。
「ジムに聞いたかも知れぬが、現在、
デリック王子が声を上げると、庭園にある
「お呼びですか、デリック王子」
地面に降り立ったのは、ひょろりとした背の高い男だった。
「久しぶりだねえ、元
男はウォルターをニヤニヤ笑って見て言った。
「彼は現在の
ジムが小声で私に説明してくれた。
ジャッカルは
「おや?」
ジャッカルはウォルターの後ろに立っている私を見た。
「ほほう、君は……
ジャッカルは私に向かって、右手を差し出してきた。
握手をしてくれ、ということなのだろうか?
私が握手に応じようか迷っていると、
「ううっ!」
――ジャッカルがうめいた。
ウォルターがジャッカルの右腕を
「……僕の聖女に手を出すな!」
ウォルターがジャッカルに向かって、低い声で
――私は恐ろしい予感がしていた。
「
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