第20話 聖女アンナ、治癒魔法で人々を驚かせる
私たちは怪我をして
ウォルターやジャッカル、
集会所の中は広いホールのようになっていたが、ただそれだけ。
中には何もない。
私たちは村でかき集めてきた古い毛布を
「こ、これから何をするんだ?」
オールデン村長は眉をひそめて私を見て言った。
集会所にいるのは、私とパメラ、村長、怪我人四人と彼らの家族、友人の十名だ。
ウォルターやジャッカルたちは外に見回りに行った。
「
私は頭の中に浮かんできた図形を、宙に指で描いた。
すると私の体の中に、空から
若者たちの肩や足からはまだ出血があり、当然血は止まっていない。
「天使よ、この者たちの
私は唱えた。
大きな
しかし、今回は傷を治すだけなのでその必要はなさそうだ。
私が床に寝かされた四人の若者に向かって両手を広げると、手から放たれた
「あっ」
後ろで見ていた村人が言った。
「あいつの腕の
「そんなバカなことがあるか」
オールデン村長は舌打ちしそう言い、若者の一人の
すると
村人たちは他の怪我人の
彼らは驚いて口々に言い始めた。
「そ、そんな……。さっきナイフで
「どの
「それに皆、ぐっすり眠っているぞ。さっきまで痛がっていたのに……。不思議だ……」
「これがアンナの
パメラが私の代わりに説明してくれた。
「アンナの守護天使や霊団が見えない力で、
しかし……!
「……信じられんな!」
オールデン村長はまたしてもジロリと私を見た。
「単に
「そう思われても構いません。重要なのは
「む? ぐ、ぐむっ……」
オールデン村長は
私はインチキ、まじない師と
「そんなことより、彼らがかなり
「むっ……それは」
オールデン村長が何かを言おうとしたとき、パメラが私に静かに言った。
「怪我人たちの
パメラが私に耳打ちした。
「アンナ、これ……ヘンデル少年と同じ毒素?」
確かに私の目にも、眠っている怪我人たちの
気の深緑色は体内に
したがって、毒が
「今、深く
パメラが考えるようにして聞いてきたので、私は答えた。
「うん。
体の中を深く
そのとき――若い女性が声をかけてきた。
「い、今、お取込み中ですか?」
「いえ、大丈夫ですよ。もう
私が答えると、若い女性は涙ぐんで言った。
「私はレギーナ・オールデンという者です。村長の娘でございます。実はこの村の
「やめろっ、レギーナ! 奇妙なまじない師に話しかけるな! こいつらはグレンデル城の役人だぞ!」
村長が声を上げると、パメラが口を開いた。
「ちょっと!
パメラが怒った。
「アンナやあたしたちはグレンデル城の役人じゃないよ。アンナは聖女だし、あたしは魔法使い。ウォルターは元
「う、うぬっ。しょ、証拠は?」
オルデーン村長がそう反論したとき、レギーナという女性が泣き出した。
「お父さん、あのお方を何とかしてあげないと……。この村……いえ、この国の存亡にかかわります」
「ぐ、ぐぐ……」
オルデーン村長は額の汗を
この村の……この国の存亡?
一体、どんな男性が病気だというのだろう?
私は気になって聞いた。
「そ、そのお方は一体誰ですか?」
「ここでは申せません。実際に会えば分かると思います。とても有名な方ですから……」
レギーナさんは真剣な表情だ。
ゆ、有名な方?
どういうことだろう?
「とにかく、私が
私は立ち上がった。
「お、おい! 変な真似したら許さんぞ。俺も見させてもらおう!」
オルデーン村長も声を上げた。
とにかく、レギーナさん言う「男性」の病気を
私はこのローバッツ工業地帯が
その男性とは、一体何者――?
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