第31話 聖女、絶体絶命! イザベラ女王が来る!
グレンデル国王は興味深そうに腕組みして言った。
「その
――
グレンデル国王は再び話し始めた。
「私が三年前――まだグレンデル城にいたときのことだ。南西のジャームデル王国に会議で呼ばれ、馬車で奇妙な村を通りかかった。この村では
「そ、それはどんな
「確か、人間の感情が失われてしまい、言葉を
感情が失われる……
ターニャの
「それくらいしか知らんが、何か役に立つだろうか?」
国王が頭をかきつつ、そう話してくれたそのとき……。
「馬車だ! 赤い
村人の声が周囲に
火の見やぐらで周辺を
あ、赤い兵隊!
まさか――グレンデル城の女王
「おい! 先頭に女がいる! あれはイザベラ女王じゃないのか?」
ダニエルが
私はギクリとして冷や汗が出た。
イザベラ女王――!
私の
そ、そうか。
デリック王子は帰ったあと、イザベラ女王に報告したのか。
しかし、女王がこんなに早く動きをみせるとは思わなかった……!
「い、いかん! イザベラ女王は本気で君を見つけにきた!」
国王は私に向かって叫んだ。
「イザベラ女王と女王
そしてグレンデル国王は声を上げた。
「私は
「そ、そうですね。それなら」
私はあわてて思いついたように言った。
「わ、私たちは裏口から村の外にいったん逃げます。大きな岩場と森がありますから、そこに――」
「そ、そうか。村にいるよりも安全かもしれないが……。
グレンデル国王は急いで、レギーナさんと一緒に
ああ!
イザベラ女王と女王
「早く安全な場所へ逃げよう!」
ジャッカルがこっちに走ってきながら声を上げた。
「これは本当にマズい。
ウォルターやパメラ、ネストールも一緒だ。
私は
「む、村の裏口から逃げたほうが良いと思われます」
「ダメだ、女王
ウォルターの言葉に私はギョッとした。
――彼は続けた。
「食料庫に身を
「は、はい。パメラとネストールは?」
私が聞くとパメラは素早く答えた。
「私とネストールの顔は多分、イザベラ女王たちは知らない。村人の格好をすればかなりごまかせるはずだ」
「何とか時間
ネストールもそう言ってくれた。
そのとき、女王たちが村に入ってきた!
私とウォルター、ジャッカルはすぐに食料庫に入った。
人参などの野菜や、米、バターがたくさんの箱に入って積まれている。
確かにこれならば
「こっちだ」
ジャッカルは食料庫の奥のほうで
そこには引き戸の部屋があり、中に入ってみるとジャガイモがたくさん入った箱がたくさん積まれていた。
一つだけ窓があるが、木の
「ジャガイモはパン、小麦粉の次に大事な食料だからな。個別の部屋があるのか」
ウォルターは言った。
私たち三人は引き戸をしめ、頭を低くして窓の外を見た。
外の声が聞こえてくる。
「……なんだ、お前たちは」
「あたしは村人のパパヤ・マクレン。こっちは弟のピピヤ・マクレンだ。あんたこそ、どなたですか?」
太い男の声と、パメラの声が聞こえた。
パパヤがパメラでピピヤがネストールか……。
「俺はグレンデル王国の女王
さっきの太い男の声がした。
この声の主が女王
彼も魔物や悪魔と
「アンナ・リバールーンという聖女と、ウォルター・モートンという男を探している。情報があってな、このローバッツ工業地帯の村にいると聞いた」
「え? すぐに村を出ていった気がするけどなあ。あたしはあまり知らないねえ」
パメラのとぼけた声が聞こえた。
「本当か? 弟のほうはどうだ?」
「姉ちゃんの言う通り、俺も知らない」
「……ちょっと食料庫を見せてもらいたい」
「いやそれは。うちの村の大事な食料庫なのでね。関係者以外は入れないよ」
パメラがギルバルを引き止めるような声がしたが、ギルバルは耳を貸さなかったようだ。
「どけ! ちょっと確認するだけだ。では、よろしくお願いします」
「うむ、お前は下がっていろ」
え?
私はこの声の主を知っている。
「私が食料庫を見よう。もしアンナが出てきたら……あの聖女を
こ、この声は……!
イザベラ女王だ――!
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