第15話 今後の話

 ひとしきり再会を喜んだ後、今後の話をすることになった。


「ヨゼフ様、今後はどのように動きますか? 正直言って、俺はこの国に未練はありません。流石に無辜の民を手にかけることはありませんが……腐った貴族達なら剣を振るいます」


 愛する母上はもういないし、父親は俺達を捨てた憎っくき相手だ。

 そして、後妻であるあの女も……その子供には、そこまでは思わないがな。

 だが、大事な部下達も国を出た。

 そうなると、俺は本当に未練がない。


「クロウに賛成ですね、アイツらは万死に値する。あとで悔いればいい……我々がいたから、平和を享受できていたことを」


「お主達の気持ちはわかる……だが、そうもいかん。そうなると全面戦争になり、この辺境伯領も無事では済まないだろう。だが、許せないのも事実だ。ただ、現皇帝の考えがよくわからない。あやつは腐ってはおるが、そこまで愚かではなかったはず……だからワシも、カグヤを泣く泣く送り出したのだ」


「そうなのですか? 俺はよく知らないのですが……カグヤは会ったことがあるのか?」


 すると、カグヤが気まずそうに目を伏せる。


「ええ、何度か。ただ、その……舐め回すように見られてる気がして……」


「まあ、現皇帝は大の女好きでな……」


「はい決定、滅ぼします」


「よく言ったクロウ! 私と今のお前なら殺れる!」


 俺とエリゼが今すぐにでも動き出そうとすると、ヨゼフ様が止めに入る。


「やめんか! 全く、昔から変わらんな。カグヤのことになると、見境いがなくなる……ワシもじゃが」


「二人とも、私は大丈夫よ。ショックだったけれど……皆がいるもの!」


「ああ、俺が側にいる」


「おい、私の台詞をとるな」


俺とエリゼの間に火花が散る。


「だからやめんか! はぁ……というわけで、ひとまずは様子見じゃ。もちろん、何が起きても良いように準備はしておくがな」


「私もそれで良いわ。流石に民が犠牲になるのは心が痛むもの。もちろん悔しいし、恨む気持ちはあるけれど……今は、少し休みたいかな」


 俺は馬鹿か。

 カグヤは今まで頑張ってきたから、休ませてあげなくては。

 その間は、俺が安らかに過ごせるように頑張ろう。


「すまない、自分の気持ちを押し付けてしまうところだった」


「お嬢様……申し訳ありません。お嬢様のお気持ちを無視し、自分の感情を優先しようとしてしまいました」


俺とエリゼは、カグヤに向かって頭を下げる。


「ううん、いいの。二人とも私のことを大事に思ってくれていることは、わかっているから……」


「さて、まとまったようじゃな。でだ、クロウ」


「はい、なんでしょうか?」


「お主はカグヤを連れて、マルグリット王国へ行ってもらいたい」


 ヨゼフ様は、そう言い頭を下げるのだった。







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