第36話銃万象討伐チーム
無事に様々な銃弾等を持って帰ったアクフは早速宿の近くで試し撃ちしていた。
(やっぱり銃って凄い!弓矢よりも格段に狙いにくいけど当たった時の威力は物凄い!よし、この銃の本当の威力もわかったし、早速名前をつけよう!………………よし、〘
因みにアクフが的に銃弾を当てるのに消費された銃弾の量は銃弾の残骸で段差ができるくらいになっていた。
数多くの銃弾を残骸にしたアクフは的に当てたことをきっかけに、とある初歩的な事に気づいた。
(そういえば、これどうやって発射する時に魂塊を纏わせようか?)
通常、弓などで魂塊を使う時は発射時だけ纏わせて使う方法が主流なのだが、ピストルの形で中にある銃弾だけに纏わせることは難易度が高いのだ。
(うーん。取り敢えず、一発だけの制限になるけど、銃弾をセットする前に纏わせてやってみるか。)
アクフは銃弾にバファイを纏わせてぎこちない操作で装填して、狙いを定めて放つ。
放たれた銃弾は的を貫いて貫通し、結果的に何もしていない時よりものを10倍以上の威力が出た。
(やった!取り敢えず一発だけだけど、魂塊を纏わせた状態で当てれた!)
アクフのテンションは有頂天まで上りある考えが思いつく。
(そういえば、『廻音剣』って風を生み出せるよな。…………もしかして『廻音剣』と合わせたら竜巻の銃弾を発射できたりしないかな?)
試しにアクフはもう一回バファイを纏わせた銃弾を装填する。
要領としては『超音剣』を剣に纏わせる時と近い。だが、『超音剣』はそこまで扱いが難しくはないので出来たが、とんでもないじゃじゃ馬である『廻音剣』は今のアクフには厳しい。
(うっ、やっぱり『廻音剣』はかなり無理矢理回して剣用の技として作ったから剣とは全然違う銃じゃ難しい。でも、これを完成できたら絶対に『
アクフはまた己の心に絶対にその意思を曲げないと決心を刻んで、それに沿って基本の筋トレ以外を『廻音剣』を〘ビッグバン・ピストル〙で使えるようにすると誓う。
だが、そんなアクフの誓いに水を差す不届きなことが起こる。
そう、空腹だ。
流石にデオル式訓練を受けても第三欲求の内一つしか克服することが出来なかった為、アクフは食事をとりに宿に戻った。
――
昼時な為意外と賑わっている店に入ってそこら辺の席に座り、店員を呼ぼうと店内を見渡すと、ヤクバラとミティスが目に入った。
(ヤクバラがなんでここに?それに知らない女の人、…………もしかしてギャングの人?)
色恋沙汰を一切存じ得ないアクフは仕事の邪魔をしても申し訳ないなと思ったのて気配を消して観察することにする。
「ほうほう。んってことは【無剣の有剣】さんは理由あって
ヤクバラが出した結論を聞いてミティスは最後の方だけ小声で答える。
「まぁ、そうね。……自分でもよくわかってないけど。」
「それなら、だ。実は俺も色々アイツにはあるから俺達組まないか?」
「俺達……?もしかしてギャングの構成員の人?」
「いや、ギャングじゃない……あっ、ここにいるな。」
ヤクバラは話している途中にアクフの気配を感じたので呼ぶ。
「おーい、アクフ!ちょっと来てくれ。」
コソコソヤクバラの話を聞いていたことに罪悪感を覚えたアクフは申し訳無さそうにヤクバラの近くの席に座る。
「アクフは途中から聞いていたと思うから説明は省く、端的に言うぞ、このミティスって言う人とチームを組むがいいか?」
「ああ、別にいいぞ多ければ多いほどできる作戦が増えるしな。」
「了解了解。取り敢えず、作戦を立てるのは俺の仕事が落ち着いてからになるがいいか?」
「大丈夫よ、基本暇だし。」
「ちょっと新しい技を取得するのに時間がかかりそうだから別にいいぞ。」
「それじゃ、この会は一旦お開きにするか。」
そうヤクバラが言うとミティスはそそくさと店を出ていった。しかし、どうやら急ぎ過ぎたようで高価そうなアクセサリーを落としてしまっていた。それを見てアクフは「届けてくる。」と言ってミティスを追う。
――
暫くチェイスがあったもののアクフはミティスが借りている宿屋に辿り着く。
(そういえば、いくら落とし物を届けると言っても宿までついていくのは良く無かったかな?もうちょっと速くしたら追い付いたかもしれないし。)
因みにミティスは
アクフはミティスの部屋のドアをノックする。
「あのー、【無剣の有剣】さん!なにか落としましたよ。」
と、ついでにアクフが言うとミティスがゆっくりドアを開けてアクフを見て「ありがとう、せっかく来てもらったし、立ってもらうのもなんだから入って。」といい部屋に招き入れる。
部屋の中は妙に物がなく、その程はアクフの部屋にある基本的なものもほとんどなく蝋燭とベットだけが置かれていた。
部屋の綺麗さを見ると精神状況が分かり、汚れている程悪いというものがあるのだが、アクフはこの部屋の様子でミティスの苦しい心情を察した。
(昔の俺と同じ感じがする……どうにかしてあげたいけど、昔の俺は自分でなんとかしたし、変に関わったら悪影響かもしれない。これは今は帰った方が良いかな。)
アクフはさっさと立ち去る為に落とし物をミティスのテーブルに丁重において、口を開く。
「あの、せっかく招き入れてもらっとこ悪いんですが、俺は鍛錬と、銃発掘の作業があるのでそろそろ行かせてもらいます。」
「それなら、仕方ないわね。お礼として今度何か奢らせてもらうわ。」
「はい、それではまた今度。」
そう言いながらアクフは席を立ってミティスの部屋から去っていった。
(行っちゃった……そう言えばありがとうを言うのを忘れちゃったわね。そういえば、あの人の心、私と似ていた。)
ミティスは自分の深層心理を見てから影に潜らなくても相手の深層心理を顔面として認識出来るようになっていたのだ。
(でも、私と決定的に違うところがあった。)
アクフの深層心理顔面はミティスと同じく不気味な程幼くニキビだらけで仄かな殺意が漂っていて酷かったが、少し明るい顔をして前を向いていた。
(もしかしたら、私と違って何かをして前を向けているのかもしれない。)
あの少年、アクフが何故深層心理から前を向けている正体に希望を見出したミティスは。
(…………少し興味が湧いてきた。)
と、その希望に向かって見ることにした。
今でさえ理由もわからずに泣いている現象を何とかするべくミティスはアクフに目をつける。
――
数日後、アクフは筋トレ、銃の試し打ち、銃発掘以外を『廻音剣』の必殺化に注いでいたので、何とか弾丸に『廻音剣』を纏わせ、射出出来るくらいにはなっていた。
(ふぅー、まだまだこれからだけど着実に進んでいる。取り敢えず、これから色んな形で撃って竜巻を発生させる事ができるようにしよう。………そういえば『
思い立ったが吉日、アクフは〘
(そしてこのまま…………。)
生力を使いながら『廻音剣』の出力を上げつつも圧縮する。
すると、通常通りに回転していた『廻音剣』の回転数が上がった。
どんどんどんどん上がり、上がる。
速度が上がる事によって、生み出されていた風は次第に勢いを増す。
(こんなものじゃ足らない。前にワイバーンと戦った時のナルに比べたら全然足らない!もっと速く、もっと回して!)
アクフの思いによりかなりの量の生力を注ぎ込まれた『廻音剣』の速さは
後はこれを放ち的を射抜くだけ、とアクフは思い
暴発した。
余りに速い回転により恐ろしい程の推進力を得てしまった『廻音剣』を纏った銃弾は宿屋に向かって飛んでいき、宿屋を半壊させた。
(このくらいなら、ナルを守れる!)
アクフは期待と達成感の籠もった目を半壊した宿屋に向けたが、その後、正気に戻り自分のした事に気づきいたので宿屋の店主に謝罪の意を込めて義刀から貰ったお金の半分を渡した。
その後、アクフは気分転換に地上に出て本物の夜空を見上げていた。
(あー、やっちゃった。やっちゃた。こじゃエジプトに戻るどころか武器を一つ買うお金すらないな。ならっそミティスと同じ賞金稼ぎになろうかな。)
アクフは空に浮かんでいた綺麗に輝くオリオン座を見つめているとあることを思い出した。
(そういえばあの硬い箱目茶苦茶硬いよな?『超音剣』じゃ傷もつかないどころか、びくともしないしな。……よし、それじゃ銃弾『廻音剣』の的にしてあの箱を壊せるくらいまでの威力を目標にしよう!)
と、考えついたので、アクフは英気を養う為に半壊した宿屋とは別の宿屋に泊まって寝た。
――
ここは、世界一神々しい光さす教会。
そこで、教皇は厳しい顔で側近が渡してくれたバイアスがかなり入っている近頃の世界情勢の書かれた紙を読んでいた。
(世界は不景気で一部の国を除いて不安定な雰囲気、しかもそれによって、多くの子供達が迫害されたり誘拐等で奴隷として売り飛ばされている……やはり、一刻も速く王暴を処刑してこの世界に平和をもたらさなくてはいけませんね。しかし、ここまでの状況で皆さんだけに任せるわけにも行きません。王暴を見つける『
「ラミ、準備をしてください。私も王暴を探し処刑に行きます。」
「教会の外に出たら卑劣な王暴の策に嵌められるかもしれないのに大丈夫なのですか?」
「だからです。私は一番上に立つ者だから皆さんだけに命を張らせるわけには行かないんです。」
「分かりました。準備いたしましょう。」
そして、教皇は王暴を探しつつ、奴隷の子供達を開放して護神教の孤児院に避難させる為旅に出た。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます