第6話傭兵としての仕事
アクフは日々、傭兵の仕事は免除されているが、普通の傭兵ではどうともならない、仕事はすることにより、特別報酬が貰えるためしている、仕事がなければ、修行をしていたり、新しい剣術の開発などをしている。
今回の仕事内容は主に、この地域、ハナマルで起こった事件の解決に導くことである、ただし、戦争などが起こった際にも派遣されるのだ。
だが、今日は久し振りに大きな仕事が舞い込んできた。
街で火の玉が人々を襲う事件が起こった。
その事件で死者2名、怪我人10名の犠牲が出た為、騎士団の中でソルバから信頼されているデオルを指揮役とし、その他の傭兵が派遣される。
傭兵が向かうまで、アクフは特別な仕事でデオルと現地に偵察に来ていた。
「師匠、本当にここが、火の玉が人々を襲った場所なんですか?全然燃えたあとが見つかりませんが。」
「大丈夫です、地図的には間違いなくここです、ただ、先程その当たりの被害者の部屋を覗いてみましたが、被害報告とは異なり、綺麗に家具などが置かれていました。」
「ですよね、ここに何があるんでしょうか?」
「そうですね、私のこれまでの経験からは、"だいたい不可思議なことが起こった時は魂塊が関わっている"、としか言えません。」
「さて、ここまでで、偵察は終わりにしますか?」
「そうですね――――――――。」
デオルの視線の先には、謎の男がこちらに向かって、モデルジバクアリの魂塊を纏わせた矢を弓で射っているところを捉えた。
持っていた、槍に鰐のモデルの魂塊、ワスタラーを纏わりつかせ、謎の男に向かって『
振るった空間が変色して、濁った青色になった。
そこに飛んできた矢は、その変色した空間に突入して。
爆発したが、被害は変色した空間の中に留まる。
デオルはその変色した空間に入り、槍を振るい。
空間を拡張していきながら、謎の男に近づいていく。
謎の男もそれをよしとはしないため、再び、魂塊を矢に纏わせてデオルの方へ射る。
その矢も、デオルの『
遂にデオルは謎の男のところに着き、槍を振るって、両腕を使えないようにした。
その頃、アクフはもう一人の謎の男と交戦中だった。
フードを被っている謎の男はナイフを持ち、モデルトビの魂塊、サコンナを纏わせ、アクフの方に投げてきた。
投げてきたナイフが燃える。
「行くぞ!バファイ!」
「キュュュ!」
アクフはバファイを叫びとともに、〘
燃えているナイフに『鎮音放』を放ち、勢いを削いで落とした。
フードを被っている謎の男はアクフに蹴りを入れようと、ナイフに纏わせていたサコンナを足に付いている金槌に纏わせ、高速で突き出してきだす。
それをアクフは〘ソールド〙で防ぎ、フードを被っている謎の男から距離をとった。
フードを被っている謎の男はアクフと距離を取った瞬間。
懐から大量の木のナイフを取り出し、足についている火で着火させた後、アクフに向かって投げてきた。
その景色は、アクフの前方から魂とも言える、大量の赤い光の弾幕だ。
そんな景色を生み出している、大量の燃えたナイフはアクフを襲う。
アクフはその光景を見て、『鎮音放』ではとても捌き切ることは難しいと瞬時に判断した為、〘ソールド〙で己の体を守る。
燃えたナイフの一つが、アクフの腕に突き刺さった。
アクフは訓練していた為、怯むことなく考える。
(今までの戦いから、あの魂塊は火を起こすことが出来る能力だとは分かった。だが、それをどうやって戦いに活かすかだ!)
フードを被っている謎の男は再び、木のナイフを取り出し、アクフの元に投げてこようとする。
アクフは『
この頃にはアクフの腕は火傷をしていたが、アクフは必死になって、探した。
結果、見つかった。
勝利までの道が。
まず、アクフは地面向かって、『超音剣』を使い、地面を抉った。
そうすると、抉った地面から水が勢い良く湧き出す。
その水はアクフとフードを被っている謎の男を水浸しにする。
(よし、これで!後は突っ込むだけだ!)
アクフはフードを被っている謎の男に先に行動されないように『打音放』を速攻で地面に向かって放ち。
その反動で飛び上がる。
更に『打音放』を放ち、フードを被っている謎の男に〘
フードを被っている謎の男は失神したのか、目をひん剥いて倒れた。
「よし、勝った!」
「貴方、大丈夫ですか?」
喜んでいるアクフにデオルが心配そうに声を掛けてきた。
「このくらいは、大丈夫です、師匠。」
と、アクフは腕の火傷痕を押さえながら言う。
「取り敢えず、この二人を持って帰りましょうか。」
「そうですね。」
そう言い、アクフは鍛錬の一部として、謎の男達を背負って帰った。
――
アクフはソルバによる治療がなされた後、デオルに謎の男達の処遇について聞いてみることにした。
「そうですね、基本的には尋問をしてから、罪があれば、罪を償ってもらい、見込みがあるので引き取って、また罪を犯さないように教育を交えながらの修行ですね。」
「罪がなかった場合はどうするんですか?」
「いえ、仮に私達に襲いかかる前に罪を犯していないとしても、私達に襲いかかった時点でもう、アウトです。」
「そうですか……。」
(そういえば、師匠ってどこの出身なんだろう、今度聞いてみようかな?……いいや、やめとこうかな、あまりプライベートな話は失礼だろうし。)
「貴方はこの後はどうしますか?」
「特にやることもないので、鍛練をしようと思っていますが。」
「それなら、少し私に付き合ってもらえますか?」
「良いですけど、どこに行くんですか?」
「着いてからのお楽しみです、……と言っても、そこまで楽しみなものでもないかもしれませんが。」
数分後。
アクフの目の前には御洒落という言葉がとても良く似合う店があった。
「師匠、ここは……最近噂になっている魂塊の能力を使った、とんでもなく酸っぱくて美味しい料理が出る店ですね。」
「詳しいですね。」
「こういう店は一人で行くのは、ちょと
「では、早速入りましょうか。」
デオルはアクフを連れて、店の中に入る。
「さて、今日は私の奢りですが、貴方は何か頼みますか?」
デオルはメニューを見ながら、アクフに問いかけた。
「もう決まりました。」
「そうですか、すいません!」
デオルは店員に聞こえる声で言った。
少し時が経つと、店員が「ご注文は何にいたしましょう」と言ってきので。
「それでは、この、レモンとピーチのシャーベットで。」
アクフはデオルの奢りであるが、あまり高いものを頼むのは良くないと考え、そこそこの値段のものを頼んだ。
「私は、この、酸っパフェを。」
デオルはこの店で一番高価なものを頼んだ。
そして、店員が注文を聞き終わり、注文を厨房に通しに行った。
「それでは、本題なんですが、まず、私は貴方の独特な剣を『暴剣』と仮に名付けしたのは、なぜだと思いますか?」
「師匠から見たら、剣が暴れているように見えたからじゃないんですか?」
「残念ながら、違います。まず、私の今はもう無い故郷で、言い伝えられていたものがありました、その名も、王暴の伝承、この話の主人公は今から数千年前に遡ります。」
とある種族の村に自らを王暴と名乗る、若者がいた。
その若者はとても強い。
当時、世界に
勿論、他の村の者と戦って負けたことなど一度もない。
そんな、王暴が使う剣術の名は『暴剣』、その剣の軌道は、荒れ狂うように、ジグザグと曲がった。
他にも『暴剣』と呼ばれる剣術はあったが、それを見た者はいないという。
その王暴が秘密主義だったのもあるが、王暴と敵対して
そんな王暴は四千年後のうちに空から、とんでもない化け物が攻めてくると村のものに言った。
とあるものが「それは貴方でも勝てない程の化け物ですか?」と聞いたものがいたが、その答えを肯定すると、直ぐに村の者達は顔を真っ青にする。
たが、王暴はそれをどうにかする方法があるという趣旨の話をすると、村の者達の血の気が戻っていった。
その空からくる化け物を倒す方法は、先ず、我死せる後、王暴は後二千年後に再びこの世に現れる、その特徴は、生命の危機となると髪が燃え滾り、生命の色である朱色になる。そして、敵対する相手を殲滅し尽くす。
その者を必ず、後世に子孫を残させ、さらにその者の子孫5人等が王暴であり、化け物を阻止するだろう。
「という、伝承です。因みに、今が二代目王暴が出てくる頃なんです。」
「そうなんですか、王暴。うっ!」
アクフはその名に既視感を覚えたので、何故なのか思い出そうとしたが、頭痛がしただけで、それは叶わなかった。
「大丈夫ですか?」
「だ、大丈夫です、心配なさらず。」
(またこれだ、何故か十歳から前の自分とかを思い出そうとすると、頭痛がする……。)
アクフが真剣に悩んでいると、店員がそれを破るように注文した料理を持ってくる。
「ご注文のレモンとピーチのシャーベットと酸っパフェです。」
素早くその2つをアクフとデオルのテーブルに置き、厨房に戻った。
「それでは、少し長くなってしまいましたが、頂きましょう。」
「はい。」
デオルは酸っパフェに刺さっていた、スプーンを引き抜き、そのレモンなどの様々な果実が乗っているパフェの上の方から一口分取り、口に入れる。
そうすると、デオルは口にを少しだけ尖らせ、「うぅん〜!」とこぼし、美味しくて笑顔になった。
「美味しいですね!貴方は食べないんですか?溶けますよ?」
デオルはアクフに見せた表情の中で一番の笑顔を見せた。
「そうですね、それでは。」
アクフはレモンとピーチのシャーベットをすくい、口の中に入れた。
口に入れた瞬間、とてつもない酸っぱさがアクフを襲う。
「うう!うぅう!」
「大丈夫ですか!!」
デオルが本気で心配しているのを横に声にもならない声を上げ、アクフは気が動転して、席ごと倒れ。
そして、メニューに書いてあった、文言を思い出した。
『レモンとピーチのシャーベットは百分の一の確率で通常よりもとても酸っぱい物が提供されます。』
――
ここは、アクフが傭兵をしている場所から少し離れた場所、雫が滴る洞窟で二人の男が話していた。
「サビテニ、作戦の調子はどうだ?」
「まだ、俺の傭兵募集で呼び寄せた王暴には目星はつけられていない。」
「そうか、ならば、炙り出すため近いうちに、我が国と戦争をさせるか。」
男は大帝国スパルタの用人であった。
「ナエル教皇様からの司令はどうなった?」
「司令では、『我々の神の邪魔をするものは残念ながら排除せざる終えません。』とおっしゃられていた。」
「そうだな、全ては教皇様と神のために。」
「教皇様と神のために。」
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