第7話戦火

 アクフとデオルが調査に向かった事件が解決し。デオルのかなり辛い修業をしている弟子が二人増えた。この頃。


 アクフはデオルの弟子がどうなっているのか。気になったので、様子を見に来ていた。


「反復横跳千回!」 


 デオルがアクフ時と相変わらず、弟子をしごいている。


 アクフは今、デオルに頼み弟子と話すのは得策ではないと考え、時間を置いた。

      

 そして、飯時でデオルの修行が一旦、中断される頃。


 アクフは出来るだけフレンドリーにして二人に話しかけた。


「調子はどうだ?」


「はい!アクフ先輩、とんでもなく良いです!」 


「何せ、デオル師匠が直々にしごいてくれいるんですから、当然です!」


 この二人の回答にアクフは、「まるで宗教みたいだな」と思い。言葉選びには気をつけて、話題を振ってみる。


「そう言えば、二人はどんな武器を使っているんだ?」


「私、ナカヤが弓で、相棒の魂塊がジバクアリのバク。こっちのモーシャがナックルとトビの魂塊、サコンナです。能力は………言う必要はありませんね。」    


「そうだな。」


「そう言えば、アクフ先輩。俺修行して強くなったか見て頂けませんか?」


「ああ、良いぞ。」


 取り敢えず、アクフはデオルに模擬試合の許可を取りに行いった。


「師匠!ナカヤとモーシャを借りていいですか?」


「えぇ、別にいいですよ。」


――


 ここは、アクフにとても思い出深い場所……そう、ソルバに初めて勝った場所だ。


「それでは、始めましょう!」


「ああ。」 


 まずは、モーシャとアクフが模擬試合をする。


「行くぞ、バファイ!」 


『キュュュュ!』


 アクフがバファイを〘天翔石剣カノンスド〙に纏わせた。


 アクフに少し遅れ、モーシャが自分のナックルに、サコンナを纏わせ。


 落ち葉などが多分にある地面を叩いた。   


 衝撃とともに、燃え盛る落ち葉が中にまう。


 アクフはなにかする前にそれを阻止しようと、『打音放』を放ち、燃え盛る落ち葉を散らす。


 モーシャはアクフには、自分の絡み手はあまり通じないと悟り。


 正面から突っ込むことにした。 


「『炎拳ヒィド』。」


 その拳はアクフの射程内に入って。『鎮音放』に撃墜される。


 だが、しかしモーシャは通常の魂塊使いよりも、扱いの精度が違う。その魂塊を扱う精度をいかんなく発揮し。即座にサコンナを足につけている、刃がついているブーツに纏わせ、『炎脚切り《ヒィブルー》』を繰り出す。


 アクフは焦らず、『鎮音放』で防ぎ、ついでに『超音剣』を撃つ。


 だが、モーシャ少し危なげがあったが、避けた。


 アクフはあまり、周りが強いので気づいていないが、『超音剣』は超音波なので、人間には聞こえ無い。それに、実態もない、故に避けるのは至極を極める。


 ハサタはデオルの修行でかなりの成長を遂げたのだった。 


 (デオル師匠から聞いていた通り、アクフ先輩は強いな。ですが、ここからが本気の出しどころです!)


 モーシャは素早く、『炎拳ヒィド』と『炎脚切りヒィブルー』を繰り返し。


 猛攻を始めた。


 その勢いがあり、とても早い、技の華麗なつなぎに。アクフは押されいた。


 その様子を表すと、打つ、蹴る。打つ、蹴る。打つ、蹴るの嵐。


 しかも、蹴りの方は少し間違えれば、体を切られる。


 アクフはこのままだとジリ貧になると思い。いつもより少なめの生力を使い、ミニ『轟放奏剣ごうはそうけん』と言えるもので、脱出した。


 (前に戦ったときは、遠距離から攻撃してきたけど。今は、全然、そうではないんだな。にしてもなかなかに手強いな。)


 アクフは剣を構え、『刻』の前に入り。


 モーシャ拳をためて、口を開いた。


「これで、最後です!『鳶隕突拳ヒィケトエイ』!」     


 モーシャは拳をためた後、アクフに飛びかかった

  

 その勢いはまるで、隕石。


 これが、デオルにより行われるとてつもない修行によって放たれる。モーシャの必殺技。


 対して、アクフは。本来、ため等は必要ない、『暴剣』シリーズをわざとためている。 


『鳶隕突拳ヒィケトエイ』はヒィイイイウ、ドン!という爆発音に近い音を立てて。


 アクフの放った。『刻』に激突する。     


 そして、アクフは『暴剣』を使い。


 するりと、モーシャの下を、身を低くし『鳶隕突拳ヒィケトエイ』を回避しながら。


 最後には、後ろに回った。


 アクフが「これで終わりだな。」と言いつつ、剣を後ろから突き立てる。


 モーシャの「参りました。」の声と同時に、ハサタとの模擬試合は終わりを告げた。 


「それでは、いきましょう。」


 ナカヤは少し休憩を挟んだアクフに話しかけて、了承を得ると、定位置について。二人は自分の武器に魂塊を纏わせ、始めた。


 はじめの構図はナカヤがバクを使い。地と同時に爆破する物騒な弓をアクフに打ち続けて、アクフがそれをどうにかして避けるというもの。


 (やっぱり、二人はとんでもなく成長している。ナカヤは前もこんな感じだったかもしれないが、ハサタは『鳶隕突拳ヒィケトエイ』という、磨けばまだまだ伸びる技を持っているし、俺と戦った時のソルバ団長補佐もこんな気分だったのかな……。)


 そう思いつつ、そろそろ反撃に出ようと、アクフは『打音放』を地面に向かって放ち、お得意の曲芸戦術を使う。


 それに対抗しようと、ナカヤはギリギリ爆風だけもらう場所を狙って、矢を放った。


 (俺の曲芸紛いが、真似される時が来たのか……。)


 ここからは空中戦、お互い、宙を舞いながら、攻防をする。


 遠くから見守っているモーシャは、なにこれという顔で呆けているが。


 この戦い、レベルが高い。ナカヤの魂塊バクの能力は『爆発』と、かなり応用の効く能力だ。 


 隙があれば、爆風で空気を温め、上昇して優位を取ろうとしている。


 ナカヤには詳しい理科の知識はないが、温めたら上にいくという知識だけはあった。


 それにより、アクフは結構な苦戦を強いられている。 


 (どうしようか、ここじゃ、『轟放奏剣ごうはそうけん』も意味をなさない。先輩として、不甲斐ない所は見せたくはない、なら、どうする?)


 アクフは己の指につけている、指輪を見て思いついた。


 まず、アクフは〘天翔石剣カノンスド〙に纏わせていたバファイを指輪に移し。


 そのまま『打音放』でナカヤに急接近する。 


 ナカヤも抵抗したが、アクフの『暴剣』でスルリと、避けられ。


 その次の瞬間、アクフが剣を突き立てた。


 その時、ナカヤは敗北を悟り、地面に落ちる。


 だが、ナカヤは落ちたときに無事に帰る方法を持ち合わせていなかった。


 アクフが慌てて、ナカヤに向かって『鎮音放』で落下する衝撃をカットして、事なきを得た。


 ゆっくりと、二人が地面に降りた後。


 安心した様子で、ナカヤがアクフに話しかけてくる。


「ありがとうございます!」


「後輩だからな、別にいいぞ。」 


 その後、アクフは模擬試合のお礼に肉が美味しい料理屋で奢った。


――


 それから、数ヶ月後。


 ここは、大帝国スパルタの軍事侵攻前でピリピリとした空気をまとった広場。そこに、スパルタの用人と、出張と言い、騎士団から数ヶ月姿を消した男、サビテニだった。


 そして、いまその男二人は、一人のかなり内気で極端にテンションが低い奴と対面している。


「あっ……あのー、な、な、なんの御用でしょう…?」


「ローガ、今回の戦争。教皇様から、我ら神の反逆者がうちの騎士団に紛れている奴というのを聞いてな。世界の平穏のため排除しないといけないんだ、何でも、"王暴"っていうんだが、そいつを戦争に乗じ、殺してほしい。」


「あっ……そ、そ、そうだったんですね…、はい、やります。」


 それを言った後、サビテニはこの場を去った。


「今回もお前の神を模した魂塊。シバタの力を引き出すために、薬物を使うことになるが良いか。」 


「あっ……い、い、良いですよ。…………どうせ僕が断っても無理やり飲ますくせに。」  


 ローガは最後の言葉だけを小さくして言った。


「最近、耳が遠くなってきていてな、もう一回言ってくれるか。特に、最後の方を。」


「あっ……い、い、いや、久しぶりの戦闘だから、戦い方を忘れてしまったなって。」        


「大丈夫だろう。お前の魂塊の能力は、テンションが上がるほど身体能力が青天井で上がっていき、更には宙に浮く腕まで青天井で増える。はっきり言って、並大抵の者だった場合、敵に回したら、どうあがこうとも勝算は無いからな。」


「あっ……そ、そ、そこまで褒められると、嬉しいです……、頑張ります。」


「頑張ってくれよ、なにせここに集まっている兵士は、全てが教皇様に助けられた者たちだからな。皆、教皇様の手伝いをしたいと思っているが、王暴を殺せるのはお前だけだ。」


「あっ……え、え、えへへっ……。」


 ローガはそう言いつつ、持っていく武器を整備し始めた。


 用人が中央にある台に登り。集まっている兵士に向かって、口を開き喋りだす。


「まず、救いの親である教皇様の為に、ここに集まっている同胞に感謝を述べたいと思う。それでは、要件を話そう。我々は神のお告げにより、生きていられる。」


 ここで、用人は大きく呼吸をして大きな声で再び喋る。


「信じがたいことだが、その神を妨害する反逆者がこの世にいるらしい!なので、この戦いは、聖戦であり、神の反逆者を処刑する戦いである!そして、その反逆者の処刑人はこの国でトップクラスに強いローガにやってもらう!」


 その声を聞いたとき、周囲が歓声を上げた。


「最後に、我々の役目はあくまでも処刑人である、ローガの補助であることを忘れるな!教皇様は、我々の無事を祈っていらしゃるぞ!無事帰還し、再び、顔を合わせることを私からも祈る!全ては教皇様と神の為!」


 そう、締めくくり、戦争前のセレモリー演説は周囲がかなりの歓声と教皇様&神コールを上げることで幕をおろした。


 更にそれから、数ヶ月の時がたち、アクフのいる騎士団に王暴を殺すためのとんでもない軍隊が攻めてくる。


 ただし、そこに、ローガはいなく、魂塊使いの敵将とその他兵士がいるだけだ。 


 (まずい、まずい、このままだったら、また罪のない人達の命が危険にさらされる!早く報告に向かって、防衛戦争の準備をしないと!) 


 その様子をたまたま見て。スパルタの進軍だと即座に判断したアクフは、ソルバの元へと報告に行った。


 


「ソルバ団長補佐!大変です!大帝国スパルタが攻めてきました!」

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