第8話それぞれの戦い

「なんだって!?アクフ、今、大王国スパルタが攻めてくると言ったか?」


「はい、俺がこちら側に攻めてくるスパルタ軍を見ました。」


「そうか…………なら、今すぐ騎士団と数名をスパルタの元へ奇襲しに行くぞ!」 


「はい!」


 ソルバは現在いないサビテニの代わりに、指揮をとり、少数精鋭で奇襲することにした。


 そのメンバーは、指揮官である、ソルバ。その補佐、デオル。後はアクフ、モーシャナカヤ、その他騎士の面子だ。


 ちなみに奇襲した後に傭兵などで追い打ちをかける作戦だ。

   

 決まったところで早速、最小限の荷物を持ち出発した。 


 まず、スパルタ軍が来る平地に拠点を立て待ち構える。


 しばらくすると、スパルタ軍がこちらに来て。敵将が宣戦布告をした。


 宣戦布告と共に、アクフ達は魂塊を纏わせて、飛び出す。


「敵襲!神の名の下に直ちに撃退せよ!」 


 そう言うと、無謀にも魂塊使いでは無い兵士がアクフ達の元に向かった。


 だが、魂塊使いとそうではない兵士には天と地。月とスッポン程の差があるため、ナカヤの爆発矢で一網打尽にされる。

     

 あと残るのは、飛蝗の魂塊使いの敵将だけだ。


 アクフ、デオル、ソルバの三人が取囲み。敵将はもう終わったと思ったと、感じ。3人同時に攻撃すると。


 敵将が大きく跳ねた。

 

 そして、上から魂塊使いによって作り出された、なにかを大量に投げてくる。

 

 それに当たった兵士が溶けながら、「ひゃっぬたいっぃが!」と謎の奇声を上げて体が溶け切る。


「サンダロス!」


 ソルバは一瞬仲間であったサンダロスが溶けた事を悲しみながら叫んだ。  


 そして、デオルはなにかに触れるのはまずいと思い。『汚水空間ヘドミズ』で他のなにかの直撃を阻止しようとしたが、数名の兵士がサンダロスと同じようになり犠牲になった。 


 ここで、一瞬フリーズしていたアクフは正気を取り戻し。


 『超音剣』で宙に浮いている敵将の首を切り落とした。


「敵将、討ち取った!」


 と声を上げて数少ない兵士に決着したと報告する。


 そうすると、ソルバがこちらにやってきて敵将の亡き体を探ると「これは、こいつ以外の班が大量にあるな。こうなれば仕方ない総攻撃だ。」と言い。その後に被害が著しいため、一旦撤退命令を出してアクフは駐屯所に戻った。 

   

 駐屯所に戻った時。アクフはソルバの所に向かい作戦を聞きに行く。


「ソルバ団長補佐。今回の防衛戦争はどうなりそうなんですか?」


 アクフは出来るだけ真剣な声で言う。 


「今回は前の防衛戦争よりも、多い軍勢が確認されている。流石にこれは精鋭が多い俺達の騎士団でも、防衛するのは無理がある。相手は大王国エジプトと並ぶ大帝国スパルタだからな。こちらもそれに対抗するためにファラオ様に援軍を要請した。」


「それで、援軍の到着は間に合いそうなんですか?」 


「いや、分からない。今の進行してきている軍はデオル、モーシャ、ナカヤ、傭兵で食い止めて魂塊の能力で土壁を作れる能力が使えるやつが居るから、そいつが前の進行終わりにもしもの為に作っておいた拠点に誘導しながら時間は稼いでいるが。それもいつまでもつか……。」


「そうなんですか。では、私も時間稼ぎに行こうと思います。」


「いや、アクフは俺と一緒に居てくれ。」


「ですか?」

    

「今、この詰所でツートップの俺とアクフが、もし仮に死ぬのは不味い。スパルタ軍は隠しダネを持っていかもしれないし、その隠しダネが来たときに対抗出来るのは。俺とアクフだけだ。」


「それはそうですが……。」


「アクフ、お前の気持ちは充分、分る、デオル、ナカヤ、モーシャ、兵士達に死んでほしくないんだろう?大丈夫だ、前の時は……、残念だったが、あいつ達は強い。信頼しよう、仲間を。」


「……はい、分かりました!」


 アクフ達はその後数日間に及ぶ、持久戦に耐え、サビテニの帰還とファラオからの援軍が送られてくる。


 送られてきた大将と兵士との手短に説明等をして、アクフ達も戦場に向かった。


――


 アクフは今、激戦の中にいる。何故か、それは大帝国スパルタが大王国エジプト以外ならなありえないほどの魂塊使いが居るからだ。


 動物、虫、人、様々なモデルの魂塊が入り乱れる。

 

 そして、アクフは現在ゴリラの魂塊使いの敵兵士と戦っていた。


 (この兵士、強い。ソルバ団長補佐のような一撃をかなりの速さで放ってくる。どうやって倒すか。)


「吹っ飛べ!『鈍々器放武帝どんどんきほうぶてい』。」

 

 敵兵士は気合を入れるために技名を叫び。鈍器を使いアクフに思い一撃を放つ。

   

 その攻撃を避けれないと、覚悟したアクフは〘ソールド〙を構えるが。『鈍々器放武帝』のあまりの力に、後ろの方に、吹き飛んだ。


「くぁ!」


 アクフは吹き飛ばされて痛みが全身にはしっているが、ここで思考を止めたら、死ぬと悟っているので考える。


 (どうしよう、近づこうにも相手は完全に防御を捨てている攻撃重視だから近づいてもさっきの技で地面を叩かれたら、吹き飛ぶ。なら曲芸で射程外から攻撃するか?……現時点ではそれしかなさそうだな。)


 かなり早い思考を終え『打音放』を地面に向けて放つ。

 

 その衝撃で宙に浮き、『打音放』を何度か打ち続けて敵兵士が届かない所まで行き。『超音剣』で攻撃する。

 

 敵兵士は何もできずに『超音剣』に直撃した。


 その瞬間、特訓で研ぎ澄まされていた生力を惜しげもなく放った一撃は、敵兵士の首を跳ねる。


 アクフは首を跳ねたのを確認し足早に敵将を探しに行った。


――


 アクフ、傭兵達と共にに出陣していたソルバだったが、敵将との接敵によってアクフとはぐれてしまっていた。


 傭兵は数名死亡でソルバとは離れて戦っている。

  

「『黄泉送りインヘル』。」       


 ソルバは明後日の方向にその一撃を放つ。

 

 相手の魂塊のモデルは食べることにより大麻と同じ効果が得られる魚、サレマ・ポーギーの能力によって幻覚を見せられている。


 (ここは、どこだ?分からない。取り敢えず、相手を倒さないとな。)  


 ソルバは眼の前に広がる幻覚の景色の中、敵将を見つけ出そうとするが見つからない。


 敵将の攻撃はギリギリの所で避けられているが、いつ当たるかもわからない。視覚、嗅覚が麻痺していて使い物にならない。そんな状況でソルバは聴覚だけで相手を探っている。 


 だがしかし、眼の前に広がるのは常人であれば精神が崩壊しているほどの光景だ。


 流石に精神が強いソルバでも気は取られる。


 (くそっ、今はなんとか避けられているが、あの剣、かなりの業物だ。一回斬られたから分かるが。あれをまともに受けてしまったら、……一撃で終わる。)  


 この際、ソルバが生き残る可能性は3つ。


 1、ソルバが聴覚だけを頼りに、相手の場所を当て、そこに『罪人鰐食イートダイル』等を放ち倒すこと。


 2、なんとか自分で幻聴を解いて戦い勝つこと。


 3、アクフ等の仲間が到着することを祈りながら、避けつづけ仲間が倒すことを祈る。


 そして、ソルバが自らの運命をかける選択肢は2だ。


 ソルバは早速、バックジャンプでそうそう来れない所まで行き、自身の腕を大剣で傷つけられた部分を軽く切る。


 その瞬間、ソルバはそこそこの痛みを感じたが、幻覚は所々欠けていく。


 所々欠けているところから、幻覚ではなく、現実が見える。 


 現実が見えると同時に、欠けてくところから、希望の光が差し込んできた。


 希望の光の先には、敵将が写っている。ソルバそこに見向かって、『罪人鰐食イートダイル』を放ち、敵将の首を取る。


「敵将の首、取ったぞ!」


――


 ここでは、デオル、モーシャ、ナカヤが複数の部隊と接敵していた。


 魂塊の敵将との接敵の場合、傭兵達はほかの部隊の殲滅をしており、デオル、モーシャが敵将を挟み撃ちで倒し、その他兵士はナカヤが、爆殺している。


 そんな、有利な状況でそれを覆そうとする敵将が現れた。 

 

 使う魂塊はキッナ、モデルはねずみで能力は水を高出力で出せるというものだ。


「我が名は、ナタカエル!公明正大を持って神に逆らう貴様らに天罰をあたえしもの!いざ勝負!」   


 ナタカエルは背中に背負っている壺にキッナを纏わせてから、水を射出し、デオルを狙った。


 デオルは水を射出するなら『汚水空間ヘドミズ』で防げるだろうと、『汚水空間ヘドミズ』を発動したが、射出された水は。


汚水空間ヘドミズ』を貫通して、デオルの頬にかすった。


 (これは、中々の魂塊のようですね。油断していたら普通に負けてしまいそうです。……ですが、人数有利はこちらにあります。) 

      

「モーシャ!回り込んでください!」


 そう、デオルが叫ぶと、横でナタカエルを観察していたモーシャは一瞬で回り込んだ。


「挟み撃ちとは卑怯な……、ですが!神の加護がある私は負けません!『打ち上げ水花水』!」


 そう叫ぶと、ナタカエルは背中に背負っている、壺にかなりの生力を注ぎ込み、大量の一塊の水を空に射出した。


 射出した一塊の水を見ると、デオルとモーシャは構える。 

 

 その射出された水はある程度の高さまで登り、炸裂して、小さい粒が数えようもない程でてデオル、モーシャ、ナカヤを襲う。


  避けようとしたデオルや、モーシャ、体中にかすり傷を負わせる。


「ひっ――!」


 声にならないナカヤの声が溢れたが、デオルとモーシャはナタカエルとの戦いに集中しているため気付かない。 

 

 だが、いくら全身といえど、かすり傷程度であればなんの問題もない。と言わんばかりに、モーシャは『炎拳ヒィド』をナタカエルに向かって放つ。


 その一撃は、ナタカエルの持つ盾で防がれていまったが。


 盾に割れ目をつけ。


 続け様に、『炎脚切りヒィブルー』を盾の割れ目に叩き込み。


 盾を破壊する。 


 最後に盾が壊れ、のけぞっているナカエルに『鳶隕突拳ヒィケトエイ』を叩き込んだ。 


 ナタカエルはまるでホームランのように飛んでいく。

   

 だが、ナタカエルは本来、一発でもまともに受ければ、あまりの痛みに気絶する一撃である『鳶隕突拳ヒィケトエイ』を耐えた。 


 『鳶隕突拳ヒィケトエイ』は非常に強力であるが、発動後に隙が出来る。


 その隙を利用され、ナタカエルの射出した水で右腕を貫かれた。


 更に、水は射出されたが。

 

 その直後に、ナカヤがありったけの生力を使って放った血が大量についた爆弾矢がナタカエルがいる近くに落下し。


 大爆発を起こした。


 その大爆発に巻き込またナタカエルの体はは木っ端微塵に弾け飛んだ。

 

 (ぐっ!これじゃ、『炎拳ヒィド』と『炎脚切りヒィブルー』、『鳶隕突拳ヒィケトエイ』が使えないな……。今は……これで、ナタカエル?だったかは倒したから大丈夫だろう。) 


 モーシャは爆弾矢からナカヤが倒したものと思い、振り返って礼を言おうとすると、そこには瀕死のナカヤが居た。


「大丈夫か!ナカヤ!」


 モーシャは瀕死になっているナカヤのもとに駆けつける。

 

「安心し……ださい……大丈夫……。」


 デオルがナカヤのことをチラ見しながら、敵兵士が撤退していくのを見た。だがその中に、腕がとんでもない数あるまるで武神のような、敵将を見て顔を引き締める。


 そして、その場にいる全員に聞こえるように。

 

「撤退しましょう!」


 撤退命令を出した。 

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