第28話過去
『
アクフは新しい技の完成形に近くに至っていた。
(『斬』の習得の為に2ヶ月以上頑張ってきたけど、やっぱり『刹雪』の様に武の極み見たいな技は俺には早い。生み出した先人には本当に申し訳ないけどここは工夫して『
アクフは思いついた方法を実践する為バファイを纏わせて竹に向かって一閃。
放った一線は早く全て迷いを捨てた反射に近い速さを持ちつつ、『超音剣』を纏っている為〘
「『
(上手く行ったから嬉しすぎて口に出してしまったが……上手く行ったぞ!これで少しはナルを守ることが出来るようになっただろ。よし、次からは『
鍛錬の前にもう少し体を温める為、素振りを行う。
正しい所作で剣を上から下に振り下ろしたり振り上げたりを繰り返し、十分に体が温まると強化版デオル式筋トレ強化版をこなした後に新しい技の開発に入る。
(まずはどんな技にするかはっきり考えないと、バファイと協力した技づくりは少しイメージに引っ張られるからな。下手なことをすると最低でも技が別ものになって最悪の場合は使えなくなる、だからちゃんと考えないと。俺がしたいのは領域に一歩でも踏み込んだ奴を攻撃する結界を生み出す技!その為には……よし!良いこと思いついた。)
思いついた方法を試す為、『
なぜアクフは圧縮なんてことを思いついたのかと言うと、休日に雑談している時にソルバが「魂塊は能力が効く範囲を狭めると効果が上がるんだ。」と話していたことを思い出したからだ。
その後、圧縮した状態で竹を狭まった効果範囲に入れると少しだけ速く情報が伝わった。
(よし、ここまでは予想通りだ。このまま圧縮し続けて伝達速度が上がるかどうか試そう。)
アクフは集中し効果範囲を圧縮していく、縮まった分竹に近づいて更に早くなっているか確認する。
その結果、圧縮した分だけ伝達速度が上がることが確認できた。
これにアクフは興奮し喜びガッツポーズのようなものをする。
(あとは情報が伝達されたと同時に相手を斬る練習をするだけだ!)
という事で義刀に相手をしてもらおうとした。しかし、用事があった為にほぼ何でも屋とかしている警備部隊弐の一人に相手をしてもらうこととなった。
練習は極めて単純。警備部隊弐の一人が投げてくる笹を半径2メートルの効果範囲で目を閉じてこま微塵にするだけである。
警備部隊弐の一人が笹を投げ、視覚に頼らず情報が伝達された瞬間に斬る。
因みにこの時伝達される情報は中に入ったものがどの方向から飛んでくるか、いる位置、どんな形大きさしているか、どんな特性を持っているか等とアクフが知っていれば名前も伝達される。
アクフが目指す技は圧縮版『
技の練習をし続けていると体が慣れてきてワンパターンの動きしかしなくなった為、警備部隊弐の一人に頼んで変則的に投げてもらうことにした。
これにより、笹を斬ることが前よりも困難となり必然的にワンパターンな動ではなく様々な動きを強要される為、途中から『暴剣』も交えつつ笹を細切れにする。
(これは……中々に頭と体が辛いな。特に頭、伝達が速いのと量が多くて直ぐに頭が焼ける様に熱くなってやめたくなる。だが、これから逃げたらどう考えてもナルに届か無くなる、守れなくなる。もう二度とナルには奴隷生活のような悲しい人生を送ってほしくない!だから、俺が何があっても死んでも守る!)
決意を固めた後、試行錯誤しながら一番いい練習方法を探したが、結局警備部隊が変則的に投げ『
――
竹戸のどこかにある長屋で白湯当が興奮していた。
「こ、この……力は、他国から伝わっている魂塊なんかよりも凄いぞ!」
テンションが高まっている白湯当の手には鬼人覚醒法が握られている。
何故義刀が懐にしまい込んでいるはずである鬼人覚醒法を持っているのかといえば、その答えは単純で別の個体を質屋で買っただけである。
そして、反乱の成功を盤石なものとする為に今鬼人覚醒法を使用し鬼人となったのだ。
「だが、まずはこの力が安全であるか調べないと。」
この後、自分で試して一応の安全は確認されたので仲間に広めた。広めたことにより戦力が並の魂塊使い以上となり士気が格段に上がった。
(これで私が魂塊を使えば、仮に『
――
いつもの鍛錬等が終わった昼下がり、アクフと義刀はアクフの古くなっている服を買い替える為に街に繰り出していた。
「義刀、この国ではどの服屋が良いんだ?」
「そうですねー、某にもあまり分かりませんが確かな所があります。」
「どこなんだ?」
「王族御用達の着物屋です。」
「義刀、そんな良い所に行かなくても良いんだぞ?」
「すいません、某はそこしか知らぬ故あそこ以外となると知識がアクフ殿並になってしまいます。」
「でも、俺の所持金じゃそんな所行っても1着買ったらすっからかんになるどころか、1着も買えない可能性もあるからなー。」
「その点は安心して下さい。恩もあるので会計は某から出します。」
「助かる。」
ということで、アクフによる義刀もちの高級着物ショッピングが今、始まる!
……数分後の店内。そこには元々服には興味はなかったのと服の文化が全く違う異国な為、どんなものが良いのか全く分からないのでバファイと一緒に椅子に座ってぼーとしているアクフの姿があった。
「アクフ殿ー、生きていらっしゃいますかー?」
ぼーとしていた義刀がアクフの生存しているかを確認するため手を上下に振る。
「……はっ!」
「良かった、生きておられましたか。」
「すまない……前着ていた服とあまりにもかけ離れすぎてて混乱した。」
「それであれば某が選んで差し上げましょうか?」
「俺にはもう何がなんだか分からないからよろしく頼む。」
「はい!任せて下さい!」
そうして、義刀による義刀もちの高級着物ショッピングが今、始まる!
(アクフ殿の髪はこの国にで一番多い艶がある黒髪、肌は、暑いと言われているエジプトであれだけになるまで鍛錬したとは到底思えないきれいな肌と日焼けしてなさ、そして目はまるで宝石のような輝きを持っている金色……。)
今の義刀には尊敬の念によって生み出されたアクフにだけ適応される強烈な美化フィルターが搭載されている。
その後は義刀の美化フィルターが示す似合う男物の着物を数着を選んでいく。
勘定が終わらせ、暇なので椅子に座ってぼーとしていたアクフの所に向かい。数着の着物を満面の笑みで見せる。
「アクフ殿買ってまいりました!」
「おー、なんだかよくわからないけどいい感じのものだということは分かる。ありがとう。」
「そうなんですよ!ここの着物は見た目だけではなく機能性もとても優れているんです!」
「流石、王族御用達着物屋だな。やっぱり着物を買うなら奮発してここでナルの分を買うか。」
「うん?そのナルという人は誰なんですか?」
「昔からの友達だ。」
「自身はここで着物を買うのは抵抗があったのに、ナルの事となると案外すんなりと決めましたね。そこまで大事な人なんですか?」
「まぁ、俺に出来た初めての友達だからな。」
「そうなんですか、それでは少々出会いの時の話をしていただけませんか?」
「おっ、興味津々か?」
「はい!」
「それじゃ、話すぞ。あれはたしか――――」
六年前、スパルタの急な進軍に巻き込まれ両親が死んでしまったので叔母のところに引き取られた。だがしかし、両親の形でもあるバファイと出逢った数ヶ月には何者かに殺されてしまう。
残されたお金もほとんどなかったが遺言と両親が大道芸人をしてい為、自分もバファイと一緒にやってみることにした。芸の仕込みは大変であったが、それと同時にやり甲斐から生まれる楽しさのお陰で苦はなかった。
しかし、問題が発生する。
誰も投げ銭をしてくれない程度ではなく、誰も見向きもしてくれなかったのだ。これに対してアクフは何故こうなったのか必死に考えて結論にたどり着いた。
「芸を見てもらえないのは派手さが足りてないんだ」という結論に。
芸の派手さが足りないと判断したアクフは釣りをして魚を手に入れる時以外四六時中バファイと一緒に派手な大道芸を開発していく。
だが、何度も練習して手に入れた派手な大道芸をしても誰も見てはくれなかった。
ここまでしても見てくれなかったのはただ単にエジプトが当時はかなりの不況であり、殆どの国民が大道芸を見る暇などはなかったのだ。
しかし、そんな日の繰り返しで何もなかった日々に良い変化が訪れる。
それはナルとの邂逅だ。
初めアクフの大道芸を遠くから見ていだけだったが、次第に物理的な距離が近くなっていきアクフに話しかけてみる事にした。
「さっきのすごく良かったよ!どうやってやったの!?」という少々オーバーリアクションが過ぎた言葉ではあったが、アクフは初めて感想を言われた事が嬉しくてはしゃいだ。
そこから二人はそこそこの時間をかけて仲良くなった。
「……そうですか、アクフ殿もつらい過去を持っていたんですね。」
「
「アクフ殿程の物ではありませんし、…………そもそもあれは某が犯した失態のせいで起こったことです。アクフ殿の過去とは同列には語れません。」
「そうか……、それなら聞かないでおく。それはそれとしてナルに買う着物の選択肢を一つに絞れたから、買ってくる。」
「行ってらっしゃいませー!」
その後、アクフが会計を済ませたのちに城に戻った。
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