第33話銃発掘

 アクフとヤクバラは銃発掘場に向かう途中に会話をしていた。


「そういえばだが、アクフってどこから来たんだ?」


「俺はエジプトからなんやかんやあって来た。」


「はへぇー、そんな遠いところから来たのか。」


「ああ。」


「それじゃ仕事はなにをやってるんだ?」  


「少し前まで傭兵と修練とかの面倒見ることとかはやっていたが、今は何もやってないから無職だな。」

 

「それならうちに入らないか?」


「ギャングって何をする仕事なんだ?」


「うんうんまぁ、ウチのギャングだと主に賭け事関係の仕事とか観光業とかだな。」


「そんなことやってるのか。」


「ああでも偶に従業員を傷つけた奴とかに仕返しすることもあるな。おっ、あそこを通って地下に行くぞ。」


 そう言ってヤクバラが指さした先には貧相とも豪華とも言えない微妙で目立たない階段がある。


 アクフは階段を見た途端、遂に逸る気持ちを抑えられなくなり階段を飛び降りるように降りていってヤクバラも追いつくように飛び降りた。    

 

 ガンストンの地下の街ギャングスガンの銃発掘所にて。


「それじゃ、再確認するぞ。今からこのピッケルを持って銃を20個ほど発掘してくれ。銃自体はかなり硬い箱に入っているから多少乱暴な掘り方をしても大丈夫だ。で、目標の20個を達成出来たら違うのを掘るなりしてくれ。後他の発掘者には出来るだけを触れないでくれ、荒くれ者が多いからな。」


 そう言った後にアクフにピッケルを渡した。 


 ピッケルを渡されたアクフは次の瞬間には「ああ!」と威勢の良い返事をして奥の方に掘りに行った。 


「…………まだ伝えていなかったことがあるんだが、まぁアクフの実力なら大丈夫か。」


 (最近ここ辺りに5300万ダンの賞金首、ホオカナが出るという噂が出回っているが【無剣の有剣】のミティスが依頼で来るらしいしアクフの実力なら死にはしないだろう。)

 

―― 


 無事最奥部についたアクフは早速ピッケルにバファイを纏わせて銃発掘を開始した。


 他の発掘者では無理速さで掘り進めているが調子は普通くらいで名のないリボルバーが数分おきに出土する程度だ。


 (やっぱりここの銃は凄い!俺が一度も見たこと無いものしか無いし!それにかっこいい!いくらでも欲しい!けど、選ばないと色んな銃は持てないし今後会う武器たちのためにも少なめにしないとな……どれにしようかな…………。)


 と考えつつもアクフは高速発掘をしているとかなり硬い物体にぶつかった。


 それはただの銃の入っている箱にぶつかった音ではなくもっと厳重に保管する用の箱に当たった音だ。


 そして、ピッケルを振り下ろした衝撃で近くにあったボタンが押される。

 

『これは今から2000年以上前に作られた世界初の隕鉄を原料とする銃、ビッグバン・ピストルです。元々は2つセットだったのですが、2000前頃に盗まれて壊されたので今は片方しか現存していないんです。』 


 その箱から発せられた言語は英語であり、世界共通言語を使用しているアクフには到底理解できない言葉だった。


「……なにか聞こえるな、なんて言っているんだ?なにかとんでもない銃かもしれないから慎重に掘ろう。」


 早速アクフは慎重に手で声を発していた箱を掘りだす。


「よし、開けてみよう。」 


 アクフは長い時が経過して脆くなっている部分に〘俎板切まないたきり〙の持ち手を向けて振り下ろす。 

 

 箱は無事壊れその中に入っていたアタッシュケースを手探りで開ける。 


 中にはトリガー部分に3つの星型の小さい穴があり繊細な高級感を纏った〘ビッグバン・ピストル〙があった。

 

「こっ、これは!!!!」


 そのあまりの見た目にアクフの目は過去最大級に輝き、テンションが青天井に昇っていく。


 (よし、今回の発掘はこれを持って帰ろう!) 


 アクフはホクホクとした顔で残りのノルマ分の銃を掘って早々に帰宅した。


――


 アクフがホクホクした顔で帰っている頃、エジプトにいるナルは今日もアクフを探していた。


 (うんーーーーーーー、全ッッッッ然見つからない!アクフがいなくなってから1年くらい経ったけど少しの手がかりも見つかってない!うーん、この感じだともしかしてアクフは御伽噺のように何処かに飛んでいっちゃったのかな?)


 着々と進んでいるアクフ邸豪邸化計画の模様を遠目で見つつナルは考える。


 (そういえば今までの私は急にアクフがいなくなちゃったからその焦りで全然考え無しで走り回ってたけど、普通に考えてみれば頭を使ったほうがいいよね。)


 これまでのナルは少々暴走気味かつ車がとても狭くなっていた為、初も手がかりが見つからなかったが、冷静に考える事により手がかりを得るための作を得る。


 (ここまで探して思いつかなかったのは少し恥ずかしいけど、今からでも遅くない!聞き込みをしよう。)


 ナルは人探しのまともな一歩を歩き出す。


――


 発掘を終えたアクフはヤクバラと再会してノルマ分の中を渡した後に地下にある宿屋に泊まった。


 その翌日地下なのに朝日のような輝きを放っている空間でアクフは〘ビッグバン・ピストル〙を持ってワクワクしている。

 

「さて、銃の性能を見てみるか!」


 (ヤクバラの説明からだと弓みたいな武器らしいけど、それだったら何か飛ばすものがいるよな?もしかしてこの銃だけじゃ駄目?いやまぁもしかしたらそのままでも十分に戦える高い能力を持ってるかもしれないし、試してみるか!)  


 アクフは〘ビッグバン・ピストル〙にバファイを纏わせ、的に向かって振り上げ、下ろす。

 

 結果、的は木端微塵になった。


 (普通に使う分の威力的には〘天翔石剣カノンスド〙より、少し高いくらいか……。『超音剣』をつかってみよう。)


 銃を新しい的に向けたアクフはヤクバラに聞いた中につかいた通りにトリガーを引いて『超音剣』を放つ。


 放たれた『超音剣』はいつもどおりの速さで着弾し、いつもの〘天翔石剣カノンスド〙で放った以上の火力があった。


「おお!流石銃!威力が〘天翔石剣カノンスド〙のより高い!よし!次の技はこの銃を使ったものにしよう!」


 そう考えつつ弄っているとヤクバラが発掘の時間だと言ってきたのでアクフは喜んで行った。


「喜べアクフ!昨日の納品したピストルの質がかなり良かったから今日の発掘は昨日のピストル、リボルバーチャンクと違って今日はマシンガンチャンクに行けるぞ!」


「マシンガンってなんだ!?」


「うんうん、解った落ち着け、簡単に言えば普通の銃より早く長く撃てる銃だ。」 


「つまり普通の銃より強いか!?」


「まぁ、相手を蜂の巣にすることは出来るが弾を消費しまくるから完璧上位互換とは一概には言えないが。」   


「そういえば銃の矢みたいなやつはどこで手に入るんだ?」 

 

「あーあー、それは色々とややこしいからもっと良い結果を出したらだな。」 


「分った!行ってくる。」


 そう言って足早にその場を立ち去りマシンガンチャンクに行こうとしたアクフをヤクバラが引き止めた。


「おいおい、アクフいくら武器が好きでも急ぎ過ぎだぞ?そんなことだとすぐにぽっくり逝くぞ。マジで。」


「大丈夫だ!」


 再びその場を立ち去ろうとしたアクフをヤクバラが手で止める。


「要件はそれだけじゃない。最近ここら辺りで賞金首の殺人鬼が現れたらしい。アクフだったら敵ではないと思うが、頭の隅に入れておいてくれ。後今回のノルマは3個だ頭に入れておいてくれ。」


「分かった!」   


 今度こそと思ったアクフは絶対に止められまいとバファイを靴に纏わせて全力疾走する。

 

 全力疾走しているアクフを尻目に見つつ、ヤクバラは自分の仕事に向かっていく。

 

――


「ここら辺は思ったより全然硬いな。」


 それもそのはずマシンガンチャンクとはかなり地下深くに存在しており、周りには重機を使わないと砕けない石などが大量にあるからだ。尤も、アクフは魂塊使いなのでその限りではない。生力消費量を増やすことにはなるが、掘ることができるのだ。


 因みに普通のマシンガンチャンク発掘者はロケットランチャー等の浅い層から出土した銃火器などで豪快かつ命懸けで掘っている。 


 アクフはワクワクしながら掘っているとガギッンと硬いものにピッケルがぶつかった音が鳴り響いた。


「おっ?この感じは銃の感覚だ!」


 慎重な手つきで銃の入っている箱を掘り出すアクフに待ち受けていたのは圧倒的な硬さの石。これでは手で掘れないと思ったアクフはバファイを〘俎板切まないたきり〙に纏わせ研磨するように掘る。 


 かなりの時間を要したがアクフは無事に掘り出すことに成功した。


「おぉ、前の銃の箱とは違ってかなり大きいな。さて、なにが出るかな?」


 銃の入っている箱を開けると中に入っていたのは水弾機関銃MNSだった。


「なんだこれは?昨日見た銃とこのマシンガン?も同じ銃だと言っていたが最早別の武器だな。」


 MNSは水鉄砲をゴツくしたような見た目をしている為ピストル等と見た目が違うのは至極当然なことだ。


「もしかしたらこの銃だけ特別なだけかもしれないからな。取り敢えず他のも掘って確かめるか!」


 その後アクフは悉く面白機関銃を掘り当てまくるという圧倒的に無駄な豪運を発揮して無事、マシンガンに対しての認識がおかしくなった。

  

 大量の面白機関銃を大量に持って帰ったアクフは(本当にこれがマシンガン?)かなり本気で思ったので最速でヤクバラに見せに行った。


「おうおう……なんて愉快なマシンガン達だ。俺のマシンガンよりも愉快だぞ、ある種凄いなここまでの物を揃えてくるなんて……。」


 因みにいMNS以外のマシンガンの一部の特徴と名前は、全体的にセミの抜け殻が使用されていてその面影を残すSeminar。すべての銃口にスコップがついているミニマシンガンDSP。


 (それにしても、本当にこれが銃……?そういえば最近、銃ではない絵が取れるときもあるって言ってたな、それに関係しているのか?こんな特殊な形をしていたら今まで取れてきている銃弾で使えるか?………………銃弾といえば、この面白マシンガン達を相手に持っていけば弾丸チャンクに行く資格を得る試験を受けれるはずだ。アクフに話してみるか。)   


「そういえばアクフ、銃にとっての矢……銃弾をどうやって得るのかを知りたいか?」


「ああ!勿論!」


「それはだな――――」 


  

 

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