賞金狩り編
第32話地下街と怒りを鎮めようとする者
竹戸から出てにガンストンに向かったアクフは竜巻、嵐などの悪天候を超えて一面に荒野が広がる土地に来ていた。
(暑いな。竹戸と違ってジメジメしている訳では無いけど、暑い。こんなカラッとした暑さはエジプトを思い出させるけど、それより暑い。)
そんな事を思いながらアクフは武器、生活用品、義刀から報酬としてもらった様々な品が入った鞄を背負い歩く。
『キュュュ!』
「なんだ?」
アクフがバファイが見ている方向を向くとそこには微かに西部チックな村が見えていた。
「バファイ!行くぞ!」
『キュュュ!』
バファイを〘
――
エジプトの王宮ではまたファラオが考え事をしていた。
(もうかれこれアクフを捜索するように命令してかなりの時が過ぎたが、全然見つからない。これはもう本人がエジプトに返ってくるのを待つしかないか?仕方ない、取り敢えず家は豪邸にして囲い込みをする方針は変えずに行こう。)
思考を一時的に止め、外の風を感じる為外に出た。
そこで宮殿の近くにある御刃の訓練場でソルバが新しい技を開発している所を見て再び思考を開始する。
(それにしても、ソルバには少々驚いた。魂塊における特別な訓練もなしに腕をくっつける事ができるとは、そして、特別な訓練をした今では腕どころではなく四肢を生やせるようになるとは………………最早ソルバ単騎で特攻させても一軍隊を壊滅できるのではないか?)
このファラオの考えは正しい。理由は特別な訓練をしたソルバの速さは尋常ではなく並の魂塊使いでさえ捉えるのは難しいからである。
(まぁこれで晴れて宗教関係スパルタ軍等は対処可能になった。別の業務に専念することにしよう。)
――
走り出してから数分経ってガンストンについたアクフはお腹が空いていたので飯屋に入った。
飯屋に入ったアクフは早速メニュー表を見る。
(ふーん、ここはパンに何かを挟んだハンバーガー?っていうのを販売しているのか。)
アクフは肉、魚、野菜などがメインになっているハンバーガー達の絵を見て迷う。
そんな食べ物の中で唯一目に止まった物があった。
(オレンジバーガー?何だこれ?オレンジってあのオレンジか?結構酸っぱい果物の?……でもなんだか気になるな。よし、頼むか!)
「すいません!オレンジバーガー下さい!」
「分かりました!」
ダイナミックな注文をしたアクフはここがガンストンである事に看板で気づいていたので、義刀が言っていた珍しい武器の手掛かりを目で探す。
キョキョとしているアクフにスキンヘッドでムキムキ褐色青年が話しかけてくる。
「よう、雰囲気が強そうなのに子供見てにキョロキョロしてる兄ちゃん。そんなにキョロキョロして、もしかしてガンストンは初めてなのか?」
褐色青年はそう言ってアクフの向かいの席に座り、対してアクフは悪寒のようなものに襲われ咄嗟に〘
「いや、知り合いからここに珍しい武器があると噂で聞いてな。」
「そうかいそうかい、兄ちゃんは武器が本当に好きなんだな。“食事の席でも竹戸産の小太刀を構えているくらいには”。」
(っっん!?なんで見えない所で構えていたのに、その種類までバレたんだ!?これは不味いかもしれない……取り敢えず『探音剣』を使っておこう。)
「まぁまぁ、殺気立たないでくれ。にぃちゃんの強さは出会った瞬間に分かっていたから
「じゃあどんな用事できたんだよ。」
「恐らく兄ちゃんが探していたものについてだ。」
その言葉を聞いた瞬間アクフの目はどんな宝石にも劣らないほど輝く。
「えっ!なにか知っているんですか!」
「ワオワオ、どんな歴戦の猛者でさえ二度見するくらいの豹変ぶりだな、おい。」
「そんなことよりも!珍しい武器ってどんなものなんでっすか?!!」
「ああ、俺はそれに関しては仕事柄結構精通していてな。教えることが出来る、が無闇矢鱈に言いふらすことがないと約束してくれ。」
「はい!」
「おうおう、なら教えてやるぜ。その武器の種類の総称は“銃”だ。」
「銃?いい響き!」
「そして、その武器は全体的に槍より鋭く相手を穿ち、物によっちゃ弓より遠くを狙えたり、とんでもない程の爆発力を持つ。」
「おお!!!それでその銃はどこで手に入るんですか!お金なら結構ありますよ!」
「いいや、この銃はある種タダだ。」
「えええええ!そんな素晴らしい事本当にあるんですか!?」
妙に通販番組のような特徴的な言い方をしたアクフに褐色青年は無視して説明を続ける。
「まぁある種タダではあるが、俺とかのギャングの仲介がいるがな。」
「じゃ仲介してくれるんですか!」
「ああ勿論だ。だが、まだ条件がある。」
「なんですか!?」
「それはここ数十年ガンストンに君臨している人殺し
「……なんで、ですか?」
「うちではやつにとんでもない怨みと貸しを持っているからだな。」
「……もしかして裏で繋がっているとかは?」
「ないない、断じてない。」
「分かりました。その
「もしもしかして兄ちゃんは正義感が強いやつか?」
「いえ、俺には何も無いのでただ自分の思いだけは貫きたいと思っているだけです。」
「そうかいそうかい、だいぶ大層な過去をもってここまで来ているんだな。好きだぜ、お前みたいなやつ。」
「ありがとうございます。それより、銃はどこで手に入るんですか!?」
「ああ、教えてやるがその前にオレンジバーガー、届いてるぞ、食べろよ。」
そう言って褐色青年はいつの間にかアクフの前に置かれていたオレンジバーガーを指差す。
「それもそうですね。」
アクフは早速出されたオレンジバーガーに齧り付く。
(うーん、なんだろうか。ナルの料理に近いものを感じるけど、その割にはオレンジの苦みが邪魔をしていると言うか……、この感じは駄目なやつだ。)
そう思いつつもアクフ自身が作った料理よりはマシなのですぐに感触した。
「どうだった?」
「不思議な味がしました。」
「そうそうかい。じゃ、説明……と行きたいところだが名前をまだ言ってないし兄ちゃんの名前も聞いていなかったな。」
「俺の名前はアクフだ。」
「俺はヤクバラだ。呼び捨てと無敬語でよろしく。んじゃお互いの名前も言ったから銃を入手する方法を教える。まず、この街には一つの国くらいの大きさを持つ地下がある。」
「え!あそんなのがあるのか?」
「ホントホント、そこでは俺達の仲間が日々銃の掘削を行っているんだが、そこにお前をねじ込む。俺が話をつけておくから銃は適当に持って帰ってくれ。」
「うん?掘削?武器を手に入れるために掘ったりするのか?」
「ああ、掘る。堀に掘りまくる。まぁゴタゴタ説明するよりも見ればわかるってやつだ早速行くぞ。」
「おお!」
アクフは急いで会計をしてヤクバラと地下に向かった。
――
記憶とはここまで残酷で自分に後悔の念を抱かせてくるのだろうか。とガンストンにいる紫色の髪をした女性ミティスは思う。
ミティスを苦しめている記憶とは幼い頃
そして、その記憶は薄れることを知らず、今でも嫌になるほど瑞々しかった。
記憶の日からミティスは影潜り族としての力が覚醒し、三次元より高度な世界へと行けるようになったが、そこで初めて見たのは自分の深層心理だった。
深層心理は人の顔の形をしていたがその顔は不気味な程幼く一面ニキビだらけでとても醜く下を向いて、そして、とても悲しいそんな感情から無造作に溢れ出ている殺意を見た。
それを直で見たミティスは解った、親を殺した
トラウマと決別するために自分が強くなり、研ぎ澄ました。と思っていても実際には何も変わっていない。
今日も何故か出てくる涙を痩せ我慢で堪えつつ
(ああ、なんで私はこんなにも駄目なんだろう……。まだあの時の血の匂いが全然頭から離れない。
ミティスは
だが、殺して親と同じ目に合わせねばならないと思う本音はずっと変わらない。
それと同時に、理性の部分がこんな
そんな事を考えていると心がすり減り段々おかしくなってくる。
なのでミティスはある種の現実逃避を今現在もしているのだ。
これまでの人生を自分の心を誤魔化す為の賞金首稼ぎに捧げていたミティスは最近やっと見つけた手掛かりを元に誤魔化しも
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