第4話『超音剣』

 (飛んだ!しかも威力はかなり強い!)


「!これがバファイの真の能力!特殊な音を飛ばす能力!」


 (これを、俺の『暴剣』と合わせて使ったら、ソルバ団長補佐にも届くんじゃないのか!)


「おお!?俺には全く聞こえないけどそうなのかアクフ!それでその一撃の名前はどうする!?」

 

「そうですね。超すごい音の剣なので…………『超音剣』にします!それとソルバ団長補佐、模擬戦をしましょう!」


「俺は今にでも本気のアクフと戦ってみたいが、アクフはデオルからここに一ヶ月居るように言われているだろ?だから一ヶ月はまっておいた方がいい。」


「確かにそうですね。」


「それで、アクフはその、『超音剣』をどうやって、利用するつもりだ?」

 

「それはですね……。」

 

 その後、アクフとソルバは一ヶ月の間に超音剣の応用をしてみたり、ソルバと様々なことをした。


 そして、一ヶ月後。


――


「ソルバ団長補佐、今度こそ魂塊ありで、お互い本気の勝負がしたいです。」


「アクフは本当に俺の『冥界剣』が見たいのか?」


 ソルバがアクフの覚悟を問うために、言葉を投げた。

 

「はい、この修行で俺がどこまで強くなれたのか知りたいんです。」


 ソルバはその答えに満足したのか言う。

 

「わかった、その代わり腕とかあまり切断しないようしてくれ、いくら直せるとは言え、結構な時間を無駄にすることになる。」


「わかりました、その言いようだと実際の武器を使うんですね?」


「ああ、一時間後に準備を済ませてからここに来てくれ、後、今更だが、初めて出会った時、こっちも色々事情があって失礼な態度をとってしまいすまなかった。


 ソルバがそう言い残し、アクフは武器を準備をしに行った。


 (よっし、隕鉄の剣は壊れていないな、取り敢えずソルバ団長補佐に勝つための作戦を考えよう。)


 アクフは食堂の近くを歩きながら頭を捻る。


 (取り敢えず鍛錬と実験を繰り返してバファイの能力は色んな超凄い音出せる能力だとわかった。)


 因みに今のアクフが使える魂塊を使った技は『超音剣』にそれから派生した相手の攻撃を食い止めたり、勢いを削ぐ『鎮音放』。


 斬撃では無く、打撃を飛ばす『打音放』。


 消費する生力も凄いが、威力も凄い『轟放奏剣ごうはそうけん』。


 それと『探知サーチ』だ。因みに『探知サーチ』は感知できる範囲の物や生物などの姿が遮蔽部を貫通して分かる。これは実は地下にも使えたりもする。


 アクフは考えながら歩いている途中で話しかけられた。 


「アクフ!久しぶり!」


「あっ、イザ!久しぶりだな!」


 イザとは、防衛戦争前のアクフとナワマと共に会話していたショートカットの騎士団の貴重な調理員だ。


「ナワマの件は残念だったね……、でもいつまでもくよくよしてたら駄目だよ!気を取り直して、ナワマの分だけ食べて、寝て、生きないと!」 


 そう言い、ナワマの好きだった、モロヘイヤのスープをアクフに手渡した。   


「ありがとう。」


 アクフは渡されたモロヘイヤのスープを一気に飲み干す。


「うん、モロヘイヤの旨味がガッツンと来て美味しいし、ナワマの好きだった味けど、客観的に見たら、これにトマトをペイストしたものをちょっとだけ足せばもっと美味しくなるよ。」 


「相変わらず、食通だね。」  


「つい、いつものノリで言ってしまったけど、師匠の蝗と蝉の煮付けよりも数千倍美味しかった、もう一度言うけど、ありがとう。」


 アクフは2つ目の悩みが多少軽くなった。 


――

 

 三十分後。


 ソルバがアクフを案内してついた場所は森の中の人が居ない川辺だった。

 

「さあ、始めましょう!」

 

 近くにいる鳥が鳴く中、アクフとソルバの両方が魂塊に合図をして武器に纏わせる。    

  

 お互いが構え、相手が突っ込んでくるを待つ。


 アクフが突っ込んでこないので、ソルバが突っ込んだ。


「冥界剣!『黄泉送り《インヘル》』!」


 ソルバがまともに直撃すれば、意識は軽く飛びそうな重く早い一撃を放った。


 (くっ、流石はソルバ団長補佐。早すぎて目で追うのが厳しい。でも出来ない訳じゃない。落ち着くんだ………冷静に対処しよう。)

 

「『鎮音放』。」


 アクフが振るった一振りから音波が放たれ、ソルバの縦から振り下ろされる一撃に激突して軽減した。さらに『暴剣』を使って、ソルバの一撃を完全にいなした。


 その後、ダメ押しで素早く『打音放』を撃った。

  

 だが、ソルバはワヒドを纏わせた能力『冥界案内人ナビアビス』でバックジャンプすることにより、アクフから距離を置き『打音放』を避けた。


 そして、着地した地点で口を開く。

 

「小手調べに放った一撃だったが、それに反応できる様になって更には、いなすことまできるようなったか!成長したな!冥界剣『心臓羽比ソウルコンペア』!」


 そう言い、ソルバが更に攻撃を仕掛けてくる。


 (俺の『鎮音放』は音を飛ばして、相手の攻撃に当ててその威力を軽減させるもの。現状では止めれるわけではない。しかし、ソルバ団長補佐の次の攻撃は俺の感だが『鎮音放』では、軽減出来ない。なら曲芸ではあるけど、アレをする!)


 その思考を瞬時に終え、アクフは口を開く。


「『打音放』!」


 アクフは一撃が来る前に『打音放』を地面叩きつけるように飛ばして、その反動を利用して一旦空中に浮いた。その後『超音剣』を数回使い、ソルバに確実に直撃した。


 アクフが着地し、無防備になる瞬間を狙ったソルバがアクフに向かって再び、『黄泉送り《インヘル》』を使う。


 (やっぱり、そうくるよね。普通の場合空中に飛び上がったら格好の的だ。だけど、それも対策していない訳ではない!)


 アクフは、『鎮音放』をバリアを作るように、辺りに飛した。 


 ソルバはそれにまんまんと引っかかったソルバは次の行動に移ろうとしたが、その前にアクフが『超音剣』を使って、またソルバに一撃を与える。


 (っ!中々やるようになったな、アクフ。俺がここまで攻撃を仕掛けているのに一度も直撃していない。ああ、なんと言うか、感無量って、言う感じだな。だが俺にも団長補佐としてのプライドがあるからな!負けるにしても一回も攻撃が当たりませんは、ない!)

 

「『女神に従え《マアトルト》』!」 


 ソルバに一撃を与えたアクフは油断しており、ソルバの一撃を食らってしまった。

  

 (くっ、一撃を食らった。でも、まだまだ模擬戦は続く。次の手を考えないと。まず、次の攻撃に備えて『超音剣』で威嚇しよう。)


 そう考え、アクフは威嚇のために『超音剣』を使い、ソルバに一歩引かせた後、間髪入れずに『超音剣』と『打音放』を撃った。


 だが、ソルバもそのまま受けるつもりは毛頭ない。反撃のため、『心臓羽比ソルペア』をアクフの放った『打音放』にむけて放った。


 その一撃で、アクフの『超音剣』は消え、残りの『打音放』をまともに受けながら、『黄泉送り《インヘル》』使った。


 その結果、アクフの腕に切断はされていないが大きな傷を与えられた。


 アクフはこれ以上、一撃を食らうのはかなりやばいと判断して、バックジャンプをして距離を置く。  


 (流石だな。アクフ。デオルの修行を無事に終えただけはある。だが、これは前にアクフとした模擬戦ではない。手加減は出来ないし、負けれない!)


 ソルバの視線が真っ直ぐアクフの方を向いた。

 

 (俺の一撃がソルバ団長補佐と互角?正直言って、嬉しい!でも、それだけじゃ、終わらない。この勝負の勝ちはできれば譲りたくはない!でも、もう、次の攻撃は食らえない。なら、次の一撃で決める!)

 

「『轟放奏剣ごうはそうけん』!」 

    

 その放たれた轟く超音波であたり全体が揺れ動き、ソルバの周りにまるで地震のような現象も起き。


 地面が割れる。


「最後に全てを賭けたか!俺も行くぞ!『罪人鰐食イートダイル』!」

 

 ソルバは揺れようとも攻撃するために近づくが、アクフがさらなる生力を『轟放奏剣』に注ぎ込み、それによる強い空気の揺れで吹き飛んだ。


 アクフは吹き飛んだ地面に倒れ込むソルバのもとに行き、剣を突きつけた。


「降参だ、強くなったな…アクフ。」


 そう言い、両手を上げた。

 

「ありがとうございます!」

    

 アクフは倒れ込んでいるソルバに爽やかに笑いかけながら手を差し伸べ、ソルバはその手をとり、口を開いた。


「よし!今度は本気で百連戦いくぞ!」  


「いや、すいません。さっきの技で生力が底をつきました。」


 アクフは『轟放奏剣ごうはそうけん』を使って疲れたのと、戦いが終わった為気が抜けて、地面に倒れ込む。

 

「そうか、あっ!」


 ソルバはアクフの血だらけの体を見て、舞い上がっていた自分のテンションをもとに戻して言う。

  

「すまない!今すぐ俺の残っている生力で傷を癒やしておこう。」


 アクフは大剣に纏わせていた、ワヒドを慌てて十字架に変えて、口を開く。

 

「汝を労り、汝を癒やし、汝の血を再生せん!」


 それによりアクフの傷がどんどん治る。


「よし、これで大丈夫だ、アクフは部屋に帰って、ゆっくり休んでくれ。」


 今度はソルバが爽やかに笑いかけ、アクフに手を差し伸べた。

  

「わかりました。」


 それはこれから先のアクフとソルバの関係を暗示しているようだった。

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